2014年、午年に因んで

若葉「名誉教授からの一言」 2014

昨年は、アベノミクス、オリンピック東京招致と久方ぶりに明るいニュースの多い年でした。さて、今年は午年。「午」の本来の読みは「ご」で、「杵(きね)」が原字だそうです。前半(午前)が終わり、後半(午後)が始まる位置、その交差点が正午です。草木の成長期が終わり、衰えの兆しを見せ始めた状態を表しています。

のちに、覚え易くするために動物の馬が割り当てられました。 馬は「物事が”うま”くいく」「幸運が駆け込んでくる」などといわれる縁起のいい動物です。午年生まれは、もともと楽天家で、バイオリズムの変動が激しく、運気の落ち込みを感じないひとが多いようです。

「核黄疸」が超早産児で問題に

私自身の昨年は、大変エキサイティングな1年でした。かつての研究テーマであった「核黄疸」が超早産児で問題になっており、30年以上前に開発したUBアナライザーの出番が再び巡ってきたことから、森岡一朗講師を中心に若い大学院生の横田先生、香田先生らと、飯島教授の心強いご支援も頂き、神戸UB懇話会を立ち上げ、毎月1回話し合いの機会を持つことができました。黄疸に関心をもつ関連病院の先生、加古川西の米谷先生、森沢先生、姫路日赤の五百蔵先生、こども病院の坂井先生、高槻の片山先生らも加わり、共同研究を開始することができました。

この10年間、新生児学の研究から遠ざかっていた私は、ブランクを取り戻さねばなりません。幸い、最近ではPubMedの助けを借りれば、自宅においても資料収集が可能な時代となり、時間にゆとりのある私は、一気にファイリングすることができました。その結果、我が国では黄疸への関心をもつ新生児科医が少ないために、黄疸研究が新生児医療の進歩の中で取り残されていることを知りました。

超早産児の救命率が著しく向上した中で、生存退院しても神経発達障害をもつ児がかなり多い現実。多くの施設では超早産児の黄疸管理指針がないままにケアされており、気がついたときには重症黄疸になっていた例があり、あるいは黄疸に気付かれずに新生児期を過ごし、フォローアップではじめて脳MRI所見、ABR異常、難聴などから核黄疸を強く疑わせる例が少なくありません。

いまさら私の出番ではないかも知れないとは思いつつも、若い新生児科医に再考を促さねばとの思いから、秋の日本未熟児新生児学会で講演の機会をつくってもらいました。森岡先生らと中国の広州市での国際核黄疸シンポジウムにも参加し、諸外国の黄疸研究者との旧交を暖めることもできました。

さあ、今年は午年。肉体は下り坂ではありますが、気分は楽天的に、駆け抜けていきたく思っています。

歳とともに学んだこと

歳に関係なく、「幸せ」は達成感から。

手を伸ばせば、手に入る「幸せ」、いくら手を伸ばしても無理だったのが、歳月が経てば手の届くものもある。

歳がいってから、初めて手に入れると、本当に「幸せ」を感じる。

若いうちは、せいぜいやり残すがよい。

いろんな「幸せ」の引き出しに、大切にしまっておくことだ。

2014年1月記