加齢と相対性理論

コロナ禍と猛暑の中で、じっと自宅に籠り、周りとの関わりが減ると、時間の流れがよくわからなくなります。先のコラムには、「八〇歳を過ぎると、時の流れが加速」という見出しで書いたのですが、最近、本棚を整理していると、埃を被った「アインシュタインの時間、解き明かされる相対性理論のパラドックス」というニュートン社刊行の小冊子を見出しました。

「動いている人の時計が遅れる」

「準光速で進む宇宙船に乗っている人の時計の針は、宇宙空間で静止している宇宙飛行士の時計の針よりも、遅れた時刻を指している。」と記されています。アインシュタインの相対性理論の説明として、この「動いている人の時計は遅れる」はよく用いられています。

一日中ボーと過ごしていると、あっという間に一日が経ってしまいます。この説に従うと、あまり動かぬ高齢者の時計は、いつも齷齪(あくせく)と動き回っている人の時計に比べ、どんどん進むことになります。

動かないと、寿命が縮む?

この論理を進めていくと、高齢者が運動不足でいると、筋力低下によるフレイル(虚弱化)だけでなく、寿命そのものをどんどんと縮めているのかも知れません。今日一日があっという間に過ぎた喜んでいる場合ではなさそうです。

2021.8.16