月は心を癒してくれる

今日は太陰太陽暦の8月15日。今夜の月、「中秋の名月」はよく晴れて、美しく輝くことでしょう。

秋の名月をめでる習慣は、平安時代に中国から伝わったと言われています。月が満ちた姿を模した丸い団子をお供えし、秋の豊作への祈りや感謝、その団子を食べることで健康と幸福が得られると考えられてきました。中国菓子で有名な月餅も、同様です。

太陽とは異なり、月は私たち人間の生活と大きな関わりをもっています。日本では今は太陽暦ですが、100年余り前までは太陰暦が用いられていました。バイオリズムには、月の満ち欠けが深く関わっている感じがします。

太陽に纏わる思い出はありませんが、月と結びついた思い出はたくさんあります。とりわけ、20年前に敦煌の鳴沙山(めいさざん)で見た中秋の月です。有名な観光地・月牙泉のそばにある砂山で、風が吹くと「砂が鳴く」ような音を出すことで知られています。その砂山は、東西の長さが約40km、南北の幅が約20kmの広大なクムタグ砂漠の一部です。満月を見ていると、広大な宇宙の中に吸い込まれそうな感じでした。

今夜も、Debussyの ピアノ曲Clair de lune(月の光)をiPadで聴きながら、床につきます。見え隠れする月明かりに照らされている気分となり、心が鎮まり、いつの間にか眠りにつくことができます。

鳴沙山

2023.9.29.

 

秋のお彼岸の墓参りに

連日の猛暑も峠を越えたので、9月23日のお彼岸に朝早くから、息子、娘二人と4人で、京都相国寺にある妻道子のご両親のお墓まいりに、道子の逝去を報告するために出かけました。

その帰り道には京都駅ビルの東山を一望できるレストランに入り、湯葉御膳を楽しみました。このようなイベントはいつも家内が取り仕切っていたので、父親と子ども3人たちだけで出かけた記憶は全くありません。

でも、子どもたちはよく覚えています。彼らがまだ小学生の頃、母の日になぜか道子の逆鱗に触れ(多分私が原因で)、私と子どもの4人で甲南市場の食堂で外食し、食べ残しのそばを舟に入れてもらい持ち帰ったところ、投げ捨てられたことを、子どもたち3人は今でも鮮明に覚えているそうです。

道子も、私もいちばん必死になって生活していた頃でしょう。長い夫婦生活、いろんな出来事がありました。ちょうど運動会シーズン、孫抜きでのお参り、全員50代になった子どもたちも童心に帰っていました。

2023.9.23.

 

妻道子に先立たれました

妻道子が、去る9月12日に他界し、親族と極く親しい友人だけでの家族葬を行いました。多くの方々のご厚情に感謝申し上げます。

昨年8月初旬に、結腸がんが見つかり、切除していただきました。術後、順調に経過し、1カ月余りで中高時代の友人と津軽への旅に、年末年始には山口県の湯田温泉、別府温泉へと普段と変わらぬ生活を続け、湯治と称して有馬温泉、赤穂温泉、淡路島に度々出かけていました。

本年7月ごろより、がん転移のために腹満と腹痛が現れ、甲南医療センター緩和ケア病棟に入院させて頂き、朝夕の鎮痛薬が奏功し、食事を摂取できるまでに回復しました。

8月末には退院し、医療型ケアホーム「グランダ御影西」に入居することになり、私自身も自立型として一緒に入居できたので、二人で大喜びしました。夕食は、1階のレストランに出かけ、テーブルを囲んでいると何だか旅行気分のようだと語り合い、亡くなる数日前まで見舞いに来た孫たちの話にも頷いていました。3週間足らずのホーム生活に満足し、静かに眠るように息を引きとりました。

これまで、私の生命・窮地を何度となく救ってくれた妻・道子が先立つとは、全くの想定外の出来事です。遅ればせながら、彼女への恩返しをする時間を与えられた気がします。

息子・娘たちは、お陰様で立派に成人しており、将来に何ら不安もありません。子どもたちに迷惑をかけ過ぎないようにという妻の忠告を肝に命じて。

9月20日

適応能力をもつ動物が生き残ってきたが

陸上に暮らす動物は、すべて海からやってきたものの子孫です。陸上に進出した時期は、昆虫の祖先がおよそ4億8000万年前、脊椎動物がおよそ3億8500万年前とされています。鳥類は、およそ1億5000万年前までに恐竜から進化しました。それに比べて、われわれ人類、Homo-Sapience(賢い人類)が現れたのは、たったの30万年前です。

動物は陸上に進出すると同時に、大地を動き回るための移動手段を進化によって獲得しました。脊椎動物は歩き回るための手足を、虫たちは脚のほかに、さらに遠くまで移動するための「羽」を得たのです。この進化により、地球上での気候変動による絶滅の危機を乗り越えてきたのです。

人類は、自らの身体で移動する代わりに、すぐれた脳と手で、多くの道具を生み出し、地球上での覇者になりました。いま、地球温暖化が大きな課題になっていますが、私たち人類は、この逆境を克服して新しい進化を遂げていくと私は信じています。

これまでの生物の進化は、自らの身体を変化させてきましたが、これからの人類は、生活環境に適応するために、身体の変化でなく、生活環境そのものをコントロールし、地球にとどく太陽エネルギー量、降雨量などの適正化手段を開発していくことでしょう。

2023.9.9.

AIと囲碁・将棋 〜子どもにAIを使わせるのは危険

将棋の藤井聡太7冠(21歳)の8大タイトル制覇を目指す王座戦がいよいよ始まりました。囲碁界では仲邑菫さん(13歳)が女流棋聖のタイトルを獲得し、世間の注目を集めています。他にも若者のタイトル保持者が続々と進出しています。

いま、なぜ、囲碁・将棋界を若者が席巻できたのか?

その理由は明白です。AI技術がいち早く導入されたのが、囲碁・将棋なのです。その代表的なソフトであるグーグルの「アルファ碁」は、2016年に世界のトップ・プロ棋士を相手に勝利を収め、世界を驚かせました。その後も、プロ棋士を相手に何と60連勝しているのです。人間はどうしてもAIには敵わないのです。

これまでの定石が通じなくなった

多くの若手棋士達は、AIソフトを活用しており、自分が対局した棋譜をAIに打ち込み、検討しているそうです。その結果、昔は定石と言われた石の運びが、必ずしも最善でなく、これまで悪手とされていた手筋をAI が選んでくるそうです。人間とAI では、発想が全く異なり、予想もしなかった手を選んでくるのです。

子どもにAIを使わせるのは危険

数多くのトッププロを育てられた囲碁指導者は、子どもにAIを使わせるのは危険だと言います。その理由は、自分で考えず、ただ答えだけを見るからです。囲碁が私たちにくれるものは、思考力や創造力、判断力などです。AIを無条件的に使えば、そうしたものが発展しないので、分別と判断力を身に着けてから適切に使うのが一番よいと述べられています。

AIを手に入れたところで、誰でも強くなるわけではありません。タイトルを手にするトッププロには、元々人並みはずれた才能と努力があるからです。

いま、自動文章作成ソフト、ChatGPTが話題ですが、宿題や論文作成をソフトに全面的に頼るのは危険です。やはり、最終的に判断し、決断するのは我々人間です。

2023.9.1.