気になり始めた認知症

歳をとると、気になるのが認知症です。物覚えが悪くなり、特に人の名前を思い出せない時には、自分もついにボケが始まったかと不安になります。同年輩の友人との会話でも、身体的な老化症状とともに、認知症への恐れが増えてきました。

小児科医の私は、認知症は全くの専門外ですが、友人たちから相談されると、医師として余りいい加減なことも話せません。自分自身が、日本人の平均寿命を超え、周りをみていると、認知症も他人事とは思えない今日この頃です。

同年輩女性の4人に一人が認知症

まず、どの位の頻度で認知症を発症するものかと、私が懇意にしている精神科名誉教授で、認知症の権威である前田潔先生に伺いますと、65歳以上になると有病率が15%、その割合は年齢とともに増加し、私の属する80-84歳では、男が17%、女が24%ということです。90歳を超えると、男も、女も半数以上の人が認知症になっているようです。

90歳が人生の大きな節目らしい

我々の年齢層の平均余命が8年、ちょうど90歳あたりです。どうやら、90歳というのが大きな節目で、仲間の半数が生き続け、生きていても半数が認知症になる計算です。

少しは勉強をしなければと、最新の認知症特集の掲載された臨床医学雑誌を手に入れ、一夜漬けではありますが、同年輩の友人たちの不安解消に役立てばと、いくつかの話題を取り上げます。

認知症とは、一体どんな病気?

認知症は、英語でdementiaと言い、以前は痴呆と訳してました。日本神経学会の「認知症疾患治療ガイドライン2017」によりますと、「獲得した複数の認知・精神機能が、意識障害によらないで、日常生活や社会生活に支障をきたすほどに持続的に障害された状態」を認知症と定義しています。運転免許を返上した私ですが、電車・バスで不自由なく動き回れていますので、まだ発病には至っていないようです。

その原因疾患として、よく知られているのがアルツハイマー病、レビー小体型認知症といった中枢神経変性疾患、血管性認知症です。治療可能な内科疾患でも認知症が引き起こされることから、不安のある方は一人で悩まず、受診をお勧めします。

MCI(Mild Cognitive Impairment:軽度認知障害)

本人や家族から認知機能の低下の訴えはあるものの、日常生活は問題なく送ることができている状態のことをMCI(Mild Cognitive Impairment:軽度認知障害)と言うそうです。

65歳以上では、当該人口の約15%、約460万人が高齢者認知症と診断されており、MCIの該当者も13%、約400万人と推定されています。(厚労省認知症対策総合研究事業研究報告書、2012)

MCIは、認知症有病者には含まれませんが、認知機能の低下が起きており、放置すると症状が進み、認知症へと移行する可能性が高いと考えられています。年間にMCIの10%が、症状が進行し、認知症へと移行するそうです。

日常生活は問題なく送れていても、認知症予備軍と言われると、この歳になると、誰しも不安になります。妻から、「あんた、ボケてきたん違う?」と指摘され続ける自分は、「前からや!」と開き直りはしているものの、認知症予備軍そのものです。ゴルフのスコアが、大叩きが原因でよく分からなくなります。認知力よりも、体力増強の方が必要かと考えています。

認知症の方やご家族を支援する神戸モデル

神戸市では、認知症の方やご家族を支援する仕組み、認知症患者の早期発見のための診断助成制度と事故救済制度を組み合わせた「神戸モデル」を2019 年1月より開始しています。

神戸市としては、認知機能検診を無料で実施することにより、早期発見し、認知症患者として登録してもらう方が、トラブルを未然に防ぎ、社会的メリットが大きいようです。

高齢発症の認知症は進行が緩やか

ご安心ください。認知症の有病率は、80代後半になると40~50%となりますが、高齢発症の認知症は進行が緩やかで、記憶障害が出ても、それ以上には進まない方も結構おられるとの前田名誉教授の言葉を頼りに、歳を重ねていきたいと思っています。

2022.6.25.

