東京、NY、CA のCOVID-19感染者数推移の比較

2020.05.29 Friday

日本においては、COVID-19感染の爆発的広がりもなく、押さえ込みに成功したようです。

2月末から続けてきた「COVID-19を追って」も今回を最後とします。再拡大のないことを念じて、筆を置きます。

2月末から5月29日までの記事は http://covid19.hajime.boy.jp  で閲覧できます


2020.05.29 Friday

東京、NY、CA のCOVID-19感染者数推移の比較のまとめ

東京都では他の2州に比べて、感染者数、死亡者数ともに100分の1という極めて低い水準です。その背景には、1)NYに比べてCAおよび東京はまだ1日感染者数が100人未満の時に緊急事態宣言が出された。2)CAおよび東京では当初の感染者数の増加速度には大差がなかった。CAではその後の増加を抑えられなかった理由としては、日本人の規律を従順に遵守する国民性が、CAのような増加が持続する事態に至らなかったと考えられます。

  • 東京都、兵庫県、および米2州、ニューヨーク州(NY)とカリフォルニア州(CA)のCOVID-19感染者数の推移を比較した。日々の感染者数は変動が大きいので、前7日間の移動平均でプロットした(図1)。
  • いずれの都市においても3月6日の時点では、感染者数は人口1千万人あたり10人以下であった。
  • NYでは100人前後に達した3月16日頃より急峻な増加を示し、Doubling timeは2日未満であった。1日100人から1,000人に増加するのに7日未満であった。
  • CAで倍増に要した最速日数は3日、東京都で4日と、NYに比べてなだらかな増加を示した。
  • NY州の3月22日(ロックダウン開始日)の感染確認は1万5168件、死者114人であったが、5月6日(ロックダウンから46日後)の感染確認 32万6,659件、死者2万5,028人と増加、その後も増加が続いている。



日本における緊急事態宣言

2月27日 全国の小中高校に休校要請が出された。不要不急の外出自粛が求められた。

3月11日 WHOがパンデミックを表明した。

3月19日 政府専門家会議は オーバーシュートの恐れありと警鐘を鳴らした。関西では、大阪府と兵庫県の間の不要不急の往来自粛の呼びかけがなされた。

3月24日 東京五輪・パラリンピック、2021年夏までの開催延期決定。

3月25日 小池都知事が「感染爆発の重大局面」と緊急会見。

4月7日 緊急事態宣言が出され、外出自粛が要請された。5月21日に解除された。


NY州, CA州におけるLockdown宣言

NY州では3月22日にロックダウンが開始日された。感染者数は1万5168人、死者114人で、1日の新規感染者数は500人を超えており、医療崩壊が起こっていた。

5月6日(ロックダウンから46日後)の感染確認 32万6,659人、死者2万5,028人と増加、その後も増加が続いている。

CA州では3月19日にロックダウン開始。NY州に比べて、当初の増加速度は比較的穏やかであったが、ロックダウン開始1ヶ月後には一時減少傾向にあったが、その後再び増加に転じ、今でも増加している。


 

世界18カ国のCOVID-19感染者数および死亡者数との対比

2020-5-29

  • WHOの5月16日のデータをもとに、世界18カ国のCOVID-19感染者数および死亡者数との対比を示すグラフを作成した。
  • アジア地域では感染者数も、死亡者数もともに低く(シンガポールは感染者数数が多いが死亡者数は少ない)。
  • スペイン、イタリア、イギリス、フランス、オランダ等のヨーロッパ諸国では早期に感染拡大があったこともあり、感染者数、死亡者数ともに著しく高い。
  • スエーデンは他の北欧3国に比べて感染者数、死亡者数ともに高い。
  • 人口10万人あたりの感染者数が200人を超えると、死亡数が急増している。


飼いネコ間のCOVID-19直接接触感染

2020.05.28 Thursday

2019年にCOVID-19が発生している正確な原因はわかりませんが、もともとは動物の感染源であることがわかっています。

現時点では、COVID-19を引き起こすウイルスの拡散に動物が重要な役割を果たすという証拠はありません。現在までに入手できる情報が限られているため、COVID-19が人に拡散するリスクは低いと考えられています。このウイルスについてはまだ調査中ですが、状況によっては人から動物へと広がる可能性があるようです。

www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/daily-life-coping/animals.html

COVID-19が陽性であった動物の最初の米国での症例は、NY動物園のトラでした。


飼いネコ間の直接接触感染を検討

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32402157/

2020年4月に米・ニューヨーク市で2世帯の飼いネコ2匹で初めてSARS-CoV-2陽性が確認された。中国では、ネコやフェレット間での実験的な空気感染が報告されている。

今回の研究では、SARS-CoV-2を接種したネコと未感染のネコを一緒に飼育し、直接接触によりウイルス感染が起こるかどうかを評価した。

今回、ネコが感染する可能性があることが実験的に確認されたが、SARS-CoV-2への曝露による自然感染リスクはかなり低いようだ。また、ネコは、ネコ同士よりもはるかにヒトからSARS-CoV-2に感染しやすいとの指摘もある。

