コロナワクチン有効率95%の意味

米製薬大手ファイザーは11月18日、独バイオ医薬ベンチャーのビオンテックと共同開発する新型コロナウイルスワクチンの臨床試験で95%の予防効果が確認され、重篤な副作用も見られなかったとする最終結果を発表しました。(2020年 ロイター/DADO RUVIC)

ファイザーによると、4万3000人を超える治験参加者のうち、170人が新型ウイルス感染症(COVID-19)に感染。感染者のうちワクチンの接種を受けていたのは8人にとどまり、残りはプラセボ(偽薬)の接種を受けていた。このことから、有効率が95%だったとされました。


ワクチンの有効率の計算式


ワクチンの有効率とは(1-接種者罹患率/非接種者罹患率)×100

=(1-0.0004/0.0075)×100  =  94.7%です。すなわち、もしワクチン接種をしていたら、発病せずにすんだ人(=非接種の罹患率 ー 接種の罹患率)のワクチン接種をせずに発病した人(=非接種の罹患率)に対する割合です。

ワクチンを接種した人が、発病せずにすむ比率(=接種者非罹患率)ではありませんので間違わないように。このワクチンの接種者非罹患率は99.96%となります。


  • ファイザーとビオンテックが開発するワクチン「BNT162b2」はメッセンジャーRNA(mRNA)技術に基づくもの。遺伝子を人工的に合成するため、短期間で大量のワクチンを製造できる利点があります。ファイザーは今月9日、同ワクチンの有効率が90%を超えたと発表していました。
  • 感染して重症となった被験者10人のうち、プラセボではなくワクチンの接種を受けていたのは1人のみでした。
  • 副作用については、おおむね軽度ですぐに解消したと報告。ワクチン接種を受けた被験者の2%超が疲労感を訴えていました。
  • 因みに、インフルエンザワクチンの有効率は、健常成人で発病予防を指標とした時に70〜90%、小児で発熱を指標とした時に20〜30%というデータがあります。(CDC, 2004)

202011.30

コロナ禍が母子家庭を直撃

かつては、一億総中流の国と言われた日本が。。。,

7人に1人の子どもが貧困状態

 日本が一億総中流の国であるというのは今や完全なる幻想とも言えるほどに、その貧困率は世界的に見ても高いものです。
2020年7月17日に厚生労働省が発表した「2019年 国民生活基礎調査」の結果から、2018年(平成30年)の子どもの貧困率(17歳以下)は13.5%と、約7人に1人の子どもが貧困状態にあることがわかりました。

 ひとり親家庭の子どもの貧困率はOECD加盟国中で最低

 貧困家庭にある子どもの比率、すなわち子どもの貧困率は、OECD各国の中で日本よりはるかに社会状況が深刻そうな国々とほぼ同じレベルです。特に、ひとり親家庭の子どもの貧困率はOECD加盟国中で最低です。

貧困率が深刻な母子家庭の8割近くでは、世帯収入が300万円以下です。​その大きな理由は、この国でシングルマザーが働き口を探すのが容易でないからと考えられます

日本の相対的貧困率は世界的にみて高い

私たちの実質所得は、1990年代末にピークを迎えた後には下落を続け、現在は30年前の水準に戻っています。一方で、相対的貧困率は着実に伸び続けています。2018年の貧困線(等可処分所得の中央値の半分)は127万円。貧困線に満たない世帯員の割合を示す「相対的貧困率」は15.4%で、2015年の15.7%より0.3ポイント改善したとはいえ、その貧困率は世界的にみて高いものです。

コロナ禍が母子家庭を直撃

政府は昨年11月、貧困家庭の子どもへの支援方針をまとめた「子どもの貧困対策大綱」を閣議決定し、生まれ育った環境で子どもの現在と将来が左右されないよう、早期の対策や自治体の取り組みを充実させる方針を立ててはいました。

しかし、その実効性が現れる前に、新型コロナが流行し、非常事態宣言が出されるに及び、非正規労働者が多いシングルマザーの働き口を奪い、母子家庭の生活をより一層苦しいものとしています。

3組に1組が離婚する現代社会

3組に1組が離婚する現代社会では、母子家庭でも安心して子育てができる社会づくりが求められます。母親に育児の責任を負わせるのなら、母親だけでも育児できるように、就労環境を改善し、子どもの医療費・教育費等の子育てに要する費用を全面的な公費負担とする必要でがあるしょう。


