歴史的に見た日本の人口から

日本の人口は、歴史的にみて一時的な停滞期こそあれ、弥生時代より絶えず増加し続けてきました。今日のような人口減少社会のモデルはないのです。

これまでの人口の頭打ちの背景をみると、平安時代の300年余りは、農民一人ごとに耕地を割り当てた戸籍・班田収授制の崩壊や、西日本を心とした干ばつ被害・疫病等の影響が考えられています。
江戸時代前期(17 世紀)においては、人口の急増がみられましたが、江戸時代後期(18世紀以降)、享保の改革で知られる徳川吉宗の時代には倹約令がしかれ、大飢饉があり、江戸時代末期まで人口増加が停滞しています。

私たち現代人は、明治維新より続いてきた人口急増と相俟った繁栄の歴史に終止符を打ち、新しい未知の世界に足を踏み入れようとしています。
私が、今の若者であるなら、旧来の価値観に全くとらわれない、新しいライフスタイルを求めて、国内外を問わず旅し続けている気がします。

資料:縄田康光氏: 歴史的に見た日本の人口と家族より

アメリカ在住の友人からのメール

年が明け、もう月半ば。あっという間に時が流れていきます。

長年アメリカに在住の大学時代の同級生から、新年のメールが届きました。彼女は妻のLINE友達で、週に1度は1時間以上の長話をしていました。今回の私へのメールでは、今年の11月にあるアメリカの大統領選挙についてのコメントです。

現在の推測ではトランプが共和党候補に選ばれそうです。どうしてアメリカ人がトランプのような人を大統領候補に選ぶのかわかりません。バイデン大統領は年齢がいっているし、沢山の移民が不法に入国している事実と、一般国民の毎日の食糧費が高くなっている事等でバイデンはトランプに負けるのではないかと(私個人の意見ですが)、心配をしています。と書かれていました。そのメールへの私の返信として、

あなたは、「アメリカ人がトランプのような人を大統領候補になぜ選ぶのかわかりません。」ということですが、私は、かつて、日本の皇室制は素晴らしいと言う話をアメリカ人の友人から聞いたことがあります。アメリカには天皇陛下がいない。”America First”と連呼するトランプの強い姿が、国民に夢を与えるのでしょう。

一方、日本では、政治資金パーティー券を巡る事件が連日報道されており、内閣支持率は30%を下回っています。でも、誰が首相になっても変わらないと、政治への無関心、諦めムードです。

国民の30%が65歳以上の高齢者、世界で最も長寿国の日本、身動きが取れない感じです。今のところ、高齢者への福祉はほぼ従来通りですが、これがいつまで持つことやら。

これからも、USA便りを楽しみにしています。 2024.1.18.

 

易経のはなし。 衰運から開運に脱出するには,

昨秋に神戸学院大学の博学の西尾久英教授から「易経」を紹介され、早速読み始めたのですが、内容が膨大すぎて枕元に置いたままでした。年末年始の休暇で時間も十分あり、再び手に取ってみました。

「易経」は、四書五経と呼ばれる儒教の経典の一つで、六十四の卦から成り立っています。六十四の卦は、三つの要素、「天」・「人」・「地」の組み合わせ。「天」は陽と陰の相互作用、「人」は仁と義の相互作用、「地」は剛と柔の相互作用でなり、さらに同じ組み合わせをもう一組、合わせて2の4乗、六十四通りで成り立っています。

「火水未済」が今の時勢に相応しい

年頭にあたって、易経最後の六十四番目の「火水未済」が今の時勢に相応しいと感じました。そこに、記述されているのは、

  • 完成した時代から、未完成の時代に移行しました。これから、また新たな完成に向うのです。
  • 急いではなりません。実力を養い、準備を整えて、順次に事を運びましょう。すると、凶運から盛運に向かっていくのです。
  • 最初はできそうにない事も、やがては成し遂げられます。
  • 慎み深さを失えば、良いことは何もありません。
  • 妄動せずに、全員が一致努力して事に臨めば、事態は好転します。
  • 火と水がうまく交わるように、適材適所を計りましょう。

これら三千年前の古代中国の教えは、現日本政府の施策よりも説得力があり、国民に希望を与えてくれるようです。2024.1.2.

