米シカゴ「スーパースプレッダー」から15人感染、3人死亡

【4月11日 AFP】米国が入国制限を発動し、新型コロナウイルスを閉め出せたかのように思われていた2月下旬、呼吸器系に軽度の症状が出ていたイリノイ州シカゴ在住の男性が、知人の葬儀に参列した。 男性はその3日後、今度は誕生日パーティーに参加し、親族と共に祝った。https://www.afpbb.com/articles/-/3278094?pid=22262473

米疾病対策センター(CDC)によると、この男性は自身が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を発症しているとは知らずに感染の連鎖を引き起こし、結果15人が感染、うち3人が死亡したという。

イリノイ州が都市封鎖を施行したのは、これらの集まりがあった数週間後の3月21日だった。他の自治体も同時期に封鎖に踏み切った。

CDCはこの「スーパースプレッダー」の案件を、ソーシャル・ディスタンシング(対人距離の確保)の勧告や外出制限令に従うことがいかに重要かを物語る例とみなし、今回の感染拡大がどのように起こったのか、その詳細を報告している。


2020.05.14 Thursday

唾液でのPCR検査が5月中にも可能に

唾液でPCR検査、5月にも可能 採取簡単、実施件数増加も     5/11(共同通信)

唾液を検体に使って新型コロナウイルスの感染を調べるPCR検査法を厚生労働省が早ければ5月中に認める方針であることが11日、分かった。現在主流となっている鼻の奥の粘液を綿棒で取る方法よりも安全で簡単に検体を採取でき、検査数を増やせる可能性がある。


鼻の奥の粘液を取る方法は、せきやくしゃみが出やすいため、検体を採取する人が感染するリスクが高い。このため感染防止策を徹底して検体採取を行わなければならず、検査体制拡充の足かせとなっていた。 図.PCR検査の検体として唾液を採取するための容器(豊嶋崇徳北海道大教授提供)

 


新型コロナ検査、自宅で唾液採取 米当局が初認可     日本経済新聞 2020/5/9

FDAが米ラトガース大の検査キットの緊急使用を認可し、同大が全米向けにキットを販売できるようになった。唾を入れたチューブを同大に送れば2日後に結果が判明する仕組みだ。患者がキットを入手するには医師の処方箋が必要だ。

これまでもFDAは、鼻や喉に綿棒を入れて粘液を採取するタイプの自宅用検査キットを認可している。ラトガース大は唾液を使う方が「苦痛が少なく(採取ミスが起きにくいため)信頼性が高い」と説明している。

トランプ政権は検査体制を強化するため自宅用キットの普及を急いでいる。自分で検体を採取できれば病院や検査場に足を運ぶ必要がなくなり、感染リスクを抑えられる。検査要員や防護服など検査に必要な物資の不足解消にもつながる。経済活動の再開を進めるためには、検査を増やして感染者を早期発見することが欠かせない。


タカラバイオ、唾液のPCR検査試薬        日本経済新聞朝刊 2020/5/17

タカラバイオは、唾液から新型コロナウイルスの感染の有無を調べるPCR用検査試薬を発売する。厚生労働省の認可などを経て発売は早くて5月末になる見通し。鼻や喉から粘液を採取する検査は医療従事者のサポートが必要だが、唾液による採取は簡単で自分でもできるという。自宅で採取して検査場所に郵送するような使い方も可能になる。本格的に普及すれば、検査機会の拡充につながりそうだ。月200万検体分量産へ ということだ。


セルロースナノファイバー(CNF)とは?

CNF は、木材等植物の主成分のセルロースを直径数~数十ナノメートル(1ナノメートル=10億分の1メートル)まで細かく解きほぐした繊維状の物質です。
植物から作られるCNF は、環境負荷が少なく、様々な優れた特性を有することから、幅広い用途への利用が期待され、現在製紙メーカーをはじめ、様々な業界で研究開発・用途開発が進められています。

COVID-19 2020.5.29まで

2020 May


2020 April


2020 March


2020 February

川崎病似の合併症で5歳児死亡 NY

COVID-19が大流行中のアメリカ・ニューヨークでは、子どもに「川崎病」と似た症状が見られるケースが増えていると, ニューヨーク州保健局は5月4日に発表し、注意を促した。その多くは新型コロナに感染しているか、抗体を持っているという。

このような合併症が確認されているのは15歳以下の児童で、4日時点の発表は15人だったのが8日には73人に増えている。また7日、新型コロナに感染していた5歳男児が合併症により亡くなった。この現段階での73症例について、クオモ州知事は8日の定例記者会見で、このように述べ危惧した。

