小児におけるSARS- CoV-2感染が流行の初期に起こっていた

Detection of Covid-19 in Children in Early January 2020 in Wuhan, China. The New England Journal of Medicine on March 16, 2020. By Weiyong Liu, Ph.D. Tongji Hospital of Huazhong University of Science and Technology , Wuhan, China


論文要旨と私のコメント

この論文は、中国武漢の病院に、Covid-19 アウトブレイクの初期段階の2020年1月7日から2020年1月15日までに、入院していた366人の小児入院患者を対象にした後方視的研究です。

その間に、最も頻繁に検出された病原体は、インフルエンザAウイルス(23人の患者[6.3%])およびインフルエンザBウイルス(20 [5.5%])で、Covid-19を引き起こすウイルスであるSARS-CoV-2は、6人の患者(1.6%)で検出されました。

その感染ルートを調べていると、患者またはその家族の誰も、Huanan Seafood Wholesale Market(Covid-19の症例が最初に関連付けられた場所)または互いに直接的な接触がありませんでした。 1人の患者は武漢の外に住んでおり、予期せず発見されたそうです。彼らの調査結果は、小児におけるSARS- CoV-2感染が流行の初期に起こっていたことを示していますが、その意義については触れられていません。

Zunyou Wu らがまとめた中国CDCのレポート[1]では、10歳未満児、10-19歳児ともに1%とコロナウイルス病2019(Covid-19)の小児発症例は極めて限られています。私が推測するに、小児発症例が少ないのは、小児では感染していても無症状だったり、極めて軽症で経過し、検査対象になっていなかったことが一番考えられます。SARSにおいても、小児発症例は限られていました。

[1] Zunyou Wu . Summary of a Report of 72 314 Cases From the Chinese Center for Disease Control and Prevention, JAMA Published online February 24, 2020


2020.3.17