 

高齢者には 何も新型コロナだけが特別でない

齢80の身、他人に迷惑をかけてはならぬと、毎日家に閉じこもっています。今回のパンデミックは、近年では桁違いのもので、ウイルスの恐ろしさを改めて実感しています。

下図は、50代の死亡率を1.0とした時に、年齢とともにどう変化するかを示した図です。高齢者はハイリスクと言われ続けていますが、高齢者にとって、新型コロナだけが特別に恐ろしいわけではありません。

平均余命に手がとどくところまで来ると、まさにサーバイバル・レースです。特段のことがなくても、これからは仲間の4%が毎年死亡して行くのです。

ここまで来れたことに感謝し、毎日毎日を大切に過ごしたいものです。新型コロナはどこに潜んでいるか分からないようなので、気をつけてください。



2020.05.25 Monday

ニューヨーク市の三次医療センターでのCOVID-19重症小児例の臨床的特徴

Clinical Characteristics and Outcomes of Hospitalized and Critically Ill Children and Adolescents with Coronavirus Disease 2019 (COVID-19) at a Tertiary Care Medical Center in New York City  The Journal of Pediatrics (2020), doi: https://doi.org/10.1016/ j.jpeds.2020.05.006.   By Jerry Y. Chao JY, et al. Department of Anesthesiology, Albert Einstein College of Medicine, Montefiore Medical Center


研究デザイン:2020年3月15日~4月13日の間に単一の三次医療の小児病院からCOVID-19を使用した1か月から21歳の子供67人について重篤な疾患の臨床プロファイルと危険因子について検討する。

結果:67人の子供がCOVID-19の検査で陽性であった。 21名(31.3%)が外来患者として管理されました。入院患者46名のうち、33名(72%)が一般小児医療ユニットに入院し、13名(28%)が小児集中治療室(PICU)に入院した。

肥満と喘息は非常に流行していたが、PICU入院とは有意に関連していなかった(p = 0.99)。 PICUへの入院は、より高いC反応性タンパク質、プロカルシトニン、およびプロBタイプのナトリウム利尿ペプチドレベルと血小板数と有意に関連していました(すべてのp <0.05)。 PICUの患者は、高流量の鼻カニューレを必要とする可能性が高く(p = 0.0001)。

重度の敗血症と敗血症性ショック症候群は、7人(53.8%)のPICU患者で観察されました。急性呼吸窮迫症候群(ARDS)は10人(77%)のPICU患者で観察され、そのうち6人(46.2%)が中央値9日間の侵襲的人工呼吸を必要とした。 PICUにいる13人の患者のうち、8人(61.5%)が自宅に退院し、4人(30.7%)の患者が14日目の換気補助により入院したままです。1人の患者は、転移性癌のために生命維持療法の中止後に死亡した。

結論:COVID-19で入院した小児患者において、PICU入院を必要とする重症疾患の以前に認識された率よりも高い率にあった。PICUに入院した子供たちの平均入院期間は、一般医療機関に入院した子供たちよりも4日長くなりました。

入院時に最も頻繁に報告された症状は咳(63%)と発熱(60.9%)。入院前の症状の持続期間の中央値は3日でした。病気になる前にCOVID-19の影響を受けた地域に旅行した子供はいなかったため、COVID-19の人との接触が確認されたのは20人(43.5%)の子供だけだった。

子供は軽度のSARS-CoV-2疾患を経験すると考えられているが、これらの結果と以前の研究の結果は、一部の小児患者がPICUの入院を必要とするほど重篤な疾患を発症していることを示唆しています。 「このサブセットは、メディカルユニットの患者と比較して、炎症マーカー(CRP、プロBNP、プロカルシトニン)が大幅に高かった。炎症が原因でARDSの発生率が高くなった可能性が高い。ただし、IL-6および他のサイトカインの血清レベルではARDSと決定されなかった」と著者らは記している。

後方視的コホート研究では、単一のセンターで治療された177人の子供と若い成人のうち、1歳未満と15歳以上の患者がCOVID-19で重症になる可能性が高いことがわかった。 2つの年齢グループのそれぞれが入院患者の32%を占めていた。


2020.05.23 Saturday

コロナ感染は発症前から発症5日が最多、6日以後はほとんど感染しない!

Contact Tracing Assessment of COVID-19 Transmission Dynamics in Taiwan and Risk at Different Exposure Periods Before and After Symptom Onset.  JAMA Intern Med. Published online May 1, 2020.


