随想集 2020

随想集 2021

Kobe-Kathmandu Meeting on COVID-19

2021-1-26

Professor Pokharel of Tribhuvan University, Nepal, Professor Hisahide Nishio of Kobe Gakuin University, and myself had a ZOOM meeting for about 1 hour from 11:00 am on January 23, about “COVID-19 Circumstances in Nepal and Japan”. .. The following is a summary.

ネパール・トリブヴアン大学のポカレル教授と神戸学院大学西尾久英教授と私の3人で「ネパールと日本での新型コロナ事情」について、1月23日の朝11時から約1時間ZOOM会議をしました。以下は、その要約です。

JAPAN

population 126M, 5,500 cases / day, 99 deaths / day  on January 22, 2021

In Japan, from the end of the year to the beginning of January 2021, the rapid spread of infection and the third wave came, and the number of infected people per day exceeded 6,000 and the number of deaths exceeded 100 per day. From January 7th to February 7th, a state of emergency was issued, refraining from going out unnecessarily and urgently, and the business hours of restaurants are restricted to 8 pm.

日本では、年末から2021年1月初旬にかけて、感染の急拡大、第三波が訪れ、1日の感染者数が6,000人を超え、死亡者数も1日に100人を超えるようになった。1月7日から2月7日まで、非常事態宣言が発令され、不要不急の外出の自粛、飲食店の営業時間が午後8時までに制限されている。

NEPAL

population 28M, 318 cases / day, 6 deaths / day  on January 22, 2021

Recent overview in Nepal by Prof Dr Rameshwar Prasad Pokharel, Kathmandu, Nepal

In Nepal, there was a big wave from August 18th to January 9th, 2021, with more than 4,000 people a day at its peak, but Lock down was initially implemented from March 24th to June 2nd. Although it declined, the number of infected people surged from mid-August and was locked down again as Nepalese workers who had immigrated from cities in India returned across the border. After that, it was thoroughly carried out for 6 months. As a result, as of January 22, the number of patients was 318 and the number of deaths was 6, which is a low level.

  • Nepalese returned from India during COVID 19 infection.
  • People entering Nepal from Gaurifanta (India) southern west Nepal border.

Situation in Nepal Compared to Japan

  • Infected people in Nepal range from infants to 81 years of age, and by age group, Up to 20 years 22%, 21-40 years 61%, 41-60 years 7%, and 60+ years is 4%. Compared to Japan, it is characterized by being more common in the younger age group, and there are not a few cases of child death.

  • It seems that medical equipment was initially unavailable and confused, but now it seems that there is no problem with medical equipment and medicines.

  • As of January 22, 268,948 people were diagnosed with COVID-19 and 1,986 died.

  • RT-PCR tests are being performed on 1,957,454 people in Nepal. In addition, it is said that a mutant species in the United Kingdom has also been found.

ネパール・カトマンズ大学ポカレル教授による最近のネパールの動向

ネパールでは、8月18日から2021年1月9日までの大きな波があり、ピーク時には1日に4,000人を超えていたが、Lock downが当初3月24日から6月2日まで実施され減少したが、インドの各都市から移民していたネパール人労働者が国境をこえて戻ってきたために、8月中旬から感染者数が急増し、再びLock downされ、その後6か月間と徹底的に行われた。その結果、1月22日現在の患者数318人、死亡者数6人と低レベルを保っている。

日本とネパールの違い

  • ネパールでの感染者は、乳児から81歳までの幅広い年齢層にわたっているが、年齢層別にみると、Up to 20 years 22 %, 21-40 years 61 %,  41-60 years 7 % , 60+ years 4 %と日本と比べ程年齢層が多いのが特徴で、小児死亡例も少なくないとのことである。
  • 医療用機材が、当初は入手出来ずに、混乱したそうだが、今は医療用機材や医薬品で困ることはないそうである。
  • 1月22日現在、COVID-19と診断されたのは268,948名で、死亡例が1,986人である。
  • RT-PCR検査は、1,957,454人で実施されており、検査は全て香港のWHOで行われるそうである。なお、英国の変異種も見つかっているとのこと。

Trends in East Asia

Japan has the highest number of infections and deaths among East Asian countries.

I was fascinated by the spread of the infection in the United States and the United Kingdom. I noticed that Japan had the highest number of infections and deaths among East Asian countries.

What is the reason? When I hear the story in Nepal, I feel that the government’s measures were more focused on economic measures than infection measures in Japan.

