歴史的に見た日本の人口から

日本の人口は、歴史的にみて一時的な停滞期こそあれ、弥生時代より絶えず増加し続けてきました。今日のような人口減少社会のモデルはないのです。

これまでの人口の頭打ちの背景をみると、平安時代の300年余りは、農民一人ごとに耕地を割り当てた戸籍・班田収授制の崩壊や、西日本を心とした干ばつ被害・疫病等の影響が考えられています。
江戸時代前期(17 世紀)においては、人口の急増がみられましたが、江戸時代後期(18世紀以降)、享保の改革で知られる徳川吉宗の時代には倹約令がしかれ、大飢饉があり、江戸時代末期まで人口増加が停滞しています。

私たち現代人は、明治維新より続いてきた人口急増と相俟った繁栄の歴史に終止符を打ち、新しい未知の世界に足を踏み入れようとしています。
私が、今の若者であるなら、旧来の価値観に全くとらわれない、新しいライフスタイルを求めて、国内外を問わず旅し続けている気がします。

資料:縄田康光氏: 歴史的に見た日本の人口と家族より

老子の説く理想の国『小国寡民』

小さい国は人口が少なく、いろいろな器具があっても使わせない。

人民に命を大切にさせ、遠くに移り住ませない。たとえ小舟と車があっても、

それに乗ることはなく、武器や鎧があっても、並べて使用することはない。

二千数百年前に書かれた『老子』という書物は、具体的な人名や地名がまったく現れない、抽象的な議論に終始した内容であるにもかかわらず、長い年月にわたって東アジアの人々の思考の指針であり続けてきました。

それはこの書物の内容の深さと広さとの証明であります。また、欧米の知識人の興味を強く惹きつけ、そのキーワードである「道(タオ)」という言葉は広く流通しています。世界全体を見渡せば、『老子』は『論語』よりもはるかに広く読まれ、大きな影響を与えています。

『老子』の思想の根幹は、その動的な世界観にあります。つまり、世界のいかなるものも、動かないものとしてではなく、生まれ、変化し、滅ぶものとして理解させます。

そしてそれを、固定した動かし得ないものと思い込んでしまうことの危険性を、さまざまな角度から指摘し、粘り強く繰り返し、叱咤激励します。

参照:湯浅邦広著、超入門「中国思想」、大和書房、2016.

2023.11.10.

妻道子に先立たれました

妻道子が、去る9月12日に他界し、親族と極く親しい友人だけでの家族葬を行いました。多くの方々のご厚情に感謝申し上げます。

昨年8月初旬に、結腸がんが見つかり、切除していただきました。術後、順調に経過し、1カ月余りで中高時代の友人と津軽への旅に、年末年始には山口県の湯田温泉、別府温泉へと普段と変わらぬ生活を続け、湯治と称して有馬温泉、赤穂温泉、淡路島に度々出かけていました。

本年7月ごろより、がん転移のために腹満と腹痛が現れ、甲南医療センター緩和ケア病棟に入院させて頂き、朝夕の鎮痛薬が奏功し、食事を摂取できるまでに回復しました。

8月末には退院し、医療型ケアホーム「グランダ御影西」に入居することになり、私自身も自立型として一緒に入居できたので、二人で大喜びしました。夕食は、1階のレストランに出かけ、テーブルを囲んでいると何だか旅行気分のようだと語り合い、亡くなる数日前まで見舞いに来た孫たちの話にも頷いていました。3週間足らずのホーム生活に満足し、静かに眠るように息を引きとりました。

これまで、私の生命・窮地を何度となく救ってくれた妻・道子が先立つとは、全くの想定外の出来事です。遅ればせながら、彼女への恩返しをする時間を与えられた気がします。

息子・娘たちは、お陰様で立派に成人しており、将来に何ら不安もありません。子どもたちに迷惑をかけ過ぎないようにという妻の忠告を肝に命じて。

9月20日

新しい鑑賞スタイルのゴッホ・アライブ展

兵庫県立美術館で催されているゴッホ・アライブ展が大変な人気であると知り、私たち夫婦は娘に連れられて出かけました。平日の午後であるにも関わらず大変な賑わいで、30分ほど並んでやっと会場内に入れました。