台湾では2020年5月14日現在、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者440人、死者7人で感染制御に成功しています。その台湾衛生福利部疾病管制署(台湾CDC)からJAMA Internal Medicineに「台湾のCOVID-19感染ダイナミクス」の論文が出ました。

100人の感染確定者と2,761人の接触者について追跡(contact tracing)を行い、時期による感染力の違いが明らかになりました。内容は誠に驚くべきものでした。

最大のポイントは「COVID-19感染は発症前から発症5日が最多で、6日以後はほとんど感染しない!」です。

最重要点は次の3つです。

  1. 接触者追跡は発症4日前までさかのぼれ
  2. COVID-19は発症前から発症5日までに感染リスクがあり、6日以降はない!
  3. COVID-19の二次感染までの期間(serial interval)は4~5日、SARS4

すなわちCOVID-19患者が肺炎を起こして入院するころにはもう感染しにくくなっているというのです。これは医療者にとっては誠に福音(エバンゲリオン、good news)です。

発症6日以後にCOVID-19患者に接触した852人で発症はなんと0(95%CI 0~0.4%)でした。中国や香港でも、医療者は病院でなくて家庭で感染する方が多かったというのです。ドイツでも発症1週以後、生存ウイルスは分離されていません。

重症の肺炎患者は大量のウイルスを出しているのではなく、サイトカインストームにより悪化するということなのでしょう。


2020.05.20 Wednesday

兵庫・大阪の感染者数の推移と今後の予測

このサイトは、COVID-19の日々の患者数の推移を7日間移動平均でグラフ化し(日差が大きいために)、今後の推移を予測するために対数メモリで表しました。

予測値は、黄色バーで。7日間移動平均値、予測値はグラフの日時より3日前の値を反映している。


日別感染者の予測数(兵庫県)

  • 5月14日に緊急事態宣言が39府県で解除されました。(5月17日記事更新)
  • 5月12日には、3月25日以来の新規感染者ゼロに。(5月13日記事更新)
  • 5月に入り、減少が続くも、非常事態緊急宣言が5月末まで延長される。(5月4日記事更新)
  • 4月18日以後、1日に20人前後の発生で横ばい状態。神戸市立中央市民病院のクラスターが関連。( 4月23日記事更新)
  • 4月22日頃に100人/日に。4月28日頃に200人/日に。( 4月11日記事更新)
  • 兵庫は東京に2週遅れ、大阪に1週遅れで同じ傾向をとるので、予断を許しません。兵庫は3月28日頃より指数関数的増加が見られます。。。。 Doubling time 6日 ( 4月4日記事更新)

日別感染者の予測数(大阪府)

  • 7日間移動平均が4日連続で10人を切りましたので、このグラフも終了します。(5月17日記事更新)
  • 5月14日に緊急事態宣言が39府県で解除されました。
  • 4月17日以後、1日に60人前後の発生で横ばい状態。( 4月23日記事更新)
  • 4月4日頃より増加速度が鈍り、Doubling timeが6日となった。4月17日頃に100人/日、4月23日頃に200人/日 ( 4月11日記事更新)
  • 前回までは、Doubling timeを4日とした時の予測値(4月7日のデータまで用いて。)

    2020.05.17 Sunday

東京都での予測とNY, CA, China の感染者数の推移

7日間移動平均を用いた日別感染者数の推移(NY、CA、東京の比較)


東京都の7日間移動平均

  • 東京都の7日間移動平均も20を切りましたので、このグラフも終了します。(5月17日記事更新)
  • このペースで行くなら、5月15日にやっと30名に達する。(5月17日記事更新)
  • 死亡率も7%と韓国やシンガポールに比べて高い。
  • この背景には、PCR検査数が極めて少ないところにある。東京都37%、大阪府4.4%、兵庫県1%、頑張れ!東京、Disclose data!!(5月1日分で)
  • 4月14日以後、増加は止み、19日頃よりわずかに減少に転じてきた。4月7日の非常事態宣言が奏功してきたか。。。(4月23日記事更新)
  • 移動平均をみると、増加はやや鈍化してきている。Doubling timeを6日、4月15日頃に200人/日に、4月21日頃に400人/日に!!(4月11日記事更新)
  • 黄色グラフは、Doubling timeを4 日とした時の予測値(4月7日のデータまで用いて。)
  • 4月12日に200人/日、4月16日頃に400人/日に!!(4月7日)
  • これを阻止するのは早期の外出規制のみ。「最適な緩和策」参照
  • 小池知事の慌てぶりがよく理解できる。(3月25日) ここ1~2週間が。。。。。(ここまで4月7日の記事)

NY、CA,中国の7日間移動平均

(4月28日記事更新)

  • NY、CA、東京の3地区における1日当たりの感染者発生数の推移を7日間移動平均にしてみると、3地区でのウイルス伝播速度の違いが明らかである。
  • 同じアメリカでもアジアに近いCAでは、伝播速度が遅く、東京に近い。対策が遅れ感染者が増えた?ウイルス変異?
  • 西海岸は中国由来、東海岸はEU由来?
  • USA全体の移動平均をみても、増加は止まっており、すでにピークか。4月8日。
  • 前半の2週間が最も増加速度が大で、Doubling timesは2.0日、その後の2週間は2.5日。
  • 中国、USAでは増加フェーズは概ね1ヶ月続いている。
  • USAでは1日に3万人近い感染者数が3週間続いている。(4月28日記)

参考  China 72,314例の要約


2020.05.17 Sunday