老人のつぶやき 目次

2021

加齢と相対性理論 2021.8.16 new
人生の時間軸 2021.8.9 new
きょう広島原爆の日 投下から76年     08.06    new
いよいよ明日からオリンピック     07.22    new
八〇歳を過ぎると、時の流れが加速       07.15    new
高齢者にやさしい日本の若者たち  07.06   new
ワクチン接種でホッと一息    06.29
渋沢栄一と「論語と算盤」 05.10
2030年:全てが「加速」する世界に備え 3.31
お彼岸に百人一首 03.29
私がみた奇妙な夢の話 02.18
新型コロナ禍での老人と若者たち02.13
新型コロナ長期戦に備えて 01.21
私のお正月2021 01.01

2020

「不要不急」と言われると・・・ 10.31

ワクチン接種でホッと一息

新型コロナで亡くなるのは高齢者で、年齢とともに指数関数的にその率が高まります。不要不急の外出を控えろと言われると、巣篭もりしかありませんでした。でも、ワクチン接種で、気分的には随分と目の前が明るくなった気がします。

新型コロナ流行前まで毎月のように会っていた同年代の友人とは、時折メール交換するくらいで、これまで経験することがなかった水入らずでの家内との二人暮らし。当初はお互いに馴れない生活で、気まずいものがありましたが、コロナ生活も一年を過ぎると、だいぶん生活のコツ、距離のとり方のコツがわかってきたように思います。

毎日報道される感染者数の増減に一喜一憂しながらの生活、これまでにいろんな雑誌への寄稿文が溜まっているので、ホームページのリニューアルを計ったり、ブログを立ちあげてみたりしています。

2021.6.29.

ホンアジサイとガクアジサイ

6月26日

梅雨の合間を見つけて、神戸市の森林植物園にあじさい(紫陽花)を観に行きました。ここでは、数多くの品種のあじさいが育てられていますが、今が見頃のホンアジサイとガクアジサイを紹介しましょう。

ホンアジサイとガクアジサイ

どちらも、アジサイ科アジサイ属の落葉低木の一種です。ホンアジサイは大きな装飾花をもつことから、街中のあちらこちらの庭先で見られ、馴染みの深い品種です。ホンアジサイの原種が、日本に自生するガクアジサイと言われています。

「移り気」「浮気」「高慢」と「謙虚」

ホンアジサイは「移り気」「浮気」「高慢」というネガティブな花言葉を持つのに対して、ガクアジサイの花言葉は「謙虚」となっています。これは、ホンアジサイよりもガクアジサイの方が、装飾花の数が少なく、その姿が謙虚に見えることにちなんでいるとされています。2021.6.26

 

桂林訪問の思い出

唐招提寺障壁画展で水墨画を観ていると、2012年9月に訪れた桂林のことが思い出されました。

反日デモの渦中での中国訪問
2012年9月11日に日本政府が尖閣諸島3島の国有化を宣言したために、中国の各都市では反日デモが行われていました。9月15日の土曜日には、日中国交正常化以降最大規模の2005年の中国における反日活動を超える規模となる反日デモが中国各地で発生し、日本企業への大規模な襲撃が引き起こされている最中でした。

上海婦幼保健院との医学交流
2012年9月16日から、上海婦幼保健院において、新生児医療の日中医学交流のために私たち一行は上海を訪れました。上海婦幼保健院は、宋慶齢元国家副主席 (上海出身)が、設立された産科小児科病院で、年間数千の分娩を扱い、近代的なNICUも完備されていました。2日間にわたり、学術講演会、意見交換会を行い、上海郊外での地域周産期医療提供体制についても見学することができました。
会議では、中国側の手厚い配慮のおかげで、反日活動とは縁のない雰囲気で、私どもは普段通りに振る舞うことができていました。

ただ事ではない桂林訪問
会議終了後、現役で働いている医師たちは、直ちに帰国の途につきましたが、私と仁志田先生は、すでに現役を退いており、自由な活動が可能な身でしたので、かねてから望んでいた桂林に行くことにしました。
上海から桂林に向かう国内便に乗ると、隣の座席の中国人が大きく広げた新聞には、「打倒小国日本」というバカでかい活字が目に飛び込んできました。
ここで初めて、「これはただ事ではない。」と感じました。でも、仲間が五人いるし、うち一人は中国人で大変親日家の通訳顧振申さんなので、さほど不安感はありませんでした。
その顧振申さんも、事態の異常さに気づいたのか、私たちに「あまり大きな声で日本語を話さないように」と耳打ちしてくれました。