映画「ナポレオン」を観て

ナポレオンの映画というだけで、昨日HAT神戸まで観に行きましたが、平日のせいか観客はまばらです。

18世紀末、フランス革命後の混乱に揺れるフランスで、若き軍人ナポレオンは共和国成立のために目覚ましい活躍を見せ、軍の総司令官に任命されました。ナポレオンは、クーデターを成功させて第一統領に就任、そしてついにフランス帝国の皇帝にまで上り詰め、最後は失脚し、セントヘレナ島に流刑されるまでの3時間近い大作です。

フランスの最高権力を手に、何十万人の命を奪う幾多の戦争を次々と仕掛け、フランスを「守る」ための戦いが、いつしか「侵略」、そして「征服」へと向かっていったのです。その戦闘場面は昔も今も変わりません。これは、人類がもつ「性」なのでしょう。

同時進行で、皇帝にまで上り詰めた英雄ナポレオンが、最愛の妻ジョゼフィーヌが妊娠できない身であることがわかり、不本意な離婚に追い込まれるシーンがあります。そこで、ナポレオンが ”I miss you.”と連呼します。”I miss you.” という英語表現だけが私の記憶に残っています。2023.12.15.

老子の説く理想の国『小国寡民』

小さい国は人口が少なく、いろいろな器具があっても使わせない。

人民に命を大切にさせ、遠くに移り住ませない。たとえ小舟と車があっても、

それに乗ることはなく、武器や鎧があっても、並べて使用することはない。

二千数百年前に書かれた『老子』という書物は、具体的な人名や地名がまったく現れない、抽象的な議論に終始した内容であるにもかかわらず、長い年月にわたって東アジアの人々の思考の指針であり続けてきました。

それはこの書物の内容の深さと広さとの証明であります。また、欧米の知識人の興味を強く惹きつけ、そのキーワードである「道(タオ)」という言葉は広く流通しています。世界全体を見渡せば、『老子』は『論語』よりもはるかに広く読まれ、大きな影響を与えています。

『老子』の思想の根幹は、その動的な世界観にあります。つまり、世界のいかなるものも、動かないものとしてではなく、生まれ、変化し、滅ぶものとして理解させます。

そしてそれを、固定した動かし得ないものと思い込んでしまうことの危険性を、さまざまな角度から指摘し、粘り強く繰り返し、叱咤激励します。

参照:湯浅邦広著、超入門「中国思想」、大和書房、2016.

2023.11.10.

勝ちきることの難しさ

今年の阪神は本当に強い。75年間応援してきたが、これまでで一番強い気がします。日本シリーズの相手がどのチームであろうと勝ちきると信じられます。

一時は「ダメ虎」と揶揄されてきましたが、今の闘いぶりは、虎が「百獣の王」だと納得できます。(西欧では、百獣の王はライオンを指しますが、中国においてはトラを指します。)

 藤井聡太が世紀の大逆転で八冠に

八冠を狙う藤井聡太七冠と名誉王座の資格がかかる永瀬拓矢王座との「絶対に負けられない戦い」が10月11日に行われ、藤井聡太七冠が永瀬拓矢前王座のAI勝率「99%」から世紀の大逆転となりました。

私は、将棋については全くの素人で、たまたま囲碁将棋チャンネルで生中継していたので、両者の対決風景をテレビで眺めていました。画面には、一手指すごとに勝率が表示され、後半には永瀬拓矢王座の有利をグラフは示していましたが、両人の所作を見ていると、藤井聡太七冠の方が圧倒的に落ち着いた所作でした。

勝ちきることの難しさ

私は、今春より、東灘区の囲碁同好会に週2日参加しており、四半期ごとにリーグ戦が行われています。今は三段で、全体の上三分の一に位しています。一番の高位者は八段です。

一局の終盤に入ると、下手ほど自分の有利を守ろうと打つ手が消極的になることを実感します。勝負ごとは何でも同じこと、高段者になるほど終盤の戦いに長けているように見えますが、実は下手が勝手に転けているような気がします。

人生も同じこと、最期まで気を緩めることなく、前向きに生き抜いていかねばなりません。

2023.10.21.