東アジアの動向

日本は東アジアの国々の中で、感染者数・死亡者数が最も多い国

米国や英国での感染拡大にばかり目を奪われていました。気が付いてみら、日本は東アジアの国々の中で最も、感染者数も、死亡者数も多い国になっていました。

その理由は何なのでしょうか?ネパールでの話を聞いていると、どうも政府の対策が経済中心で、感染対策が後回しになっていた結果のような気がしてなりません。


なぜ、関西圏でCOVID-19死亡率が高い?

2021-1-25

人口10万人あたりのCovid-19での死亡者数は、11月末までは東京都と大阪府が全国平均の2倍以上でした。12月以後、東京都は全国平均よりも低値となっていますが、大阪府と兵庫県では、12月の初め頃から急にCovid-19での死亡者数の報告件数が急増し、首都圏特に東京に比べて異常に増え続けているのにお気付きの方が多いと思います。

吉村知事もこの点については多くを語られませんので、私なりに検討を加えてみました。

まず、関西圏と首都圏で、昨年11月末まで、12月単月、1月1日から24日までの3つの期間に分けて、感染者数・死亡数を人口10万人あたりに換算して比較しました。

大阪の死亡率は東京の2.63倍

人口10万人あたりの感染者数は、東京都に比較し、大阪府では53%、兵庫県は40%と約半分ですが(1月分)、人口10万人あたりの死亡率は、大阪府では2.63倍、兵庫県は2.36倍(1月分)となっています。

高齢化率は大阪が東京の1.19倍

死亡数の大半が高齢者です。65歳以上の高齢化率は大阪府が東京都の1.19倍、兵庫は1.25倍です。首都圏に比べて、大阪、兵庫では高齢者の比率が多少高いとしても、説明がつきません。

高齢者施設や病院でのクラスター発生の要因は?

関西圏では、高齢者施設や病院でのクラスター発生件数が多いのではないかと推察されますが、府県ごとのクラスター発生数についての資料を見出すことができません。

社会福祉法人や地方自治体が運営する公的な介護保険施設に関しては、都道府県別施設数・定員数の2019年6月の資料がありました。65歳以上の高齢者人口との比率を算出し、大阪府と東京都とを比較してみました。

介護老人福祉施設(特養)の高齢者人口あたりの定員数は、大阪府と東京都でほとんど変わりませんが、介護老人保健施設の定員数はは大阪府が東京都の1.51倍と多く、介護療養型医療施設は逆に東京都が大阪府より1.59倍多いという結果でした。高齢者施設には、これら公的施設以外に、私的な各種老人向け施設があり、都道府県別の詳細な施設数、定員数はよくわかりません。

私が首都圏と関西圏の違いに拘るわけ

5、6年前に、京都帝国大学の初代小児科教授の平井毓太郎先生のご業績を調べたことがあります。https://boy-hajime.ssl-lolipop.jp/2015/11/13/hirai/ ‎ 大正時代と旧い話になりますが、原因不明の「所謂脳膜炎」で死亡した児が関西だけで相次ぎ、その原因が白粉に含まれる鉛中毒であること平井先生らが突き止められました。

習慣化された日常ケアに案外落とし穴が

その後判明したことですが、関東でも、明治27〜28年頃に同様の「所謂脳膜炎」が多数観察されていましたが、明治36年に勧業博覧会を機に、鉛白粉の危険を察知した白粉製造業者は、関東地域では発売を中止しました。ところが、関東以外の地域では含鉛白粉が廉価であり、またなんの規制もなかったことから、その後20年間も使い続けられ、大きな被害をもたらしたという話が書かれていました。今は、新幹線が走り、インターネットで繋がっている時代ですから、地域間差はないと思われますが、習慣化された日常ケアに案外落とし穴が潜んでいるかも知れません。

高齢者施設では普段の感染症対策の見直しを

感染症が流行すれば、今後もクラスター発生が起こります。高齢者施設では、今回の経験をもとに普段からの感染症対策が望まれます。関西と東京都での高齢者施設のちがいにヒントが隠されているような気がします。


新型コロナ長期戦に備えて

どうやら、人出も減る傾向になく、感染者数もますます増えていきそうな空気です。高齢者は、重症化率が高いので、不要不急の外出を控えるようにと絶えず言われ続けています。私も、天気の良い日には1時間程度の散歩だけで、ほとんど家に籠っています。

ちょうど1年前の1月20日に、硬膜外出血で入院したのを契機に、60年近く乗り続けていた車を手放すことにしました。当時は、新型コロナ流行の直前であり、車のない生活が、こんなに不自由なものとは思いもしませんでした。

昨夏には大病を患い、長期間の入院を余儀なくされましたので、あまり不自由さを感じませんでしたが、秋の訪れとともに、体力が回復し、活動を再開し、身体の衰えを防ぐためにと、せめてゴルフの打ち放し場にでも行こうと思うのですが、感染対策上できるだけ公共交通機関を使いたくありません。