それでも幻想的な桂林の水墨画風景
観光船やイカダによる漓江下りでは、カルスト地形による特徴的な形の山々と、その間を縫って流れる川の風情を、象が水を飲んでいるような象鼻山、コブのあるラクダのような駱駝岩などユニークな桂林の水墨画風景を満喫できました。
陽朔での夜は、中国で有名な映画監督、張芸謀がプロデュースする、陽朔の美しい自然をバックに繰り広げられる1時間ほどのショーまで観ることができました。

中国滞在中は、さほど私自身には危機感がなかったのですが、帰国すると家内からものすごい非難の言葉を浴びせかけられました。

2021.6.4記

唐招提寺御影堂障壁画展をみて

神戸市立博物館では、東山魁夷の唐招提寺御影堂障壁画展が4月末から6月6日まで開催されています。宣言解除を待っていたのですが、制限緩和もあり、家内の誕生祝いをかねて、昨日午後に鑑賞に出かけました。

鑑真和上千二百年忌を記念して、国宝鑑真和上坐像安置のための御影堂が1964年に現在地に移築し、当初の姿に復元されました。東山魁夷は和上の強い精神力への讃仰の心から制作を引き受け、1970年から10年以上の歳月を費やして、唐招提寺御影堂障壁画を完成したのです。

障壁画「山雲」、「濤声」から伝わる精神的力強さは、コロナ禍の現代人を勇気付けてくれます。東山魁夷は、神戸で少年時代を過ごしており、六甲の山・海が影響しているのかもしれません。


唐招提寺御影堂障壁画山雲(部分)1975


唐招提寺御影堂障壁画桂林月宵(部分)1980

2021.6.3.

反日デモの渦中での桂林旅行の思い出

お月さまには、いろんな顔が

スーパームーン皆既月食 2021.5.26

5月26日には、日本中で「スーパームーン皆既月食」が見られるとのこと楽しみにしていましたが、神戸ではあいにくの曇り空、お月さまを見ることができませんでした。
沖縄では、よく晴れており、午後8時から40分間追跡したビデオフイルムを、「宇宙の神秘 赤銅色に輝く満月」として琉球新報が公開しています。ビデオを見ているだけで、神秘的な思いがこみ上げてきます。

月は地球から遥か離れたところにある
地球から38万kmも離れたところにあり、月の光(正確には太陽の光を反射した光)が、地球に届くまでに約1.3秒もかかるそうです。
夜空に見える月は、太陽と同じくらいに大きく見えるのに、実際の大きさは直径約3,470kmで地球の4分の1、太陽の400分の1しかありません。

人類初の月面着陸に成功したアポロ11号

1969年7月20日、人類初の月面着陸に成功したアポロ11号は、102時間かけて月に辿り着いたそうです。翌年1970年の大阪万博では、アポロ宇宙船が月から持ち帰った石が展示され、大きな話題となったのが思い出されます。月面着陸から半世紀、月周回旅行が計画される時代となりました。

月はいつまでも神秘に満ちた星であり続けてほしい
満月の日には、産卵の為に上陸するウミガメの数が増えるそうです。満月の日は大潮になる為、干潮と満潮の差が大きくなり、時間がかかるウミガメの産卵には適しているからと言われています。
かつては、町全体が今日のように明るくなく、満月の明るさは格別でした。月を愛でながら、語り合うのが私たち世代の青春でした。月がいつまでも、遠い世界の神秘に満ちた星であり続けてほしい気がします。

渋沢栄一と「論語と算盤」

2021-5-10

渋沢栄一は、「論語」に象徴される道徳や公益性を追求しながら、「算盤」に象徴される実業やビジネスに遭遇する人生に全うしました(1840-1931)。渋沢自身は、経済発展が必要と考え、実業をもってそれを支えました。