妻道子に先立たれました

妻道子が、去る9月12日に他界し、親族と極く親しい友人だけでの家族葬を行いました。多くの方々のご厚情に感謝申し上げます。

昨年8月初旬に、結腸がんが見つかり、切除していただきました。術後、順調に経過し、1カ月余りで中高時代の友人と津軽への旅に、年末年始には山口県の湯田温泉、別府温泉へと普段と変わらぬ生活を続け、湯治と称して有馬温泉、赤穂温泉、淡路島に度々出かけていました。

本年7月ごろより、がん転移のために腹満と腹痛が現れ、甲南医療センター緩和ケア病棟に入院させて頂き、朝夕の鎮痛薬が奏功し、食事を摂取できるまでに回復しました。

8月末には退院し、医療型ケアホーム「グランダ御影西」に入居することになり、私自身も自立型として一緒に入居できたので、二人で大喜びしました。夕食は、1階のレストランに出かけ、テーブルを囲んでいると何だか旅行気分のようだと語り合い、亡くなる数日前まで見舞いに来た孫たちの話にも頷いていました。3週間足らずのホーム生活に満足し、静かに眠るように息を引きとりました。

これまで、私の生命・窮地を何度となく救ってくれた妻・道子が先立つとは、全くの想定外の出来事です。遅ればせながら、彼女への恩返しをする時間を与えられた気がします。

息子・娘たちは、お陰様で立派に成人しており、将来に何ら不安もありません。子どもたちに迷惑をかけ過ぎないようにという妻の忠告を肝に命じて。

9月20日

ChatGPT との奮闘記 その3

人間の文章のような自然な感じがするのは、なぜ?

ChatGPTで生成される文章が、いかにも「コンピューターが作った文章」という感じでなく、人間の文章のような自然な感じがします。

AIが話題になったときから、「深層学習」という人間の脳の仕組み、ニューラルネットワーク・モデルが用いられているのを知ってはいましたが、これまでAIの応答はいかにもコンピューターの答えという感じでした。

今回のChatGPTで生成される文章の自然さの仕組みが、どのようみして成り立っているのか知りたく思っていました。
外出ついでに書店に立ち寄ると、ChatGPTの入門書が店頭に積み上げてありました。ページを繰ると、「人間の文章のような自然な感じがするのは、なぜ?」という章がありました。その一部を紹介します。

ファインチューニングというモデル

その理由は、ChatGPTにはファインチューニング(細かい調整)というモデルが組み込まれているからだと記載されていました。ユーザーとAIの会話形式のデータについてのファインチューニングを行うことにより、より自然な会話が可能になったそうです。ChatGPTで作成された文章は、人間の場合の思考形式ではなく、大量の学習データを処理して、「それらしい答え」を確立的に出しているに過ぎません。

ChatGPTが作成した文章は正しいとは限らない

データベースに十分な情報がない場合や、大量の誤情報が送りつけられてくると、間違った内容の文章を作成し、世の中を混乱に陥れます。
私たち人間は、コンピューターに負けないように、日々の知的訓練を怠ってはなりません。
2023.5.31.

新しい鑑賞スタイルのゴッホ・アライブ展

兵庫県立美術館で催されているゴッホ・アライブ展が大変な人気であると知り、私たち夫婦は娘に連れられて出かけました。平日の午後であるにも関わらず大変な賑わいで、30分ほど並んでやっと会場内に入れました。

アライブ展というのは、作品の前に立ち止まり、静かに鑑賞するこれまでの展示形式ではなく、会場に入ると40台のプロジェクターから壁面に一斉に投影される画像とサウンド音響を融合させた新しいアート鑑賞の形です。

本来静止しているはずのゴッホの名画から、花が舞い、星は瞬き、汽車が走るという動画作品になっているのです。元々ゴッホの作品は力強く、ダイナミックさに溢れていることから、映像化されるとその特徴が一層強調されています。

客の大半は若い世代で、特に女性客で会場内はうめつくされ、映像画面の下半分は客の頭の影となり、ゆっくり鑑賞する雰囲気ではありません。まるで人気アイドルグループのコンサートのようで、場違いの所に紛れ込んだ感じでした。椅子に腰掛け、じっくりと鑑賞できるのなら、もう一度訪れてみたい気持ちです。

2023.5.18.

