ひとの話をよく聞く

昨日、新しく自民党総裁に選出された岸田文雄氏の第一声が、「わたしの特技は、ひとの話をよく聞く」ことだと述べられ、一瞬戸惑いを感じました。

よもや、「ひとの話をよく聞く」のが仕事のような政治家の世界でも、これを特技として話されることに驚きました。裏を返すと、歴代の首相はひとの話を聞かないのが特技だったのかと勘ぐりたくなります。

私自身、育児の話をするときには、いつも「子どもの話をよく聞く」ことの大切さを語っています。スマホを見ながらでなく、じっと子どもの顔を見ながら聞くことの大切さです。

「ひとの話をよく聞く」のは、聴くだけでなく、何らかの応答をすることも含まれています。

子どもは、親や保育士さんに話をゆっくり聞いてもらうだけで、満足感に浸り、言葉への自信につながります。

医師教育の中でも、「患者の話をよく聞く」ことの大切さは、常常強調されています。最近は電子カルテとなり、医師は画面ばかり見て話すという批判をよく耳にします。

最近、私自身が患者として、医師や看護師のお世話になる機会が増えました。体調の優れないときほど、自分の思いを先方になかなか伝えにくいものだということが、よく分かりました。新型コロナ禍の中では家族との面会もなく、医療者との対面時間も限られているようで、一層不安な気持ちになります。

マスク越しの会話が求められる今ですが、家庭でも、社会でも、しっかりと相手の目を見ながら、話のできる時間が少しでも長いことを期待します。

9月30日