太平洋戦争末期の神戸市街の惨状 従兄の記述より

中村和成著 わが母校誕生のころ;本学の神話時代

本文は、私の従兄で、神戸医科大学の第1回卒業生の中村和成が、医学部の同窓会、「神緑会学術誌」に書き遺した「わが母校誕生のころ : 本学の神話時代 (2)」の引用です。

ここには、昭和20年の2月から3月にかけての神戸大空襲の様子が細やかに、1926年生まれの彼にしか書けない神戸市街の惨状が生々しく記述されています。

神戸医大は、神戸駅の北側、湊川神社の更に北の高台に建っています。隣の大倉山には高射砲台がありました。ほとんど敵機に命中することがなかったそうです。私が高校生になった時にも、その台座は残っており、その周囲は永らく家を失った被災者の住み家となっていました。

和茂兄さんとは、父・母が、兄弟・姉妹というダブル従兄弟で、小学生の頃からよく可愛がってくれていました。中学生ごろから夏休みには、することがないので、彼のいる解剖学の研究室によくついて行きました。帰り道、三宮の生田筋にあるロシア料理店「バラライカ」で、食べさせてくれたピロシキとボルシチスープの味は今でもよく覚えています。

私が同じ神戸医大に進み、フランス留学したのも彼のお陰です。私は、13歳から63歳まで、じつに50年間お世話になった学舎です。

2022.6.15.

 

武器ではなく、心と脳を使った生き方を

今のウクライナを見ていると、何か100年前にタイムスリップした感じです。鬼畜米英と騒わぎ、大東亞戦争に突入した昔の日本が思い出されます。

人種の多様性が問題視される時代となり、これまでの白人優位の時代もそろそろ終わり、一方通行でない折り合いのつけ方が問われる新しい時代入ったようなきがします。これも、自然の流れでしょう。その中で、G7とか、クアッドとか、既得権益をもつ欧米諸国に、最近の日本はうまく利用されている気がしないでもありません。

赤穂岬の公園で出会った青年

先般、赤穂岬の灯台近くにある「かんぽの宿赤穂」に、夫婦で久方ぶりに出かけました。午後のひととき、散歩に出ると、灯台の周りにある広場で、テントを張っている一人の二十歳すぎと思える好青年と出会いました。今夜はここで仲間と一緒に花見をするのだと、目を輝かせて応えてくれました。

宿に戻り、部屋の窓を覗くと、先ほどのテントが見え、テントを支えるロープには、「日の丸の旗」と「旭日旗」が掲げられていました。旭日旗は、普段街中で目にするのは、右翼団体の街宣車くらいです。何となく違和感を覚え、夜になると大騒ぎをするのではと案じていました。

私の予想に反し、音楽が聞こえてくることもなく、数人の男性青年たちが、静かにテントの周りで食事をし、一晩静かに過ごし、翌朝いつの間にか立ち去っていました。

あの澄み切った青年の瞳をみていると、鹿児島の知覧特攻平和会館に展示されていた若い特攻隊員たちの知的で、澄み切った瞳の写真を思い出しました。恐らく、人並み以上に愛国心に溢れた若者です。

日本が、ウクライナや80年前の日本に後戻りしないことを願うばかりです。愛国心に満ちた若者を戦場に送ることがないように。

2022.6.14.

老いを楽しく生きるには 1.身体を動かすこと

海洋冒険家の堀江謙一さん、83歳が、米サンフランシスコを出航、69日間の単独無寄港太平洋横断を終え、新西宮ヨットハーバーに6月4日に無事帰港されました。彼の勇気と決断に拍手喝采です。

体力的な衰えのある中で達成されたこの偉業は、培われたスキルと強い精神力が原動力のように、一つ歳下の私には思えます。同世代のものの中には、自分もやってみたいと思っている連中がいるに違いありませんが、いくら精神力があっても、スキルがないと難しいでしょう。

私は、いま月に数回ゴルフに行くのを楽しみにしています。70歳を過ぎ、平日でもプレーできる時間的余裕が得られた時からゴルフを始めました。当時は、まだ十分な体力に恵まれていたので、何とかアベレージ・ゴルファーとして楽しめました。

