「おいで、アラスカ」 

アンナ・ウオルツ作、野坂悦子訳、フレーベル館 2017年作

【2021年青少年読書感想文全国コンクール課題図書 小学校高学年の部】


12歳の少女パーケルと13歳の少年スフェンが主人公の物語で、ふたりをつなぐものとして一頭のてんかん発作に対応できる介助犬ゴールデンレトリバー、アラスカが登場します。

てんかんという病をもつ少年スフェンは、「いつなのが起こるかわからない」という不安な毎日を送っています。また、少女パーケルには、注意欠陥多動障害(ADHD)の3兄弟がいます。

この話は、これらの疾患をもつ子どもたちが社会生活を送る上での困難さを赤裸々に描写されており、小児科医であった私にも改めて気づかされる点が数多くあります。と同時に、今日の新型コロナ禍、戦争と不安定な社会を生きる少年・少女たちが、未来に向けて力強く歩み出すきっかけになればと願います。

今春、小学6年生になる孫娘が、この本を読んでどんな反応を示すか興味深いものがあります。

2022/3/29