子どもは赤ちゃんに興味をもつ

小学4年の孫娘によると、自分が読んだ本の中から、友達にすすめたい本を紹介する学校の授業があったそうです。読書好きの孫娘は、新型コロナ流行による休学期間中に、手当たり次第に家にある本を読んでいたようで、私が3年前に出版した「赤ちゃんの四季」を見つけ、読後感想文を提出したそうです。担任の先生の花マル入りの文を持ち帰り、私にも見せてくれました。

そこには、「赤ちゃんの大切さがよく分かりました」とか、わたしが好きなところは「赤ちゃんが母親のまねをするのがかわいい」、「命の大切さ」をとても考えさせられる本でしたと書き綴られています。

エッセイ集「赤ちゃんの四季」は、兵庫県予防医学協会の季刊誌「明日の健康」に2000年から20年近く連載しているコラムを1冊にまとめて出版したものです。私は、新生児医療を専門にした小児科医なので、近年の脳科学の進歩により明らかになってきた赤ちゃんの脳の特徴や興味深い行動、母と子の関係性などを中心に、四季折々の子どもの話題を取り上げてきました。

育児の話をするときには、「五感」や「共感」を司る脳に良い刺激を与える大切さを強調してきました。とりわけ、AI・ロボットが進化した近未来社会では、幼少期に体験する「五感」と「共感」こそが、人間らしさの原点と言い続けています。

小学生の孫娘が「赤ちゃん」に関心を寄せたことは感激でした。昔は、兄や姉が学校から帰宅すると、赤ちゃんを背負って遊ぶ姿をよく見かけましたが、少子社会の今では赤ちゃんに直に触れる機会がほとんどありません。

学校の授業として保育園を訪れ、赤ちゃんに触れ、赤ちゃんのもつ不思議さ・可愛らしさを小さい時から体験し続けることが、人間らしさを持続する社会には不可欠です。

2020-12-25