 

ChatGPT との奮闘記 その1

チャットGPTとは、OpenAIが2022年11月に公開した人工知能チャットボット、AIによる文章化ソフトです。その文章力の凄さから、世界中が騒然としています。私も時代に遅れてはならないと、ダウンロードを試みたのですが、もう一つうまくいきません。

中高時代の友人に指南を受ける

中高時代の同級生4人でメールのやり取りをしています。その一人でIT関連の仕事をされていたS君が、ChatGPTを使っていろんな情報収集の可能性、その弱点と優秀性について紹介されていました。

私自身でも使いたくなって、何度かダウンロードを試みたのですが、上手くいきません。彼に相談すると、懇切丁寧な「ChatGPTの使い方」をPDFにしてすぐに送ってきてくれました。

私がしても、上手くいかなかった原因がわかりました。Google検索で「ChatGPT」を入れるまでは良かったのですが、最上段に出てくる「Introducing ChatGPT」を見逃して、2段目以後のサイトにアクセスしていたのです。

第二の難関が

インストールに成功し、テレビで見慣れた画面も現れました。使い始めると、画面がすべて英語なので、これは英語で問いかけなくてはと思い、
Q:「I am Japanese. How to use Japanese? 」と問いかけると、
A:「こんにちは!(Konnichiwa!) If you want to use Japanese, there are several ways you can do it, depending on your goals and interests. Here are some suggestions: Learn the basics: If you’re new to Japanese, start by learning the basics of the language, such as hiragana . . . .」と答えてくるのです。要約すると、日本語の勉強をしなさい。ご親切にも「ひらがな」からはじめることを勧めてくれました。

これでは使いものにならないと、再度問いかけてみました。
Q: 「I am native Japanese, and It is difficult to ask in English. Can I ask you in Japanese?」と問い直すと、
A:「はい、もちろん大丈夫です!何か質問があれば、遠慮なく日本語で聞いてください。お答えできる限りお手伝いいたします。」と丁寧な対応をしてくださいました。

そのあと、「月までの距離は?」という私の問いに対して、丁寧すぎる回答をくれました。これからは、問いかけるスキルを身につけなくてはと思いました。S君、また相談にのってください。

正しい答えも、間違った答えもある

私の専門分野から、新生児脳障害のひとつである核黄疸(Kernicterus)について問いかけると、Nuclear icterusと誤訳され、その説明内容は全く見当違いのものでした。
5月3日のブログに、「端午の節句の由来」を取り上げました。ChatGPTの回答では、日本での歴史についての記載が少なく、中国での由来を中心に記されています。ChatGPTの情報の中には、日本語よりも中国語での情報が多く含まれているのかもしれません。とはいえ、立派な文章には恐れ入りました。
AIによる文章化ソフトも、道具の一種、要は使い方次第なのでしょう。

自分のブログを英訳してみる

ChatGPTが英訳機能をもつことを見つけました。早速、自分のブログの英訳を試みました。手始めが、最新のブログ、「大人を癒してくれる“まなかい”」です。
瞬時に打ち出されてくる英文を見て、驚きました。口頭でもなかなかわかってもらえない文章を瞬時に訳してしまうのです。

これは使いものになると思ったものの、一抹の不安もあり、早速高校時代の友人で英語、フランス語に堪能なN子さんにメールで相談してみました。すぐに次のような返事が来ました。
「賢いAIさんが翻訳されたのだからこれでよいと思いますが、多少子どもたちに関心があって、Dr.のお考えにも触れてきたためか、ちょっと頼りなく感じています。AIさんは、文章はきちんと訳してくれますが、それぞれの分野の知識や著者のemotionの分野まではまだ汲み取れないのかな? どう思われますか?」

思い出すのはパリ留学時の出来ごと

彼女のコメントを見て思い出したのは、50年前のパリ留学時のことです。2年目に入り、フランス語で論文を書くようにと言われ、和仏辞書を片手に必死に書いて、ボスのところに持っていった時のことです。

一目見るなり、おまえの書いている文章の意味はわかるが、これはフランス語の論文ではないと言われました。最後は、全く原形を止めない文になっていました。
今回のAIの文章は、あの時の私のフランス語での文章とは比べものにならない出来栄えであると変に納得しています。

英文の大意の間違いをチェックすれば、私の英語よりもmuch betterです。
しばらくは、ChatGPTのお世話になってこれまでのブログの英訳を続けてみようかと思っています。少し内容が充実すれば、メールで交信のある外国人留学生たちに紹介できるのを楽しみにしています。

最後に

ここまでたどり着けたのも、高校時代の同級生や、私のブログで安否確認をしてくれている友人たちのおかげです。これからも、ご指導をお願いします。
2023.05.14.