勝ちきることの難しさ

今年の阪神は本当に強い。75年間応援してきたが、これまでで一番強い気がします。日本シリーズの相手がどのチームであろうと勝ちきると信じられます。

一時は「ダメ虎」と揶揄されてきましたが、今の闘いぶりは、虎が「百獣の王」だと納得できます。(西欧では、百獣の王はライオンを指しますが、中国においてはトラを指します。)

 藤井聡太が世紀の大逆転で八冠に

八冠を狙う藤井聡太七冠と名誉王座の資格がかかる永瀬拓矢王座との「絶対に負けられない戦い」が10月11日に行われ、藤井聡太七冠が永瀬拓矢前王座のAI勝率「99%」から世紀の大逆転となりました。

私は、将棋については全くの素人で、たまたま囲碁将棋チャンネルで生中継していたので、両者の対決風景をテレビで眺めていました。画面には、一手指すごとに勝率が表示され、後半には永瀬拓矢王座の有利をグラフは示していましたが、両人の所作を見ていると、藤井聡太七冠の方が圧倒的に落ち着いた所作でした。

勝ちきることの難しさ

私は、今春より、東灘区の囲碁同好会に週2日参加しており、四半期ごとにリーグ戦が行われています。今は三段で、全体の上三分の一に位しています。一番の高位者は八段です。

一局の終盤に入ると、下手ほど自分の有利を守ろうと打つ手が消極的になることを実感します。勝負ごとは何でも同じこと、高段者になるほど終盤の戦いに長けているように見えますが、実は下手が勝手に転けているような気がします。

人生も同じこと、最期まで気を緩めることなく、前向きに生き抜いていかねばなりません。

2023.10.21.

月は心を癒してくれる

今日は太陰太陽暦の8月15日。今夜の月、「中秋の名月」はよく晴れて、美しく輝くことでしょう。

秋の名月をめでる習慣は、平安時代に中国から伝わったと言われています。月が満ちた姿を模した丸い団子をお供えし、秋の豊作への祈りや感謝、その団子を食べることで健康と幸福が得られると考えられてきました。中国菓子で有名な月餅も、同様です。

太陽とは異なり、月は私たち人間の生活と大きな関わりをもっています。日本では今は太陽暦ですが、100年余り前までは太陰暦が用いられていました。バイオリズムには、月の満ち欠けが深く関わっている感じがします。

太陽に纏わる思い出はありませんが、月と結びついた思い出はたくさんあります。とりわけ、20年前に敦煌の鳴沙山(めいさざん)で見た中秋の月です。有名な観光地・月牙泉のそばにある砂山で、風が吹くと「砂が鳴く」ような音を出すことで知られています。その砂山は、東西の長さが約40km、南北の幅が約20kmの広大なクムタグ砂漠の一部です。満月を見ていると、広大な宇宙の中に吸い込まれそうな感じでした。

今夜も、Debussyの ピアノ曲Clair de lune(月の光)をiPadで聴きながら、床につきます。見え隠れする月明かりに照らされている気分となり、心が鎮まり、いつの間にか眠りにつくことができます。

鳴沙山

2023.9.29.

 

秋のお彼岸の墓参りに

連日の猛暑も峠を越えたので、9月23日のお彼岸に朝早くから、息子、娘二人と4人で、京都相国寺にある妻道子のご両親のお墓まいりに、道子の逝去を報告するために出かけました。

その帰り道には京都駅ビルの東山を一望できるレストランに入り、湯葉御膳を楽しみました。このようなイベントはいつも家内が取り仕切っていたので、父親と子ども3人たちだけで出かけた記憶は全くありません。

でも、子どもたちはよく覚えています。彼らがまだ小学生の頃、母の日になぜか道子の逆鱗に触れ(多分私が原因で)、私と子どもの4人で甲南市場の食堂で外食し、食べ残しのそばを舟に入れてもらい持ち帰ったところ、投げ捨てられたことを、子どもたち3人は今でも鮮明に覚えているそうです。

道子も、私もいちばん必死になって生活していた頃でしょう。長い夫婦生活、いろんな出来事がありました。ちょうど運動会シーズン、孫抜きでのお参り、全員50代になった子どもたちも童心に帰っていました。

2023.9.23.

 

妻道子に先立たれました

妻道子が、去る9月12日に他界し、親族と極く親しい友人だけでの家族葬を行いました。多くの方々のご厚情に感謝申し上げます。

昨年8月初旬に、結腸がんが見つかり、切除していただきました。術後、順調に経過し、1カ月余りで中高時代の友人と津軽への旅に、年末年始には山口県の湯田温泉、別府温泉へと普段と変わらぬ生活を続け、湯治と称して有馬温泉、赤穂温泉、淡路島に度々出かけていました。

本年7月ごろより、がん転移のために腹満と腹痛が現れ、甲南医療センター緩和ケア病棟に入院させて頂き、朝夕の鎮痛薬が奏功し、食事を摂取できるまでに回復しました。

8月末には退院し、医療型ケアホーム「グランダ御影西」に入居することになり、私自身も自立型として一緒に入居できたので、二人で大喜びしました。夕食は、1階のレストランに出かけ、テーブルを囲んでいると何だか旅行気分のようだと語り合い、亡くなる数日前まで見舞いに来た孫たちの話にも頷いていました。3週間足らずのホーム生活に満足し、静かに眠るように息を引きとりました。

