秋の星空は、科学と想像の世界をつなぐ入口

秋の夜空は、子どもに自然の不思議を伝える絶好の舞台です。

「この前、月が赤く見えたでしょう? あれは皆既月食といって、地球の影に月がすっぽり隠れたからなの。太陽の赤い色の光だけが地球の空気を通り、月までとどき、赤く輝くのよ」というお母さんの説明に、子どもは目を輝かせます。

もうすぐ106日には、中秋の名月が見られます。日が暮れると、大きなまん丸のお月さんが東の空からのぼって来ます。「昔の人は、収穫に感謝して、1年中で最も大きく、美しいこの月を眺め、お団子を供えて、丸い月に願いを託していた。」と、子どもに語りかけると、子どもは空を見上げ、月の明かりの中で物語を想像します。

さらに、秋の夜は流星群が次々とやってきます。小さな星のかけらが空気とぶつかってひかり、一瞬で消えます。10月上旬には、りゅう座流星群がピークを迎え、1022日未明には,オリオン座流星群が極大を迎えます。

天体のドラマに触れると、子どもたちの心には「なぜ?」「どうして?」という芽が育ちます。秋の星空は、科学と想像の世界をつなぐ入口なのです。 2025.9.9

子どもの健康コラム10月号より

囲碁は子どもたちの様々な能力を育てる

近年、囲碁を通じて、様々な能力が身につくことから、未就学児の教育ツールとして、学校での放課後スクールの科目などに取り入れられ、囲碁は教育の分野で注目されています。また、各地で子ども囲碁教室が開かれています。

囲碁は、黒と白の石を交互に打ち、陣地の広さで勝敗を競うゲームであり、老弱男女だれでも楽しめます。と同時に、子ども囲碁教室では、挨拶をはじめ、囲碁をする中で大切な礼儀作法を指導しています。

囲碁は、盤上のどこに打っても良いという自由なルールの中で、自分なりに構想を描いていくゲームなので、子どもの創造力・感性を養うのに最適です。

考えを巡らせる中で「集中力」も向上しますので、本来じっとしているのが苦手な年齢でも、徐々に集中して取り組めるようになります。

囲碁は基本的に一対一で、最後まで自分一人の力で頑張る必要があるので、人の気持ちを思いやる心・苦境を乗り越える力が自然と身につくのです。2025.7.23

地域子育てネットワークだより8月号

自然へのすなおな態度を大切に

作家司馬遼太郎さんは、1999年に小学校教科書用の書き下ろし作品として、「21世紀に生きる君たちへ」を子どもたちに書き遺しています。

その一部を紹介すると、「人間は、自分で生きているのではなく、大きな存在によって生かされている。」と、中世の人々は、ヨーロッパにおいても、東洋においても自然に対してへりくだって考えていたのです。

この自然へのすなおな態度こそが、21世紀への希望であり、君たちへの期待でもあります。そういう素直さを君たちが持ち、その気分を広めてくれると、21世紀の人間は、お互いに尊敬し合うようになるのです。

AIの出現は、人間が自然の一部であることを忘れさせようとします。自然への畏怖(いふ)の念どころか、いかに自然を克服するかが至上命題のように現代人は振る舞っている気がします。

地球が汚れてしまえば、他の星へ移動すればよいとの考えでは、もう人間とは言えないでしょう。
2025.3.8. 兵庫県子どもの健康コラム

AIでこれまでの殻(から)を破る新しい育児法が ―今年の私の初夢―

英国のデミス・ハサビス氏が、タンパク質の構造を予測する人工知能(AI)を開発し、昨年秋にノーベル化学賞を授賞されました。彼は、ゲームの世界でAIが人間に勝利できることを決定づけた「アルファ碁」の生みの親でもあるのです。

これまでの型にハマった「定石」にこだわらず、自由に指し手を選ぶ「アルファ碁」で学んだ若手棋士たちが、ベテラン棋士たちを打ち負かしています。社会生活においては、AIの悪用の制限といった当面解決すべき課題もありますが、これまでの殻を破る新しい発想の重要性を気づかせてくれます。

近い将来、AIによる子育ても話題になりそうです。これまでの育児書に書かれている「してははいけないこと」が、新しい育児法では高く評価される時代となり、また、画一的な教育ではなく、AIが選んだ個々の特性にあった教育で学んだ子どもたちは、自信に満ちあふれ、生き生きと楽しそうに日々を過ごし、立派に成人していく姿が見えます。

これは、今年の私の初夢です。

2025.1.15.