「一般的に新型コロナの感染者の多くは子どもでないことがわかっており、事例としてはまだレアなケース」としながらも、「州内で新型コロナに感染した児童の中に、川崎病に似たような症状と毒素性ショック症候群のような症状で重症になるケースが73も報告されている」と述べ、これから詳しく調査していくという。Yahoo Newsから


2020.05.10 Sunday

新型コロナと医療崩壊

10歳未満の子どもの新型コロナウイルス感染者は、中国武漢では全感染者の1%、うち重症例はほとんどいませんでした。日本でも、10歳未満は253人、全体の1.7%に過ぎません。これまでのところ重症例は1例のみとなっており、死亡した子供はいません。

これは、2009年の新型インフルエンザの流行では、入院を必要とした10歳未満の子どもが、一万人以上、全体の65%を占めており、新型コロナウイルス感染とは大きな違いです。

新型コロナウイルス感染のパンデミックに対して、日本は他の国々に比べて感染者数があまり増えていないタイミングで休校措置がとられました。その結果、感染する機会としては、子どもから子どもでなく、大半が家族内感染と考えられます。

これまでの日本のPCR検査は、新型コロナウイルス感染が強く疑われる濃厚接触者だけに実施されていたので、子どもの検査数は非常に少なく、実態は全くわかりません。

いまは、新型コロナウイルスで大人の救急医療で医療崩壊が大きな社会的問題となっていますが、10年前の新型インフルエンザ流行時には、小児救急医療がその危機に瀕していました。

共通して言えるのは、ベッド数や医療機材不足の問題ではなく、救急医療現場で働く医師、看護師が平時から最小限の人数で行われていたことです。少し患者数が増えるだけで、あっと言う間に現場はパニックになるのです。

ピーク時の兵庫の感染者数は42名、うち重症例は10名前後です。これで医療崩壊が起こるようなら、イタリアやアメリカのようなアウトブレークではと思うと、そら恐ろしくなります。

新型コロナウイルスのパンデミックでは、中国でも、イタリアでも、アメリカでも、医療者や入院患者の感染が目立ちます。このウイルスはよく忍者に例えられますが、経験を積んだ医療者でも見逃してしまうようです。

志ざしの高い医療者でも、どこに潜んでいるかわからぬ敵に、防護具もつけずに、戦いを挑ませるのは無謀すぎます。入院前にPCR検査をルーチンに行えば、無症状の感染者を見つけることができるのです。防護具不足を心配しながら働く職場では、ますます人が離れていきます。

パンデミック第1波は、規律を守る日本人の従順さで乗り切ることがでましたが、第2波への医療資源確保を怠り、経済活動を重視していると、再び医療崩壊が起こるでしょう。医療現場、介護現場で働く人材確保がいちばんの課題です。

赤ちゃんの四季   2020-5-9

緊急事態宣言の延長決定と課題

日本政府の新型コロナウイルス感染症対策


  • 令和2年3月26 日、新型インフルエンザ等対策特別措置法(平成 24 年)に基づき、政府対策本部が設置された。
  • 令和2年3月28 日(令和2年4月16 日変更) 新型コロナウイルス感染症対策本部が「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」決定。
  • 令和2 年4月7日 新型コロナウイルス感染症対策本部長は緊急事態宣言を行う。令和2年4月7日から令和2年5月6日 までの29 日間。
  • 令和2 年5月4日 緊急事態宣言の5月末までの延長決定.

兵庫県では、新規感染者数が着実に減少している。大阪や東京からの移入がなければ、終息しそうだ。

  • この間に、次期のパンデミックに備えての医療体制の整備が求められる。
  • 一番の課題は、医療者の感染防止である。
  • 一般入院患者にコロナ感染者の混入を防ぐことだ。
  • 予定入院者については、PCR検査をルーチン検査に加えることだ。無症状感染者の発見にはこれしかない(すべてでないにしても)。

神戸市立中央市民病院の研究報告では、

4月半ばの時点で抗体保有者が3%であったという。すでに5万人以上の神戸市民が罹患していたことになる。

PCR検査陽性者が260人であるので、ほとんどが不顕性感染であったということになる。重症化率は思いの外、低いということで、少しはホッとする。


2020.05.05 Tuesday

世界と日本の感染者数と死亡数(WHO Report)

*人口:UN data 2020 April

  • コメント:西太平洋地域、ヨーロッパ、アメリカ大陸と3つの地域に分けてデータが示されている。
  • ヨーロッパはドイツを除きいずれの国でも死亡率は感染者数の10%を超えている。
  • アメリカ大陸では5~7%で、西太平洋地域では1~2%と地域により大きく異なる。
  • 西太平洋地域の国々と比べると、日本は感染者数が少ない割に、死亡率が高い。

日本の感染者数と死亡数  5月1日現在


2020.5.1

NY、CA、東京の3地区における1日当たりの感染者発生数の推移

NY、CA、東京の3地区における1日当たりの感染者発生数の推移を7日間移動平均にしてみると、3地区でのウイルス伝播速度の違いは明らかです。(図1。表1)


西海岸と東海岸のこの差をどう解釈する?