正月以来、寒さもあり、私が一歩も家から出ずに、家の中をいつもウロウロしていると、家内も根をあげ始めています。岡本梅林公園の梅だよりも聞こえてきました。春の訪れが待たれます。

ワクチンも、どうやら3月末には高齢者が接種できそうです。今年は、コロナの網目をかいくぐりながら、少しずつ活動をはじめようと思っています。 2021-1-20

年明け早々に、2度目の緊急事態宣言が発令

2021-1-13

昨年末からの、感染患者数の急増をみて、1月7日、東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県の1都3県を対象に、期間は1月8日から2月7日までの1か月間で、緊急事態宣言が発令されました。

緊急事態宣言は昨年4月7日から5月25日までの間以来、2度目となります。さらに、1月13日、緊急事態宣言の対象地域として、栃木県、岐阜県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県、福岡県が追加されました。今回の発令の出し方をみていると、政府はできることなら経済活動を停滞させたくない、緊急事態宣言を出したくないとの想いが伝わってきます。

感染症学が専門でない素人でも、パンデミックの危機管理は一旦後手に回ると、取り返しがつかなくなることは容易に理解できます。欧米の各国が良い例です。SARS、MERSの経験のある東アジアの中国、台湾、シンガポール、ベトナムでは、政府も、国民も感染者ゼロを目標とした施策を取っています。感染者数を減らしたこれらの国々は、決して経済活動が低下していないのです。近年、パンデミック体験のない日本人はどうやら危機管理意識ゼロのようです。

四方を海で取り囲まれ、最も防疫対策を取りやすい日本です。先手、先手の防疫対策を期待します。

日本の子どもの精神的幸福度は38カ国中37位: ユニセフ「レポートカード16」

ユニセフ報告書「レポートカード16」が、2020年9月3日に発表され、報道もされていましたのでご存知の方も多いと思います。日本の「子どもの幸福度」の総合順位は38カ国中20位でした。この総合順位は、以下の3つの分野を総合した順位です。
精神的幸福度:37位(生活満足度が高い子どもの割合、自殺率)
〇身体的健康:1位(子どもの死亡率、過体重・肥満の子どもの割合)
〇スキル:27位(読解力・数学分野の学力、社会的スキル)

「世界で最も豊かな国々の多くは、すべての子どもたちに良い子ども時代を提供するリソースを持っていながら、それが果たせていません。」と、ユニセフ・イノチェンティ研究所所長のグニラ・オルセンは述べます。

「政府がパンデミックへの対応の一環として、子どもたちの幸福度(wellbeing)を守るための迅速で確固たる行動をとらなければ、子どもの貧困率が上昇し、精神的・身体的健康状態が悪化し、スキルの格差が広がり続けるかもしれません。
COVID-19関連の子どもや家庭へのサポートはひどく不十分です。子どもたちに安全で幸福な子ども時代を提供するために、より多くのことをしなければなりません。そしてそれは今です」

「パンデミックによる経済、教育、社会への影響が続く中、一致して取り組まなければ、今の子どもたちの幸福度、その家族や社会への影響はさらに悪化し、破壊的なものになるでしょう。しかし、今各国政府が、子どもたちの幸福度を守る確固たる行動をとれば、これらのリスクは現実にならずに済むのです」(オルセン)

本報告書を通じてユニセフは、子どもの幸福度を改善するために以下のことを求めています。
所得格差と貧困を減らすために確固とした行動をとり、すべての子どもが必要な資源にアクセスできるようにする
• 子ども・若者のためのメンタルヘルスのサービスに関する深刻な格差を是正する
• 仕事と家庭のバランスを改善し、特に、質が高く柔軟で安価な乳幼児保育へのアクセスを改善するため、子育て支援策を拡充する
• はしかの予防接種率の最近の低下を逆転させることを含め、予防可能な病気から子どもを守るための策を強化する
• 子どものいる家庭を支援するCOVID-19関連の政策を改善し、子どもの幸福度を支える予算が緊縮財政措置から守られるようにする


精神的幸福度
15歳時点で生活満足度の高い子どもの割合(2018年)
日本62.2% 平均 75.7%  最上位:オランダ 89.8%

15~19歳の若者の自殺率 (10万人あたりの自殺者数、2013年~2015年の3年間の平均)
日本7.5 平均 6.5  最上位:オランダ 1.4

「すぐに友達ができる」と答えた15歳の生徒の割合(2018年)
日本69.1% 平均 75.5%  最上位:ルーマニア 82.7%


先進国の子どもの幸福度


精神的幸福度

  • 15歳時点で生活満足度の高い子どもの割合(2018年): 日本62.2%   平均 75.7% 最上位:オランダ 89.8%
  • 15~19歳の若者の自殺率 (10万人あたりの自殺者数、2013年~2015年の3年間の平均): 日本7.5   平均 6.5 最上位:オランダ 1.4