ところが、昨年までの2年間は新型コロナ禍と入院生活が重なり、体重は10kg以上減り、筋力が低下しました。幸いゴルフにはさほどの体力を求められませんので、年齢に関係なく楽んでいます。

先日、神戸高校時代の同級生のゴルフの集まり、「さんさん会」に参加しました。私の組の3人は、いずれも彼岸の手前まで最近往ってきた仲間です。歳がいくと、歯目マラをはじめ、身体の随所に異変がおこります。でも、ゴルフで身体を動かしていると、全てを忘れてしまいます。同世代の連中と程々にプレーし、歓談する時間が至福のときです。

私の先輩は、正月明けの寒風の中でゴルフに行き、明朝ベッドで亡くなっていたそうです。私は、ピンピンコロリというほどに元気溌剌ではありませんが、これからも精一杯身体を使って生きたく思っています。
2022.6.10.

2021年の出生数が81万人と過去最低に

2021年の出生数が81万人に減少というニュースがありました。今更驚くことはありませんが、100万人を下回ったのが2016年であり、その速さは想定以上のものです。合計特殊出生率も1.30と6年連続で低下し続けているそうです。晩婚化が進み、初産年齢は30.9歳と過去最高、50歳時の未婚割合は、男性が約28%で、女性が約18%となっています。

政治家のコメントはいつも、日本経済を支えるための少子化対策です。今回も、同じです。何か視点がずれていますよね。若者が安心して子供を産める社会、経済的に安心して生活できる養育費を国家が保障することにつきるのに。

政府は、「こども家庭庁」を令和5年度のできるかぎり早い時期に創設する意向だそうですが、その中身はこれから考えるそうです。

政府は「女性の経済的自立を新しい資本主義の中核と位置づけ、女性の所得向上につながる施策を強力に進める」との報道がありました。また、女性活躍推進策(女性版骨太の方針)として、離婚の増加や女性の長寿を念頭に「結婚すれば生涯、経済的安定が約束されるという『永久就職』は過去のもの」とし、昭和からの脱却を目指すそうです。

これからキャリアーを目指そうとする若い女性には、響きの良い言葉かもしれませんが、落とし穴もあります。ちょうどバブル崩壊後に、若者の新しい働き方として、フリーターがもてはやされた時代を思い出します。爾来、多くの職場で非正規労働者が多くを占めるようになったのです。

GDPが低迷する中で、女性の給料が上がっても、男性の給料が下がれば、若い世帯の収入は不変です。両親ともに家庭にいなくなる時間が増えるだけです。もう親が子育てする時代が終わりを告げようとしているのかもしれません。

今や就労の有無にかかわらず、母親一人での子育ては無理です。

これからの子どもたちを守るためには、保育師を高給、かつ定数の倍増です。学校の教師も。保育師や教師が目一杯働くと、しわ寄せは必ず子どもたちにきます。保育師や教師が、聖職者として、日本の将来を左右するカギを握っているようです。

夢として、幼少期には自然豊かな環境で過ごしたいものです。林立するマンションの鉄の扉で遮られた部屋での育児なんて、親も・子も狂いますよね。

2022.6.5.

わが回想記 電子書籍で発刊

これまで、ブログにあげていた『わが回想記 激動の昭和を駆け抜けて』を、Kindle 電子書籍として2022年5月に出版しました。自分自身で編集した本であるために、読みづらい点も多いかと思いますが、お目通しいただければ幸いです。

アマゾンから、『中村 肇』と『激動の昭和』で、検索していただくと容易に見つかります。単価200円と申し訳ありません。

戦中戦後の日本を体験したも限られてきました。日々報道されているウクライナと同じ光景が、日本でもあったのです。戦争は人間の脳を狂わせるようです。戦争に人道はありません。一日も早く終えてほしいものです。戦争で苦しむのはいつも国民

2022.6.3.