  • 同じアメリカでもアジアに近いCAでは、伝播速度が遅く、東京に近い。
  • 考えられる理由として、ロックダウンのタイミングもあるだろうが、むしろウイルス変異によると考える方がわかりやすい。CAは中国由来、NYはイタリア由来。
  • ロックダウンも、CAは3月19日、NYは3月22日、わずか3日だが、この差は大きい。
  • 1日感染者数が10人に達するまでの日数も3都市間でかなり差がある。ウイルスの違いによる?対策の遅れが感染速度に影響した?どちらも考えられる。

各地域の特徴


NY州 人口 1,900万人

  • ニューヨーク州内でCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)の初の感染者が確認されたのが3月1日。緊急対策として16日から休校措置が、7日にはアンドリュー・クオモ知事は非常事態を宣言。新型コロナ感染者は前日より45人増え、89人となった。非常事態宣言により衛生用品や人員を確保しやすくする目的で。
  • 22日に州は自宅待機令(Stay-at-home order、ロックダウン)に踏み切った。ロックダウン開始日には、1日の感染者数4,812人、すでに累積感染者1万5168人、死者114人という状態であった。その1ヶ月後には、感染者24万7543人、死者1万4,347人になった。

CA州  人口 3,951万人

  • 米カリフォルニア州のニューソム知事は4日、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、非常事態を宣言した。同州では53人の感染が確認され、1人が死亡した。米メディアによると米国内での死者は計11人となっていた。
  • 3月19日に最大の人口を持つカリフォルニア州で自宅待機(Shelter in Place)が命じられた。今も続いている。19日の時点で、感染者331人/日。

東京都   人口 1,400万人

  • 全国の小中高、3月2日から臨時休校要請。春休みまで。
  • 3月25日、東京都の小池知事は今週末(3月28日~29日)の外出自粛を要請。平日に関しても、可能な限り在宅勤務を推奨した。1日の感染者数100人を超える。
  • 日本政府は、改正特別措置法(新型コロナ特措法)に基づく緊急事態宣言を7日に発令し、東京圏など七都府県を対象区域とした。 感染者数3,817人
  • 新型コロナウイルスの感染が急速に拡大していることを受けて、特別措置法に基づく「緊急事態宣言」が4月16日、7都府県から全国に拡大されました。感染者数8,442人

  • 2020.04.29 Wednesday

COVID-19大流行でも4月は児童虐待啓発月間

Child Abuse Awareness Month During the Coronavirus Disease 2019 Pandemic  By Cameron M. Rosenthal, et al., Published Online: April 24, 2020. JAMA PEDIATRICS PATIENT PAGE


社会的孤立、現在世界中で実施されている公衆衛生対策は、児童虐待の証明されたリスク要因です。 その他のリスクとして、ストレス、食料や住居への不確実なアクセス、そして家計の心配があります。

両親や介護者は、COVID-19のパンデミックにより、失業、育児負担、およびスケジュールの変更を余儀なくされ、これらのストレスに圧倒されています。

COVID-19パンデミックにより、子どもとその家族は社会的に孤立し、ストレスが高まり、パンデミック中に児童虐待のリスクが高まります。

著者は、「社会的孤立時の児童虐待の危険因子」と「社会的孤立時のストレスと児童虐待のリスクを軽減する方法」を表のごとく、まとめています。


社会的孤立時の児童虐待の危険因子

  • 子どもとその友人、教師、カウンセラー、大家族との間の物理的なつながりの喪失
  • 両親や介護者へのストレスの増加
  • コミュニティや学校のリソースからの財政的または介護的サポートの喪失
  • 薬物乱用障害のある親または介護者への子どもの曝露の増加
  • 親、介護者、または子どもがメンタルヘルスリソースにアクセスできなくなる