これまで、私の生命・窮地を何度となく救ってくれた妻・道子が先立つとは、全くの想定外の出来事です。遅ればせながら、彼女への恩返しをする時間を与えられた気がします。

息子・娘たちは、お陰様で立派に成人しており、将来に何ら不安もありません。子どもたちに迷惑をかけ過ぎないようにという妻の忠告を肝に命じて。

9月20日

適応能力をもつ動物が生き残ってきたが

陸上に暮らす動物は、すべて海からやってきたものの子孫です。陸上に進出した時期は、昆虫の祖先がおよそ4億8000万年前、脊椎動物がおよそ3億8500万年前とされています。鳥類は、およそ1億5000万年前までに恐竜から進化しました。それに比べて、われわれ人類、Homo-Sapience(賢い人類)が現れたのは、たったの30万年前です。

動物は陸上に進出すると同時に、大地を動き回るための移動手段を進化によって獲得しました。脊椎動物は歩き回るための手足を、虫たちは脚のほかに、さらに遠くまで移動するための「羽」を得たのです。この進化により、地球上での気候変動による絶滅の危機を乗り越えてきたのです。

人類は、自らの身体で移動する代わりに、すぐれた脳と手で、多くの道具を生み出し、地球上での覇者になりました。いま、地球温暖化が大きな課題になっていますが、私たち人類は、この逆境を克服して新しい進化を遂げていくと私は信じています。

これまでの生物の進化は、自らの身体を変化させてきましたが、これからの人類は、生活環境に適応するために、身体の変化でなく、生活環境そのものをコントロールし、地球にとどく太陽エネルギー量、降雨量などの適正化手段を開発していくことでしょう。

2023.9.9.

AIと囲碁・将棋 〜子どもにAIを使わせるのは危険

将棋の藤井聡太7冠(21歳)の8大タイトル制覇を目指す王座戦がいよいよ始まりました。囲碁界では仲邑菫さん(13歳)が女流棋聖のタイトルを獲得し、世間の注目を集めています。他にも若者のタイトル保持者が続々と進出しています。

いま、なぜ、囲碁・将棋界を若者が席巻できたのか?

その理由は明白です。AI技術がいち早く導入されたのが、囲碁・将棋なのです。その代表的なソフトであるグーグルの「アルファ碁」は、2016年に世界のトップ・プロ棋士を相手に勝利を収め、世界を驚かせました。その後も、プロ棋士を相手に何と60連勝しているのです。人間はどうしてもAIには敵わないのです。

これまでの定石が通じなくなった

多くの若手棋士達は、AIソフトを活用しており、自分が対局した棋譜をAIに打ち込み、検討しているそうです。その結果、昔は定石と言われた石の運びが、必ずしも最善でなく、これまで悪手とされていた手筋をAI が選んでくるそうです。人間とAI では、発想が全く異なり、予想もしなかった手を選んでくるのです。

子どもにAIを使わせるのは危険

数多くのトッププロを育てられた囲碁指導者は、子どもにAIを使わせるのは危険だと言います。その理由は、自分で考えず、ただ答えだけを見るからです。囲碁が私たちにくれるものは、思考力や創造力、判断力などです。AIを無条件的に使えば、そうしたものが発展しないので、分別と判断力を身に着けてから適切に使うのが一番よいと述べられています。

AIを手に入れたところで、誰でも強くなるわけではありません。タイトルを手にするトッププロには、元々人並みはずれた才能と努力があるからです。

いま、自動文章作成ソフト、ChatGPTが話題ですが、宿題や論文作成をソフトに全面的に頼るのは危険です。やはり、最終的に判断し、決断するのは我々人間です。

2023.9.1.

 

 

 

 

子どもの墜落事故を防ぐ

秋本番です。感染症の流行も収まり、注意すべきは子どもの事故です。自宅の窓を開け放し、清々しい空気を取り入れようとする秋に、気をつけたいのがベランダ・窓からの墜落事故です。

最近5年間に、9歳以下の小児が建物から墜落し死亡する事故が37件も発生しています。とくに3~4歳で多くみられます。 年少児ほど体重に占める頭の割合が大きく、墜落時に頭が下になり、頭部外傷が起こりやすく、重症にもなりやすいのです。

事故発生の原因としては、ベランダや部屋の出窓から転落、とりわけ、ベランダや窓際の椅子や不用意に置かれた物を踏み台として、転落するケースが多くみられます。

予防対策としては、1)子どもだけでベランダに出さない、ベランダを遊び場にさせない、2)窓の近くやベランダに踏み台になるようなものを置かない、3)出窓には必ず施錠しておくこと、などに気をつけてください。
2023.9.1.