2020.11.28

スマート社会(Society5.0)に向けて

Society5.0とは

狩猟社会(Society1.0)、農耕社会(Society2.0)、工業社会(Society3.0)、そして現代の情報社会(Society4.0)の次に訪れる新しい社会のことを、スマート社会(Society5.0)と呼ぶそうです。この用語は、平成28年に閣議決定された第5期科学技術基本計画の中で提唱されたものです。

Society5.0とは、IoTによりサイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(人主体空間)を連携し、すべての物や情報、人を一つにつなぐとともに、AI等の活用により量と質の全体最適をはかる社会のことです。

Society4.0では経済発展に限界が

Society4.0では、情報の共有や作業工程の効率化が進みました。しかし、少子高齢化によって労働力が減少し、これまでの労働集約型の業務や知識の集積に基づく業務では、今以上の経済発展が望めません。日本は超高齢化社会が加速する中で、社会保障の破綻も懸念されています。

Society5.0では、

膨大な情報を的確に処理するため、人工知能(AI)の活用はさらに進みます。情報は人間が自ら集めて解釈するものから、人間にとってより理解しやすい情報としてAIが解釈・加工して提供されるものになるでしょう。

Society5.0においては、Society 4.0を土台としながらAIやロボット等によって人的リソースを代替化・省力化が実現します。テレワーク等が普及することで時間の有効活用ができるようになり、人は新たな高付加価値な業務を行うことができるようになります。

個別化医療の進展やロボット技術を活用した身体機能の支援が進めば、看護や介護の省力化が進みます。さらに、健康や医療、介護に関するデータを活用することで効率的な社会保障システムの構築も可能となり、質の高いサービスが提供できるようにもなります。

これらが実現すれば、今後直面するとされる社会課題の解決とともに、今以上に経済的な発展が可能となるでしょう。

Society 5.0に向けて国が目指す学校教育

ソサエティ5.0時代到来を見据えた学校の指導体制の確立が、ソサエティ5.0をよりよい社会にする鍵となります。平成30年、文部科学省は 「Society 5.0 に向けた人材育成に係る大臣懇談会」で 学びのあり方の変革を次のように提唱しています。

  • 一斉一律授業の学校は、読解力など基盤的な学力を確実に習得させつつ、個人の進度や能力、関心に応じた学びの場に。
  • 同一学年集団の学習は同一学年に加え、学習到達度や学習課題等に応じた異年齢・異学年集団での協働学習の拡大を。
  • 教室での学習は、大学や研究機関、企業、NPO、教育文化スポーツ施設等も活用した多様な学習プログラムが望まれる。

新時代に求められる人間教育

文科省は先の提言で、「文章や情報を正確に読み解き対話する力」、「科学的に思考・吟味し活用する力」、「価値を見つけ生み出す感性と力、好奇心・探求力」が重要であると挙げています。

新たな社会を牽引する人材として、国が求めているのは「技術革新や価値創造の源となる飛躍知を発見・創造する人材」、「技術革新と社会課題をつなげ、プラットフォームを創造する人材」、「様々な分野においてAIやデータの力を最大限活用し展開できる人材」です。

私の考えは、高度に情報技術が進歩した時代の初中等教育のあり方として、機械にできることは機械にまかせ、人間はより人間らしい力を身につけることです。

これまで以上に、人の多様性と共生を尊重する社会を目指し、人と人、さらには人とロボットとのコミュニケーション力の涵養が求められます。2020.11.26

新型コロナ感染、9人に1人が子ども

新型コロナ感染、9人に1人が子ども。失われた世代を生まないために。ユニセフ報告書発表20201119 NY発】 https://www.unicef.or.jp/news/2020/0238.htmlより


ユニセフ(国連児童基金)は本日、報告書を発表し、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックが2年目に入ろうとする中で、子どもたちへの重大かつ拡大する影響について警鐘を鳴らしました。

9人に1人が子ども新型コロナ感染

11月20日の「世界子どもの日」を前に発表された『COVID-19による失われた世代を生まないために」(原題:Averting a Lost COVID Generation)は、パンデミックの長期化に伴い、子どもたちへの悲惨で拡大しつつある影響を包括的に概説した初めてのユニセフ報告書です。

「パンデミックを通して、子どもたちはほとんど感染していないという神話が今も根強く残っていますが、それは見当違いです」と、ユニセフ事務局長のヘンリエッタ ・フォアは述べています。報告書によると、11月3日現在、年齢別データのある87カ国では、20歳未満の子どもと青少年がCOVID-19感染者の9人に1人、これらの国で報告された2,570万人の感染者の11パーセントを占めています。