アライブ展というのは、作品の前に立ち止まり、静かに鑑賞するこれまでの展示形式ではなく、会場に入ると40台のプロジェクターから壁面に一斉に投影される画像とサウンド音響を融合させた新しいアート鑑賞の形です。

本来静止しているはずのゴッホの名画から、花が舞い、星は瞬き、汽車が走るという動画作品になっているのです。元々ゴッホの作品は力強く、ダイナミックさに溢れていることから、映像化されるとその特徴が一層強調されています。

客の大半は若い世代で、特に女性客で会場内はうめつくされ、映像画面の下半分は客の頭の影となり、ゆっくり鑑賞する雰囲気ではありません。まるで人気アイドルグループのコンサートのようで、場違いの所に紛れ込んだ感じでした。椅子に腰掛け、じっくりと鑑賞できるのなら、もう一度訪れてみたい気持ちです。

2023.5.18.

 

‘Child support’, not ‘Child-rearing support’

Japan ratified the International Convention on the Rights of the Child in 1994, which established four rights for children: the right to life, the right to grow, the right to protection, and the right to participate. However, there has been a lack of interest in this convention within Japan, and children have long been treated as ‘children’ and have struggled to become the ‘main actors’ in society.

‘Child support’, not ‘Child-rearing support’

My Expectations for the Child and Family Agency Starting from April, the ‘Basic Act on Children’ was newly enforced, explicitly guaranteeing the ‘rights of children,’ and the Child and Family Agency was established. This law aims to create a child-friendly society and is considered one of the top priorities of the current administration, giving rise to high expectations.

In our country so far, when it comes to child policies, it seems that they have been addressed as part of measures for an ultra-aging society and as economic measures to secure the workforce. Even with the enactment of the Basic Act on Children, if it continues to be treated as part of measures to combat declining birthrates, it cannot be called a truly child-centered society.

Personally, I hope that policies focusing on ‘child support’ rather than ‘child-rearing support’ will be implemented.

April 9, 2023.

大人を癒してくれる“まなかい”

アリの嗅覚についての研究の第一人者である昆虫学者の尾崎まみこ教授から、予期せぬ原稿依頼がありました。先生が編集中の「動物の生きるしくみ図鑑」で、「愛着、養育」という章で、”まなかい”という言葉を是非とも取り上げたいとの思いから、以前私が「子育てをもっと楽しむ」の中で、この言葉を取り上げていたことを思い出され、執筆依頼が舞い込んだ次第です。

私自身も、この“まなかい”という語感が大好きです。赤ちゃんと見つめ合っていると思わず吹き出してしまいそうになります。お母さんと赤ちゃんが見つめ合い、微笑む姿を見ると、こちらまでつられて微笑んでしまいます。

ヒト新生児には表情の模倣という行為が生得的に備わっている

生まれて間もない赤ちゃんの目の前で、大人が舌を突き出したり、口を開閉しながら微笑みかけると、赤ちゃんはこちらの表情を鏡に映し出すようにまねます。ヒトの新生児は、他哺乳類と違って、自力で母親にしがみつけず、母親の手助けなしにはおっぱいを飲めません。

誕生したときから、他者、母親の関心を引き、世話をしてもらわないと生きていけないので、表情の模倣という行為が、ヒトでは生得的に備わったと考えられています。

育児の神様といわれる大先輩の小児科医、内藤壽七郎先生は、「育児の基本は、“まなかい”にある」と絶えず話されていました。広辞苑には、まなかい【目交ひ/眼間】とは、目と目の間、眼の前と記されているだけですが、先生は「目と目が合うこと」、アイコンタクトの意味で使っておられます。

単に目と目が合うというだけでなく、見つめ合いや微笑を通じての母と子の「快の情動」が、周りの人にまで伝わってきます。

尾崎まみこ教授は、ヒト乳児の頭の匂について神戸大学小児科の永瀬裕朗教授らと共同研究を行っておられます。研究室にはタイミングよく出産を間近に控えた女性医師が二人おられ、ご協力を得て現在研究が進行中です。母乳栄養児が離乳食を取り始めるとどのように変化していくのか、興味は尽きません。
2023.5.11.

