おいで、アラスカ2

この本は、アンナ・ウオルツ作、野坂悦子訳、フレーベル館2017年刊行の小学校高学年向きのお話です。12歳の少女パーケルと13歳の少年スフェンが主人公の物語で、ふたりをつなぐものとして、一頭のてんかん発作に対応できる介助犬ゴールデンレトリバー、アラスカが登場します。

てんかんという病をもつ少年スフェンは、「いつ、なにが、起こるかわからない」という不安な毎日を送っています。また、少女パーケルには、注意欠陥多動障害(ADHD)の3兄弟がいます。

パーケルも、スフェンも、これらの病気のために、同級生からのいじめにあい、満足に学校に行くことができません。子どもたちの学校生活を送る上での困難さが、赤裸々に描写されています。ところが、ある事件を機会に、友人たちとの溝が埋まります。

新型コロナ、戦争と不安定な社会に生きる少年・少女たちが、未来に向けて力強く歩み出すには、彼ら自身による「きっかけ」が大切です。

2022.7.13.

さあ、新しい友達を作ろう

ユニセフ(国連児童基金)の最新報告書、レポートカード16では、日本の子どもの幸福度の総合順位は先進国38か国中20位となっています。

5歳~14歳の子どもの死亡率、および過体重・肥満である子どもの割合はいずれも平均より低く、「身体的健康」は第1位ですが、生活満足度の高い子どもの割合はトルコについで2番目に低く、自殺率も平均より高く、「精神的幸福度」は38か国中37位という結果です。

また、学力及び「すぐに友達ができる」といった社会的スキルのランキングは27位、とくに、「新しい友達を作る」という社会的スキルに自信を持っていないという子供の割合は、日本はチリについで2番目に高い国です。

新型コロナ流行も終息のきざしがあります。マスクを外した子どもたちの大声が、校庭や公園から響き渡ってくる日を心待ちしています。

2022/5/9

 

子どもの窒息事故を防ぐ!

最近の政府広報(2022.2.1.付)や国民生活センター(2021.10.19.付)では、子どもの窒息事故の報告を取り上げています。毎年、80人近くのゼロ歳児が、不慮の事故により死亡しており、その80%近くが「窒息」が原因です。1〜4歳児でも、不慮の事故による死亡がほぼ同数あり、うち、30%がやはり「窒息」が原因です。ここ数年、この数字に大きな変化がありません。

家庭でおこる子どもの事故の中でも、0歳~3歳の小さな子どもに多い事故が、「窒息」です。
子どもは生後5~6か月ごろから、手につかんだものを何でも口に持っていくようになります。これは子どもの成長の発達段階で自然な行動ですが、小さな子どもはのどが狭く、飲み込んだり吐き出したりする力が弱いため、口に入れた物でのどを詰まらせ、誤嚥(ごえん)や窒息を起こすことがあります。

6~20mmの大きさのスーパーボールや木製のおもちゃ、あめ玉やこんにゃく入りゼリー、ピーナッツなどの食べ物、文房具や硬貨、ボタン電池、磁石など、家庭の中の様々なものが窒息の原因となっています。

国民生活センターの資料では、カットパンによる乳児の窒息事故が報告されています。どのような食べ物でも窒息の原因となりますので、子どもが食べている時には傍らでよく見ていることです。

0歳~3歳の小さな子どもが、苦しそうで顔色が悪く、鳴き声もでない時には異物による窒息を疑ってください。窒息と判断すれば、頭部を下げるようにして、うつ伏せにして、背部を力強く数回連続してたたきます。誰かが周りにいれば、119番通報します。

参考資料:阪神北広域こども急病センター「こんなとき、どうする」

2022.2.20.

 

ジェンダー平等を実現しよう

持続可能な社会づくりのための目標、SDGsのひとつが、「ジェンダー平等を実現しよう」です。

ジェンダーとは、社会的・文化的につくられる性別のことを指します。今の日本では、ジェンダーがキャリアにおいて障がいになっており、家庭での男女の役割分担がまだまだ固定的で、国会議員数においても女性は10%未満です。

小学5年生の孫娘が久方ぶりに我が家にやってきました。彼女は背も伸び、思春期をむかえ初めており、これまでと随分と雰囲気が変わってきたようです。

学校での友達の話を聞かせてくれました。彼女は女児の輪の中での方が、居心地良いそうですが、女児の中には、男児と一緒の方を好む児もいるようで、理解できないと不思議がっています。彼女には、すでに「ジェンダー」を意識した生活が始まっています。

これまでの規範にとらわれない新しい社会を、子どもたち自身がどのようにつくり上げていくのか楽しみです。静かに見守りたいと思います。

2021.11.7

ワクチン接種、あとひと踏ん張り

最近、変異株の流行とともに、子どもの新型コロナウイルス感染者が増えてきました。学級閉鎖や休校という措置がとられている学校もあります。

その感染経路をたどると、家庭での大人から子どもへの感染が主なようです。

わが国においても、新型コロナワクチンの接種が進み、高齢者では80%以上が2回接種済みですが、中年層や若年層のへ接種が遅れています。

子どもを新型コロナウイルス感染から守るためには、周囲の成人(養育者、子どもに関わる業務従事者等)へのワクチン接種が急がれます。

若年者では副反応が強いので、健康な子どもへのワクチン接種には、メリット(感染拡大予防等)とデメリット(副反応等)を、本人と養育者が十分理解した上で受けてください。クラブ活動などで自分のクラス以外の子どもとの接触機会が多い子どもには、ワクチン接種をとくにお勧めします。

2021.9.13.