COVID-19による子どもたちへの影響

COVID-19による重要な保健・社会サービスの中断こそ、子どもたちにとって最も深刻な脅威です。140カ国におけるユニセフの調査から得られた新しいデータを根拠に、報告書は次のように述べています。

– 分析対象国の約3分の1の国々で、定期予防接種、小児感染症の外来ケア、妊産婦保健サービスなどの保健サービスへのカバレッジが少なくとも10パーセント低下。感染症への恐怖が主な理由です。

報告書には、さらに以下の驚くべきデータが含まれています。

  • 2020年11月時点で、30カ国にわたる休校によって5億7,200万人の生徒が影響を受けており、これは世界の学校に在籍する子どもの33パーセントに相当する。
  • 12カ月の間に、子どもの死亡が推定200万人増え、死産が20万人増えるおそれがある。
  • 2020年、消耗症や急性栄養不良になる5歳未満の子どもたちが、600万人から700万人増え、これは14パーセントの増加となる。
  • 教育、保健、住居、栄養、衛生、水へのアクセスがない多次元の貧困の中で暮らす子どもの数は、2020年半ばまでに15パーセント急増し、1億5,000万人増えたと推定されている。

ユニセフは失われた世代を生まないように、各国政府とパートナーに向けて呼びかけています。


世界こどもの日:困難を乗り越えて・・・【関連動画】

世界子どもの日に際し、ユニセフは政府、パートナー、民間部門に向けて、子どもたちの声に耳を傾け、子どもたちのニーズを優先するよう呼びかけています。ともに未来を再創造し、パンデミック後の世界に目を向けるとき、子どもたちを最優先に考えなければなりません。


2020/11/24

ポストコロナ、ウェルビーイング重視の地域コミュニティを

国別の幸福度ランキングで日本は51

国連が20173月に発表した、世界155ヵ国を対象にした幸福度ランキングによれば、GDP世界3位の日本の順位は2016年の53位から、二つ順位を上げましたが、51位。1位はノルウェーで、上位5ヵ国のうち4ヵ国を北欧勢が占めています。主要な国をみますとカナダ7位、米国14位、ドイツ16位、フランス31位となっており、日本はまだまだ上を目指さなければならない位置にいます。

ウェルビーイング(well-being)とは、

ウェルビーイングとは、身体的、精神的、社会的に良好な状態にあることを意味する概念で、「幸福」と翻訳されることも多い言葉です。

1946年の世界保健機関(WHO)憲章の草案の中で、「健康とは、病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態(well-being)にあることを言います(日本WHO協会:訳)。

科学と産業革命で人類が蓄積してきた豊かさとウェルビーイング

過去500年の間に、科学と産業革命のおかげで、人類は超人間的な力と実質的に無限のエネルギーを手に入れ、人類が蓄積してきたこの豊かさは、私たち現代人に新たな満足を与えたのだろうか?と、ユバル・ノア・ハラリは著書「サピエンス全史」の最後で問いかけています。

文明社会は、強い絆で結ばれていた大家族を崩壊させ、核家族化しました。緊密で協力的な互助で成り立っていたコミュニティ社会は、都市への人口移動とともに、スケールの大きな、日常生活とかけ離れた組織的な政府によって統治されています。

大家族が崩壊し、コミュニティを奪い去られた現代の人々が、果たして幸せになったと言えるのでしょうか。

ポストコロナで地域コミュニティの見直しを

新型コロナの流行で、リモート・ワークでの勤務が3割近くに達しているそうです。朝夕の通勤ラッシュの中を出かける必要もなくなりました。これまで、会議のために、わざわざ新幹線に乗って、飛行に乗って出張していたのが、Zoomなどのネット会議で十分に間に合うこともわかってきました。

ポストコロナの時代には、国内外の企業に籍をもつ多職種の人々が、同じ地域に居を構えて、ネットを通じて仕事ができます。若い夫婦向けには、学校・保育園・公園の整備が不可欠です。

3人に1人が高齢者という超高齢社会が目の前です。若者たちには必ず高齢者がいます。医師・看護師、介護士など医療福祉関係者が必要です。

これからは、インターネットやAI(人工知能)を活用し、人にも、ロボットにも、ともにウェルビーイング(well-being)をもたらす新しい地域コミュニティづくりが求められます。