試しにChatGPT君に英訳してもらいました。

“The Healing Power of ‘Manakai’ – How Babies Soothe Adults”

I received an unexpected manuscript request from Professor Mamiko Ozaki, a leading researcher in the field of ant olfaction. She is working on a section titled “Attachment and Nurturing” for the upcoming “Illustrated Guide to Animal Behavior” and wanted to include the term “manakai” which I had previously discussed in my book “Enjoying Child Rearing”.

I myself also love the sound of this word “manakai”. When I see a mother and baby looking at each other and smiling, I can’t help but burst into laughter. It’s contagious and makes me smile too.

Infants are born with an innate ability to mimic facial expressions. When an adult smiles or sticks out their tongue in front of a newborn, the baby mimics the expression back as if reflecting it in a mirror. Unlike other mammals, human newborns are unable to cling to their mothers or nurse without assistance.

From birth, infants require attention and care from others, especially their mothers, to survive. It is believed that the act of mimicking facial expressions is innate in humans because it is necessary for survival.

Dr. Jushichiro Naito, a senior pediatrician known as the godfather of child-rearing, constantly emphasized that “the basics of child-rearing are found in ‘manakai'”. While the dictionary simply defines “manakai” as “the space between the eyes”, Dr. Naito used it to mean “eye contact”.

Not only does “manakai” refer to the act of making eye contact, but it also refers to the “pleasurable emotional connection” between a mother and child through shared gazes and smiles, which can be felt by those around them.

気をつけるべきは感染症だけでない、 ~熱中症対策を忘れずに~

コロナ5類移行がようやく正式決定しました。マスク着用も個人の判断に任されることになりました。
これから気温が高くなる夏に向かいます。注意すべきは熱中症です。熱中症は真夏よりも、まだ暑さに身体が馴染んでいない夏の初めに多くみられます。

言葉が話せない乳幼児は、喉が渇いてもそれを訴えることができません。ベビーカーに乗せて外出するときは、注意が必要です。地面近くの温度は高くなっていますので、できるだけ日陰を通行するようにしましょう。また、子どもは喉が渇くのも忘れて遊びに夢中になります。脱水に十分注意して、こまめに水分補給をするように気をつけてください。

戸外で遊ぶ時や運動をするときには、必ずマスクを外すようにしてください。マスクをしていると、吐く息の体温がこもることになり、熱中症の原因になります。

ぐったりした様子や嘔吐、筋肉がつるなどの症状がみられたときは、熱中症の可能性が強いので、体を冷やしてすぐに病院を受診しましょう。

2023.5.5.

兵庫県地域子育てネットワークだより

「子育て支援」でなく、「子ども支援」を

日本は、1994年に国際条約「子どもの権利条約」を批准しており、その条約には「生きる権利」、「育つ権利」、「守られる権利」、「参加する権利」という4つの子どもの権利が定められていまが、日本国内ではこの条約についての関心が低いままで、子どもは「子ども扱い」されたまま、「子どもが主役」にはなりづらい状況が長らく続いてきました。

「子育て支援」でなく、「子ども支援」を

この4月から、「子どもの権利」の保障を明記した「こども基本法」が新しく施行され、こども家庭庁が発足しました。子どもにやさしい社会を目指すための法律であり、現政権の最重要課題として取り上げられており、大きな期待を寄せています。

これまでの我が国では、子ども政策といえば、超高齢社会対策の一環としての少子化対策、労働力確保のための経済対策として取り上げられてきたように思えてなりません。こども基本法ができても、従前のように少子化対策の一環として取り上げるのであれば、真の子ども中心の社会とは言えません。私は、「子育て支援」ではなく、「子ども支援」の政策がとられるように期待しているのです。

2023.4.9.