コロナ下での熱中症の気づきと対処

倦怠感がある・頭がふらつく・発熱や頭痛など、熱中症の症状の多くが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の症状と共通しています。リンク元のアンカーテキスト

熱中症の初期には、「頭痛」や「めまい」、「だるさ」、「吐き気」など、ありふれた症状がみられます。熱中症による脱水で特に影響を受けやすいのが、脳・消化器・筋肉です。いずれの臓器も、機能の維持には、多くの水分が必要なのです。

体調不良の原因が、高温や高湿度にあると疑えば、涼しい場所に移動し、十分な水分摂取を行うなど、正しい熱中症対策を行ってください。これらの対策を行っても症状が改善しない場合には、原因が熱中症か、COVID-19かの判別は難しく、専門機関を受診するようにしてください。

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熱中症を招く脱水は、実は免疫力の低下にもつながります。とくにwithコロナの今、ウイルス感染リスクを高める危険性もあり、熱中症対策が感染予防対策につながることも知っておきましょう。

2021/07/16

ストレス解消には「五感」、とくに嗅覚で

五感とは、視覚・聴覚・味覚・嗅覚・触覚の5つの感覚のことです。

子どもの心と身体を健やかに保つには、「五感」によい刺激を与え、日々のストレスを解消することです。

新型コロナによる長期の外出制限、マスクの着用や友達との距離をおいた生活は、大人以上に子どもへの大きなストレスになっています。

マスクは、人の表情を隠すだけでなく、人や自然の匂いも感じさせ難くしています。

土・樹木・風といった自然の匂いは、匂いと呼んでいいのか分からないほど空気に溶け込んで、季節の変化を香りで感じさせてくれます。森の中には、木々の発散する香りの成分「フィトンチッド」があふれており、清々しい爽快感をわれわれに与えます。

夏休みには、近くの樹々の生い茂る公園や、山に入り、周りに他人のいないことを確かめて、そっとマスクを外し、深呼吸し、親子で身も心もリフレッシュしてください。

2021/7/14    子どもの健康コラム

152. 乳幼児健診や予防接種を遅らせないで

乳幼児健診の目的は、年齢ごとに起こりやすい病気や問題を早めに見つけて治療に結び付けることです。予防接種も、感染症にかかる前に接種することが極めて大切です。

新型コロナウイルス感染症については、小児では成人に比べて感染し難く、また重症化する例が少ないため、ワクチン接種は高齢者からスタートしています。一般的に、小児、とくに乳幼児では感染症に対する免疫力が低いために、多くの予防接種は満1歳までに実施されています。

集団・個別に関係なく、子どもや付き添いの保護者の方に発熱や咳などの症状がないことを確認して受診して下さい。付き添いの方は手洗いを行って、マスクを着用して下さい。ただし、2歳未満の乳幼児でのマスク着用はむしろ危険です。

乳幼児健診やBCGなどの予防接種を集団で実施している市町村では、地域の流行状況により柔軟に対応しているところもあり、保健所や保健センターに確認して下さい。

兵庫県子育て支援 2021-5-17

151. コロナ禍の中で、注意すべき子どもの健康

子どもたちが多くのストレスを

長期にわたる新型コロナ禍で、子どもたちが多くのストレスを抱えていることが判明しています。子どもはストレスを言葉で表現することが苦手です。頭痛、腹痛、倦怠感、不眠、イライラ感、登校しぶり、食欲低下、過食などの身体症状やいつもと違う行動に気をつけてください。また、子どもに接するお母さん、お父さんご自身の心のケアが大切です。周りの人たちの気づきも大切です。

乳幼児健診・予防接種は推奨スケジュール通りに

乳幼児健診は、年齢ごとに起こりやすい病気や問題を早めに見つけて治療などに結びつけるために重要で、予防接種は推奨スケジュール通りに接種することが最も有効です。健診や予防接種を行っている医療機関や施設は、感染対策をしていますので、乳幼児健診や予防接種は推奨スケジュール通りに受けましょう。

新型コロナウイルス感染症の流行により、これらの実施方法が変更となっている場合がありますので、かかりつけ医や自治体の母子保健担当部局等にお問い合わせください。

地域子育てネットワークだより、令和3年4月

兵庫県加東市上久米の「やしろの桃園」

150. 学校が一斉閉鎖にならないように 2月号

2020-01-10

新型コロナの感染拡大が続き、ついに緊急事態宣言が出されました。昨年の緊急事態宣言では、学校は一斉に閉鎖され、子どもから教育の機会を奪っただけではなく、屋外活動や社会的交流もできなくなり、子どもを抑うつ傾向に陥らせ、心身に影響を及ぼしました。

その後の研究から、新型コロナはインフルエンザと異なり、子どもは大人と比べて感染しにくく、感染しても軽症であり、死亡例がほとんどないことが、わかってきました。このような理由から、このたびは小中学校の一斉休校の措置がとられなかったようです。

しかし、最近では、感染の拡大に伴って感染する子どもが増えています。しかも、感染した子どもは、鼻咽頭や便にウイルスを長期間・大量に排泄し続けていることもわかってきましたので油断はできません。

クラス内にクラスターが発生しないように、三密(密閉、密集、密接)を避け、マスク・手洗いをしっかりと守ってください。