2020.11.18

重度のCOVID-19危険因子にネアンデルタール人由来の遺伝子が関与

人類遺伝学がご専門の西尾久英教授(神戸学院大学)から、英国科学雑誌Nature, 2020 Sep 30. doi: 10.1038に掲載されたZeberg H, Pääbo S.: ”The major genetic risk factor for severe COVID-19 is inherited from Neanderthals.”の話を伺いましたので紹介します。

スバンテ・ペーボ教授は、人類誕生の過程でネアンデルタール人とホモサピエンスの間での交雑説を、遺伝子解析からはじめて唱えられた博士で、ドイツのマックス・プランク進化人類学研究所の教授で、沖縄科学技術大学院大学の兼任教授もされています。

ペーボ教授らは、ネアンデルタール人から受け継がれた、3番染色体上の約50キロベースの遺伝子領域が、重症化リスクと関係していることを指摘しています。この領域は、南アジアの人々の約50%、ヨーロッパの人々の約16%が担っていますが、日本・韓国・中国など東アジアではほとんどの人が当該遺伝子を持っていないとのことです。

東アジアと欧米の国々では、SARS-CoV-2感染の重症化に差のあることはこれまで謎でしたが、ネアンデルタール人由来の遺伝子の有無が関与しているとのペーボ教授らの説は納得のいくものです。

南アジアと東アジアの間のハプロタイプ頻度のこのような違いは、過去の自然選択によって影響を受けた可能性が指摘されています。すなわち、南アジアでは、このハプロタイプを有する対立遺伝子の存在が病原体から人々を守るように働き、ハプロタイプの頻度が高いままになっているのかも知れません。

しかし、東アジア地域では、このハプロタイプを有する対立遺伝子を持つ人々が、コロナウイルスあるいは他の病原体に対して高い感受性を持つことになり(すなわち、感染して、死亡するために)、このハプロタイプの頻度が減少した可能性があります。

人類の歴史において、今回のコロナウイルス流行と同じような流行で遺伝子の選択が繰り返されてきたようです。

参考文献

[1] Ellinghaus, D. et al. Genomewide association study of severe COVID-19 with respiratory failure. N. Engl. J. Med. https://doi.org/10.1056/NEJMoa2020283 (2020). 重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV-2)に感染した後の呼吸不全のリスク遺伝子座として3番染色体上の遺伝子クラスターが特定された。

[2] COVID-19 Host Genetics Initiative. The COVID-19 Host Genetics Initiative, a global initiative to elucidate the role of host genetic factors in susceptibility and severity of the SARS-CoV-2 virus pandemic. Eur. J. Hum. Genet. 28, 715–718 (2020). コロナウイルス病2019(COVID-19)の入院患者3,199人と対照者を含む研究で、3番染色体上のクラスターがCOVID-19感染および入院後の重篤な症状の主要な遺伝的危険因子であることを示した。

2020年米大統領選挙と社会的分断

共和党のドナルド・トランプ米大統領と民主党のジョー・バイデン前副大統領が争ってきた米大統領選は、日本時間の8日未明、バイデン氏が当選を確実にしました。ただ、トランプ氏は選挙の不正を主張するなど、敗北を受け入れる様子を今のところ見せていません。

米国にいる私の知人の多くは、小児科医です。彼らは、いつも社会的弱者に接していることから、民主党支持者が多く、トランプ大統領に嫌悪感を露わにしたメールをよく送ってきます。トランプ大統領は、日本人のモラルでは理解しがたい言動がこれまでから多いのですが、今回の選挙戦では一層激しいものがありました。今回の選挙戦でも、前回選挙を上回る票を獲得し、敗北は僅差であり、なお根強い支持基盤の存在が浮き彫りになりました。

恐らく大半の日本人は、アメリカ合衆国を民主主義のモデル、世界の盟主とこれまで考えていたと思いますが、今回の選挙戦での両陣営の発言・ニューヨークなどでの暴動・選挙に対する不正発言などは、アフリカ新興国の選挙風景と変わらないようです。

2020年米大統領選挙においては、アメリカ社会の分断と人種差別を結びつけた報道が目立ちます。アメリカ社会そのものが移民によって成り立っており、白人による黒人やヒスパニック系への人種差別は続いていますが、次第に薄まってきたように思えます。今回の選挙で副大統領に就任予定のカマラ・ハリス氏は、ジャマイカ人とインド人の混血だそうで、大変理知的な女性です。