兵庫県地域子育てネットワーク 10月号

のびしろしかないわ

最近受け取った県立こども病院の情報誌に、難病のために重度障害児になられた娘さんを育てておられるお母さんの「のびしろしかないわ」という寄稿文に、たいへん共感しました。どんなに重度な障害児でも、いつか新しいことが「できる」ことが、ご両親にとって大きな心の支えのように私自身も感じていたからです。

「のびしろしかないわ」は、人気歌手creepy nutsの曲「のびしろ」の中で繰り返し連呼され、若者の間で流行っているようです。お母さんのお気に入りの歌詞は、「もっと覚えたいことが山のようにある」に続いて、「のびしろしかないわ」を繰り返し、熱唱するところだそうです。

また、2020秋に発売されたA.B.C-Z の「頑張れ、友よ! 」の歌詞、

どん底は終わりじゃなくて
始まりさ
「伸びしろ」は無限大
後ろ指さされたら
俺たちゃ未来指差して
走ってゆこう!

の中でも、「伸びしろは無限大」ということばが使われています。「のびしろしかない」は、今の若者たちを元気づけるキーワードのようです。

若者だけではありません。年齢を重ねると、「できなくなる」ことが多いのですが、何歳になっても、新しく「できる」ようになることもあります。私自身の体験でも、最近東灘区の囲碁同好会に参加し始め、確実に上達したのを実感します。90歳の方も元気に打たれています。人間は、亡くなる寸前まで、新しい気づきや「できること」があるような気がします。
2023.8.25.

 

多様性が尊重される新しい時代が

AI技術の進歩は、これまでの人間社会のスタイルを全く新しいもの変えようとしています。人間の働き場を奪うというネガティブなとらえ方もありますが、障がい児・者にとっては、大きなチャンスだと私は考えています。

介護ロボットをはじめ、AIを活用した介護機器がつぎつぎと出現し、うまく機器を使えばこれまで以上にやさしい介護が可能です。また、仮想空間世界(メタバース )という新しいコミュニケーションの場もできています。

自閉的傾向のある児やADHD児は、対面でのコミュニケーションが苦手でも、仮想空間の世界に入ると、他人とのコミュニケーションをスムーズに取れるようになるのです。

新しい社会では、身体的・精神的障がいに由来する個人レベルでの様々な特性の違いを「多様性」と捉えて、お互いに尊重し合い、一人ひとりの違いを社会の中で活かしていくことも可能です。

振り返ってみると、今日の障害児・者の福祉制度をつくり上げてきたのは、ご家族の声でした。「多様性」を尊重するこれからの新しい時代に向けて、私たち福祉施設の職員は、ご家族の声を大切に、社会に発信していく役割を担っています。

この機関誌「かがやき」が、施設内での生活をご家族に発信するだけではなく、ご家族からのご意見を頂き、お一人おひとりに寄り添える、より充実した入所生活を目指したく思っています。

よろしくお願い申し上げます。

令和5年10月

社会福祉法人「芳友」 会長 中村 肇

機関誌「かがやき」巻頭言より

過去も、未来も身近な感じ

化石から明らかになってきた恐竜史を見ていると、あまりの壮大さに圧倒されます。近年は、出土した化石から、当時の生きた姿を再現するCG化技術が進歩し、広大な草原の中を巨大恐竜が群れをなし、時に恐竜同士の戦う姿を見ていると、とても2億年前という古い過去ではなく、何だかもっと身近な感じがします。

兵庫県は恐竜化石で一躍有名に

丹波市山南町上滝地域には、前期白亜紀(約1億5000万年前から約1億年前あたり)の地層である篠山層群が広がっており、当時の生物の巣穴などの化石(生痕化石)が見られる場所です。
2006年に、巨大恐竜発見の報がもたらされ、日本中の注目を集め、2014年には新属新種「タンバティタニス・アミキティアエ」(通称丹波竜)として記載されました。その後、化石発掘ブームが日本各地で続いています。

丹波竜化石工房HPより

恐竜たちの繁栄と絶滅

約46億年前に地球が誕生し、人類が誕生したのは、ほんの20万年前のことですが、恐竜は、2億3000万から6600万年前までの1億5千万年以上も生存し続けたそうです。
中生代ジュラ紀の2億3000万年前に、大気中の酸素が大幅に減少し、それまで陸上で繁栄していた哺乳類の祖先たちは大量絶滅しましたが、効率の良い呼吸のできる器官「気嚢」をもった爬虫類は生き残りました。
爬虫類の一種である恐竜は、当初小型のトカゲのような形態でしたが、進化を続け、最後には全長10メートルを超える超巨大恐竜として世界各地で生息、地球上の覇者となりました。しかし、6600万年前に巨大隕石の落下で大量絶滅しました。
同じ脊椎動物の四足動物の仲間であるトカゲ類、カメ類、ワニ類などの爬虫類が、環境の変化に順応し、現生しているのも、また驚きです。

写真説明:植物食巨大恐竜デイノケウルスの全身化石から推定されたCG写真。巨大な手と羽毛をもつ。モンゴル・ゴビ砂漠で発見された。NHKスペシャル恐竜超世界より。

2023.8.8.