『論語』で一生を貫くとは

宋王朝の名臣・趙普が、「「論語」の半分を使って自分が仕えている皇帝を助け、残り半分を使って自分の身を修める」を引用しながら、

「私は『論語』で一生を貫いてみせる。金銭を取り扱うことがなぜ賤しいのだ。君のように金銭を賎んでいては、国家は立ち行かない。民間より官の方が貴いとか、爵位が高いといったことは、実はそんなに尊いことではない。人間が勤めるべき尊い仕事はいたるところにある。官だけが尊いわけではない。」と渋沢は述べています。

商業道徳と信用

経済ですから、競争も当然発生しますが、そこに騙す、邪魔をする、貶めるといった悪意の競争は一切排除し、正当な競争のみに励むことが、商業道徳であるとも言っています。

欧米人から見れば、「当時の日本人は約束を守らない」と映っていたようです。その理由は、日本人は、組織の意向に忠実で、自分個人の発言を悪びれずに撤回する習性があったようです。渋沢栄一は、経済を回すには、信用を得る大切さを強調しています。

渋沢栄一曰く、

  • 方針を決める際には、まず道理にかなうかを考える。
  • 次に、その道理に従えば国や社会の利益になるかを考える。
  • そして最後に、自分のことを考える。この順番を徹底していたようです。

現代における経済至上主義と地球環境の破壊

私自身、小児科医の道を歩み始めた時には、「医は仁術なり」の時代であり、学問の自由・大学の自治は不可侵の領域でした。高度経済成長、また経済のグローバル化とともに、経済至上主義へとシフトしました。「医は算術」となり、医学研究の評価も経済的効果、費用対効果が基本尺度となりました。

私たち世代がおかしてきた重大な間違いは、自らの行動評価判定を現代にのみ向けており、未来への配慮に欠けていた点です。そのつけが地球環境の破壊です。

岡本ばら園 2021-5-3

 

子ども庁とは、一体なあ〜に?

菅義偉首相は4月5日の参院決算委員会で、「児童虐待の防止には警察庁や文部科学省、法務省や総務省など多くの省庁が関係しており、子どもの命のために何が必要か、縦割りを打破し、組織の在り方を抜本から考える必要がある」と、「子ども庁」の設立を検討するように指示したとの報道があリました。

「子ども庁」という名称から、政府として「子どもは国の宝」という夢を実現するための施策と考えましたが、文面からは、近年増加の一途をたどる児童虐待被害児童への対策として政府組織の改革が狙いのようです。

「認定こども園」なる教育・保育を一体的に行う制度もできました。でも、保育園は厚生労働省、幼稚園は文部科学省と所管が異なっています。子どもの健康管理も、就学までは厚生労働省、就学後は文部科学省の管轄です。

最近よく話題となっている「ヤングケアラー」や「ひとり親家庭」など、子どもの貧困の問題が、「児童虐待」とともに大きな社会問題です。
「子ども庁」が、子どもの抱える問題を一元的に取り上げ、解決に向けた施策を打ち出してくれることを期待します。

警察庁「令和2年における少年非行、児童虐待及び子供の性被害の状況」

2030年:全てが「加速」する世界に備える

「2030年:全てが「加速」する世界に備えよ」という非常にセンセーショナルなタイトルの本が、2020年末にニュースピックス社から出版されました。

著者のP.デイアマンデスは

XプライスCEOであり、シンギュラリティ大学の創始者です。1961年生まれ。宇宙開発企業スペースXの創設者であり、電気自動車企業テスラの共同創設者であるイーロン・マスクの盟友とも言われています。

本書の内容は、量子コンピューター、人工知能(AI)、ロボティクス、ナノテクノロジー、バイオテクノロジー、材料科学、ネットワーク、センサー、3Dプリンティング、拡張現実(AR)、仮想現実(VR)、ブロックチェーンなどの最新の開発状況を紹介しながら、10年後の世界を予測しています。

すでに日本の街中でも、試験的に自動運転の電気自動車が走行する時代となっています。2030年には、空飛ぶ車やイーロンマスクが考える「ハーパーループ」。磁気浮上技術を用いて筒状の真空チューブ内で、乗客を乗せた「車両」が最大時速1,200キロで走行する高速交通ネットワークがカリフォルニアで計画されています。惑星への移住も夢の話ではなくなってきたようです。