いま、アメリカ社会の分断の根底にあるのは、二極化した経済的格差です。

2020-11-11

新型コロナウイルスワクチンで懸念される副反応

新型コロナウイルスワクチンでもっとも懸念される副反応は、ワクチンによって逆に感染が悪化してしまう病態、すなわち、抗体依存性感染増強現象 (Antibody-dependent enhancement: ADE)ワクチン関連増強呼吸器疾患 (Vaccine-associated enhanced respiratory disease: VAERD)です。

ADEは、ワクチンによって産生された抗体が、ウイルス感染を防ぐのではなく、逆にFc受容体を介してウイルスが人間の細胞に侵入するのを助長し、ウイルス感染を悪化させてしまう現象です。これは、ウイルスに対する中和作用の低い抗体が多く産生される場合に生ずる現象です。

VAERDも、また同じくワクチンによって中和作用の低い抗体が多く産生される場合に生ずる現象です。この中和作用の低い抗体は、ウイルスと免疫複合体を形成し、補体活性化を惹起して、気道の炎症を引き起こします。

ADEやVAERDといった副反応を防ぐには、高い中和作用を持つ抗体を産生させ、かつTh1細胞優位の免疫反応を惹起するワクチンの開発でなくてはなりません。1日も早い供給が待たれますが、安全供給のための臨床試験、ワクチンの供給体制の整備、認可後の予防接種有害事象のモニタリング体制の整備が重要なようです。

2020-11-9

アジア初の国連機関UNOPSのGlobal Innovation Centerが神戸に

国連プロジェクト・サービス機関(UNOPS)が、神戸市にグローバル・イノベーション・センター(GIC Japan(Kobe))を開設する記念式典が116日にありました。

神戸市森林植物園2020-11-5

GIC Japan(Kobe)は、持続可能な開発目標(SDGs)の課題解決に資する新たな製品やサービスの創出を行なうことを目的としたインキュベーション施設であり、世界で3拠点目、アジアでは初の拠点とのことです。

WHO神戸センター (WKC) 19962月に設立

19951月の阪神淡路大震災により、 壊滅的な被害を受けた神戸には、WHO神戸センター (WKC) 19962月に設立され、被災地の復興と発展のシンボルになっています。

WKCの活動目標と戦略では、21世紀におけるグローバルな問題である、高齢化と健康、都市と健康、保健福祉システムの開発、さらには、女性と健康、伝統/相補・代替医療といった問題に重点を置いて活動しています。

神戸のこれらの機関から、先進国から発展途上国への情報発信基地としての活躍が期待されます。

UNOPSとは、コペンハーゲンに本部を置く、プロジェクト実施に特化した国連機関。UNOPS は他の国連機関、国際開発金融機関、援助国及び被援助国政府等からの依頼に基づき、特に被災地域や紛争地域等における援助プロジェクト推進を行う。

持続可能な開発目標(SDGs)とは

映画「スパイの妻」と軍事研究

今年のヴェネチア国際映画祭で銀獅子賞(監督賞)を受賞した『スパイの妻』は、太平洋戦争前夜の神戸を舞台に、国家機密を知ってしまった実業家(高橋一生)とその妻(蒼井優)の、愛と正義に賭けた姿を描く作品です。

ロケ地として、垂水区にある旧グッゲンハイム邸や神戸税関が使用されるなど、レトロモダンで異国情緒あふれる戦前の神戸の風景を楽しむこともできるとのことで、新型コロナ流行下ではありますが、10月末の平日の昼に家内と観に行きました。

1940年、神戸で貿易会社を営む優作が、赴いた満州で、恐ろしい国家機密を偶然知り、正義のため、憲兵隊の監視の目を掻い潜り、事の顛末を世に知らしめようとする話です。恐ろしい国家機密とは、満州で日本軍がペスト菌を用いて人体実験を行っているフイルムのことです。

折しも、日本学術会議のメンバー推薦に対する政府の任命拒否が話題となっています。20173月には、日本学術会議は、大学における「軍事研究」が学問の自由及び学術の健全な発展を脅かすと、「軍事的安全保障研究に関する声明」を出していました。

太平洋戦争を自分の目で見て、戦後を過ごしてきた私には、これまで当たり前と考えていた平和憲法の理念や学問の自由が、戦前へと巻き戻されつつあるように思えてならない今日この頃です。

2020-11-4