身体的健康

  • 5~14歳の子どもの死亡率 (1,000人あたりの死亡数、2018年):日本0.7   平均 1.0 最上位:ルクセンブルグ 0.4
  • 過体重または肥満である5~19歳の子どもと若者の割合(2016年):日本14.4%   平均 28.9% 最上位:日本 14.4%

スキル

  • PISAテストの読解力・数学分野で基礎的習熟度に達している15歳の生徒の割合(2018年):日本72.9%   平均 62.3% 最上位:エストニア 78.9%
  • 「すぐに友達ができる」と答えた15歳の生徒の割合(2018年):日本69.1%   平均 75.5% 最上位:ルーマニア 82.7%

    デジタルテクノロジーの使用と青年期の幸福との関連性は否定的
    Amy Orben, Andrew K Przybylski: The association between adolescent well-being and digital technology use. Nat Hum Behav. 2019 Feb;3(2):173-182.
    若者によるデジタルテクノロジーの普及は、彼らの定期的な使用が心理的幸福に悪影響を与えるという憶測に拍車をかけています。3つの大規模な社会データセット(合計n = 355,358)について仕様曲線分析(SCA)を適用して、青少年に対するデジタルテクノロジーの影響に関する相関証拠を厳密に調べたところ、デジタルテクノロジーの使用と青年期の幸福との関連性は否定的ですが小さく、幸福の変動の最大0.4%を説明しているに過ぎなかったとのことです。


すばらしい未来が楽しみです 最終回

2001年秋から20年間にわたり、年4回の連載「赤ちゃんの四季」が、今回で終わることになりました。少子化が進む中で、赤ちゃんがもつ明るく、夢のある話を、幅広い読者にお届けしたいと、お引き受けしたのを思い出します。

21世紀に入り、脳科学・認知心理学の進歩とともに、人間の脳の微細な構造とその機能が画像で観察できるようになり、乳幼児期の精神運動発達のようすを脳の発達と結びつけて考えることができるようになりました。非行・犯罪・自殺といった思春期の問題も、乳幼児期から学童期にかけての過ごし方と無関係でないこともわかってきました。

子育てで大切なこと、それは赤ちゃんの脳に「他人を信頼する能力」を刻み込むことです。赤ちゃんは、見つめ合いや微笑、表情の模倣を介して学習し、それが人への信頼感を育み、感性豊かな大人になっていくのです。

いま、世界は人工知能(AI)の時代に突入しました。AIのもつ深層学習(Deep Learning)という機能は、人間の脳の働きを模して組み立てられた人工の脳であり、学習したことを記憶として刻み込んでいきます。

AIロボットが、子育ての手助けをする時代がもう目の前まできています。AIロボットに子育ての手助けをしてもらうには、手塚治虫氏の鉄腕アトムのような、「おもいやり」と「あたたかい心」をもったロボットに育てねばなりません。

それには、私たち人間が、AIロボットの良きお手本となる振る舞いをしないと、AIロボットは勝手に「おもいやり」や「あたたかい心」を手に入れることはできません。私たち人間自身の行っている子育てがこれでいいのか、よく振り返ってみることです。

これまで以上に子どもたちを心豊かに育むことにより、互いの人格と個性を尊重し、支え合い、多様なあり方を認め合える新しいデジタル社会が訪れるのを楽しみにしています。

長年にわたり、ご愛読ありがとうございました。
2020-01-08   「赤ちゃんの四季」最終回

150. 学校が一斉閉鎖にならないように 2月号

2020-01-10

新型コロナの感染拡大が続き、ついに緊急事態宣言が出されました。昨年の緊急事態宣言では、学校は一斉に閉鎖され、子どもから教育の機会を奪っただけではなく、屋外活動や社会的交流もできなくなり、子どもを抑うつ傾向に陥らせ、心身に影響を及ぼしました。

その後の研究から、新型コロナはインフルエンザと異なり、子どもは大人と比べて感染しにくく、感染しても軽症であり、死亡例がほとんどないことが、わかってきました。このような理由から、このたびは小中学校の一斉休校の措置がとられなかったようです。

しかし、最近では、感染の拡大に伴って感染する子どもが増えています。しかも、感染した子どもは、鼻咽頭や便にウイルスを長期間・大量に排泄し続けていることもわかってきましたので油断はできません。

クラス内にクラスターが発生しないように、三密(密閉、密集、密接)を避け、マスク・手洗いをしっかりと守ってください。