悠々と旅する無人探査機ボイジャー

NASAの無人探査機、ボイジャー1号とボイジャー2号は、1977年の秋に打ち上げられ、以来45年間宇宙の果てまでの旅を続けています。

木星、土星を相次いで訪れたボイジャー

ボイジャー1号とボイジャー2号が、打ち上げられたのは、宇宙船アポロ11号の月面着陸後8年目の1977年秋です。

打ち上げ後、ほぼ2年で木星を訪れ、さらに1年後に訪れたのが土星でした。元々この2つの惑星を探査するのがミッションでした。

当初の計画では、天王星と海王星を訪れるには、費用がかかり過ぎるということで、予定に入っていませんでした。ところが、2号が土星を訪れた時点で、計器類が十分に機能していたことから、天王星探査に向かうことになったそうです。

2機のボイジャーは、木星(写真1、写真2)と土星(写真5、写真6)のそばを通過し、クローズアップ写真を初めて撮影したのです。(日経サイエンス2023年1月号より引用)

今は200億キロ離れた星間空間を悠々と

ボイジャー1号とボイジャー2号が、木星、土星の探査で送ってきた美しい写真の記憶はありましたが、その後についての報道はあまりなく、忘れ去っていました。

その後、ボイジャー2号は天王星を1986年1月に、海王星を1989年8月に立ち寄り、今は、ボイジャー1号とボイジャー2号ともに太陽圏から飛び出して、200億キロも離れた星間空間を悠々と、機器に制御されながら、さらに遠くの未知の世界を目指して旅しています。
あまりにもロマンチック過ぎ、驚かされます。次の宇宙の果てからの便りが楽しみです。
2023.3.20.

さまざまなウイルスを保有する蝙蝠(コウモリ)

コロナウイルスの自然宿主として主要な動物種はコウモリです。COVID19の流行と中国武漢のコウモリとの関連性が当初指摘されていましたが、未だに定かではなさそうです。COVID19と関連付けられている重症急性呼吸器症候群(SARS)と中東呼吸器症候群(MERS)も、コウモリを自然宿主としています。

鳥なき里の蝙蝠(コウモリ)

コウモリは、空中を飛べる唯一の哺乳動物です。
今日では、稀有種は珍重されていますが、獣でもなく、鳥でもないコウモリを、昔は一段低く見ていたようです。
「鳥なき里の蝙蝠(こうもり)」とは、にせもの扱いの喩えで、すぐれた人がいないところでは、つまらない者がわが物顔をして威張ることを言います。

いろんなウイルスを保有するコウモリ

コウモリは、コロナウイルス以外にも、エボラウイルスやマールブルグウイルスなどさまざまなウイルスを保有しています。エボラウイルスとマールブルグウイルスは、エボラ出血熱とマールブルグ出血熱の原因ウイルスで、COVID19よりもはるかに致死率が高い病気です。
マールブルグ病は、ケニア、コンゴ、ウガンダなどのアフリカの国々で症例が確認されています。この名称の由来は、ドイツのMarburgで最初の症例が確認されたことによるものです。

A型インフルエンザウイルスがコウモリに

高病原性の鳥インフルエンザが、日本国内でも猛威を振るっています。鳥インフルエンザの原因ウイルス、A型インフルエンザウイルス「H5N1」は、鳥類で起きる感染症と考えられていましたが、最近、コウモリにおいても発見されています。
高病原性の鳥インフルエンザウイルスが、コウモリにおいて変異し、哺乳動物への伝播が起きないことを願っています。
2023.3.15. / 2023.5.19. 修正