Expotential Technology and Convergence

テクノロジーの進歩は、これまでからエクスポテンシャル(指数関数的)な成長を遂げきたのを我々は目にしてきました。いま世界では、すでに開発されたテクノロジーのコンバージェンス(統合)が進んでおり、これまでSFの世界と考えられていたことが現実となりそうです。

エクスポテンシャルなテクノロジーは、製品・サービス・市場を破壊するだけでなく、コンバージェンスが起こると、まさに「破壊的イノベーション」となり、これまでとは全く違った社会となります。医療や教育も大きく変化しています。

馬が荷車をひいてた時代から自動運転車の時代に

戦後、私が小学生の時代には、馬が荷車をひいており、道には大きな馬糞を撒き散らしていました。あと10年なんとか生き延びて、このワクワクするような夢の世界が現実の世界となっているのを見届けたいものです。自動運転車が普及し、高齢者が気兼ねなく自由に車を乗り回せる日常生活が待ち遠しものです。

The future is faster than you think:How converging technologies are transforming business, industries, and our lives. By Peter H. Diamandis & Steven Kotler2021-3-31フルーツフラワーパークにて


参考資料:

シンギュラリティ(Singularity)とは、

英語で「特異点」の意味で、人工知能(AI)が人類の知能を超える転換点を言い、未来予測の概念です。人工知能研究の世界的権威であるレイ・カーツワイルは、2045年に人間の脳とAIの能力が逆転するシンギュラリティに到達すると予測しています。

AR (Augmented Reality) とVR (Virtual Reality)

ARは、一般的に「拡張現実」と訳されおり、実在する風景にバーチャルの視覚情報を重ねて表示する技法で、スマホ用ゲーム「ポケモンGO」がその例です。未来にはARコンタクトレンズもできるそうです。VRは、クローズドな視界の中に、あたかも現実かのようなリアリティを高めた視覚映像を投影する「仮想現実」です。

ライドシェアとカーシェアリングとの違い

カーシェアリングが車の貸出を目的に「ドライバー」と「車」をマッチングさせるのに対して、ライドシェアではアプリ上で「ドライバー」と「同じ目的地に移動したい人」をつなぎ、相乗りでのドライブを支援するシステムです。

ドライバーと同乗者をマッチングさせるプラットフォーム企業としては、デリバリーでおなじみのUberが世界で800以上の都市に進出するなど躍進し、中国の滴滴出行(ディディ チューシン)などのライバル企業と各地でしのぎを削っています。こうした普及の背景には、スマホによる正確な需給マッチング、運転者と同乗者が相互評価するシステムへの安心感、乗車前にアプリで行き先や所要時間・料金を共有できる利便性の高さなどがあると考えられます。

日本では、一般人が自家用車を用いて有償で他人を運送することは、いわゆる「白タク」行為にあたり、海外のようにドライバーが運賃を受け取れるタイプのライドシェアは法律で禁止されているため、一部の地域を除いて認められていないのが現状です。

お彼岸に百人一首

1年半ぶりに、春のお彼岸の中日である春分の日に、家族揃ってお墓まいりに行ってきました。浄土宗では、春分・秋分の日とその前後3日間を「お彼岸」を意義付け、浄土にいるご先祖のみ霊(たま)を供養する期間とされています。

もともと「彼岸」とは、私たちのいる生死が繰り返され苦しみの多い “この岸 (此岸=しがん)” から、仏の世界である “かの岸 (彼岸=ひがん)” の極楽浄土に到ることをいいます。

孫たちと一緒に、こうして墓前で、ご先祖さまに手を合わせていると、昨年の大病を思い出し、私自身が仏として孫たちに手を合わせてもらっていたかと思うと何だか複雑な思いがします。

新型コロナの非常事態宣言で、孫たちが我が家に集まる機会が久しくなかったのですが、ようやく宣言も解除され、お墓詣りの帰りに、我が家に立ち寄ってくれました。

小学4年生の孫は、4歳上の中学生の双子姉妹に百人一首で挑戦する正月以来の念願が実現しました。私は、読み手となり、上の句を読み始めるや否や、激しくカルタを跳ねる音が響く、レベルの高い戦いです。私が一枚一枚の札への思いに耽っていると、急かされる始末です。本当に久しぶりに楽しい時間を過ごすことができました。

2021−3−21