社会的孤立時のストレスと児童虐待のリスクを軽減する方法

  • 電話、インタラクティブ・ビデオコミュニケーション、ソーシャルメディアを通じて、友人や遠くの家族と交流する
  • 地方自治体や連邦政府の援助の変更について最新情報を入手する
  • 仕事、食事、運動、休息の通常のパターンを維持する
  • 疲労やストレスの増加につながる活動の後には休憩をとる
  • 必要に応じて、家族、友人、または専門家に助けを求める

2020.04.26 Sunday

COVID-19とEarth day 2020

南米アマゾンやオースラリアにおいて数ヶ月も燃え続ける森林火災、世界各地での未曾有の風水害、いずれも人類がもたらした環境破壊、地球温暖化社会によるものです。

今は、中国武漢に始まるCOVID-19のパンデミックが、わずか数週間で世界各地に拡大し、世界各地の経済活動が一気に低下しました。皮肉なことに大都会の大気汚染は収まり、インドのニューデリーからは見えることがなかったエベレストが見えたという話もあります。

各国の首脳が集まりいくら討議しても、一向に進まない二酸化炭素の排出制限も、新型コロナウイルスの出現で、人類の生命は脅かされますが、地球環境が守られていくのを見ると、複雑な思いになります。


アポロ8号の宇宙飛行士が「アースライズ(地球の出)」を撮影

4月22日、Earth dayを迎えるにあたって、その生い立ちを振り返ってみましょう。

今からたった50年前の1968年12月24日に、アポロ8号の宇宙飛行士が月から昇る地球の姿「アースライズ(地球の出)」を撮影しました。人類が地球を外から見たのはこのときが初めで、テレビで中継されてきた「青く丸い地球」の姿に我々は感動しました。

当時はまた、科学技術文明の進歩により、環境汚染が大きな社会問題になっていました。「アースライズ(地球の出)」で地球の姿を認識してからは、地球全体を「ひとつの生命圏」としてとらえ、その保全に新しい環境運動が始まるきっかけとなりました。


1970年・なんでもない日を「地球の日」に!

このアースライズから15カ月後、世界最初の「アースデイ(地球の日)」がアメリカで誕生します。G・ネルソンという上院議員の「環境の日が必要だ」という発言に呼応したのが、スタンフォード大学に通うひとりの学生、デニス・ヘイズ氏です。デニスは「『母の日』や『父の日』があるのに『地球の日』がないなんておかしい」と呼びかけ、4月22日水曜という平日の“なんでもない日”を「地球の日」としたのです。


コロナウイルスはなぜ出現?

今流行しているコロナウイルス(SARS-CoV-2ウイルス)の出現は、人類による環境破壊と関係しているという説があります。SARS-CoV-2ウイルスは元々コウモリに寄生していたウイルスが変異して、ヒトに寄生できるようになったものです。先に大流行したコロナウイルス(SARSウイルス)もまたコウモリに寄生していたものです。コロナウイルス(MERSウイルス)はラクダからヒトへ寄生するようになったことがわかっています。環境破壊により、多くの野生動物がこれまでの棲息圏から追い出され、ヒト社会の近くに移り住んできています。このような生物の棲息圏の変化が、ウイルスの宿主動物とヒトとの距離を縮めてしまったのかもしれません。


コロナウイルスは手強い

コロナウイルスの存在は、これまでからヒトにも寄生しており、軽い風邪症状を示すだけで、決して恐ろしいウイルスではありませんでした。ところが、2002年には同じコロナウイルスでもSARSが、2012年にはMERSのパンデミックが起こりました。幸運にも、日本では水際作戦が奏功し、その流行はありませんでした。

しかし、今回のウイルスはなかなかの曲者です。感染していても、無症状であったりするので、気づかぬうちに他人に移してしまうので、あっという間に蔓延したのです。


政治家は決断が遅い

今回のCOVID-19大流行には、政治家の油断があったのではないでしょうか。SARS-CoV-2ウイルスは、初期の対応が1週間遅れただけで、一人の感染者から、10人に伝播してしまうのです。米国は、まさにその典型例です。

3月1日には一桁であった感染者が、3月7日には100人を超え、3月14日には1,000人を、22日には10,000人を超えてしまいました。

トランプ大統領は、自らの対応の遅れを認めず、今尚3万人近い感染者が毎日出ている中で、早期の経済活動再開を目論んでいる姿を見ると、医療者の立場から見ると言語道断です。時期尚早な経済活動再開こそが、経済の不活化を招くことになります。

今の政治家は、目先の経済には神経質ですが、地球規模の人類の問題には鈍感なようです。


2020.04.24 Friday