子ども健康コラム1月号

阪神淡路大震災と子どもたち

阪神淡路大震災からもうすぐ30年になります。当時、災害が子どもたちの心に大きな影響を与えることが大きく注目されました。子どもたちは、災害の正体がわからず、自分で対処できる範囲も限られていたため、より不安を感じていたのです。

こわい体験や喪失体験(親しい人との別れ、住居の損壊、生活環境の変化、おもちゃ・人形の喪失など)、あるいは長期にわたる異常な生活環境(避難生活、食生活・大気汚染など)によって、子どもたちに身体的な症状や行動上の問題が現れることを指す「PTSD(Post-traumatic Stress Disorder, 心的外傷後ストレス障害)」が、国民の間で広く知られるようになりました。

子どもたちは、不安な気持ちを遊びの中で表現したり、絵に描いたり、話をしたりすることで心を整理し、それが周囲の人々に受け入れられることで異常な体験を過去の記憶として処理していくことを私たちは学びました。
2024.11.17. 兵庫県地域子育てネットワークだより12月号

「誉めてあげれば、子どもは、明るい子に育つ」

アメリカの教育者ドロシー・ロー・ノルトは、1999年出版の育児書「子どもが育つ魔法の言葉」として、
• 分かち合うことを教えれば、子どもは、思いやりを学ぶ
• 誉めてあげれば、子どもは、明るい子に育つ
• とげとげした家庭で育つと、子どもは、乱暴になる
• 子どもを馬鹿にすると、引っ込みじあんな子になる
• 親が正直であれば、子どもは、正直であることの大切さを知る
などを取り上げています。

「誉めてあげれば、子どもは、明るい子に育つ」

最近、私自身が囲碁を学んでいます。囲碁の先生から、たまに「いまの一手は素晴らしい」と誉められると、舞い上がってしまいます。とくに、自分が考え抜いた末の一手であるとなおさらです。自分がワンランク上達した気分になります。
子育てにおいても、学校教育においても、友達づきあいでも、タイミングよく、自然に相手を褒めることです。囲碁仲間の米寿(88歳)の友も、誉め言葉に照れながら腕を上げています。舞い上がるのは、子どもだけではないのです。

2024.9.13. 地域子育てネットワーク連載原稿

 

手足口病になったら保育園は出席停止になる?

毎年夏に流行する手足口病は、生後6か月〜5歳頃の子どもがかかりやすいウイルス性の感染症です。原因は、コクサッキーAウイルス、エンテロウイルス71など複数のウイルスで、感染力が高く、シーズン中に繰り返しかかることもあります。

主な症状として、口腔粘膜と手足の末端に水ぶくれができ、発熱やのどの痛みを伴います。ワクチンはまだ開発されておらず、有効な治療法はありません。まれに、無菌性髄膜炎や脳炎を合併し、けいれんや意識障害が生じることもありますが、多くの場合、3〜7日の自然経過で治癒します。

手足口病は、人目につきやすいところに水ぶくれができるので、他人もすぐに気づきますが、滅多に重症化しないので、厚生労働省ガイドラインでは保育園の出席停止の対象にはなっていません。熱が下がり、痛みが引いて食事がとれるようになってきたら、登園を再開しても問題ありません。

地域子育てネットワークだより寄稿   24.7.14.

 

溶連菌感染症の流行に注意しましょう

ここ数年、新型コロナの流行で、みなさんマスクし、厳重な感染対策をとってきたので、夏になるとこれまで繰り返してきた子どもの感染症の流行がありませんでした。そのため、免疫力がなくなり、大流行の恐れがあります。

夏に流行しやすい感染症のひとつである溶連菌感染症は、ときに、心臓弁膜に障害などを起こすリウマチ熱や、急性糸球体腎炎につながることもあるので要注意です。

はじめの症状は、多くの夏カゼと同様に発熱(38〜39℃)と“のど”の痛みです。繰り返しかかることもあり、大人になってもかかります。咳やくしゃみなどによって近くの人に感染(飛沫感染)し、溶連菌に汚染された食品が原因のこともあります。

夏カゼの多くはウイルス感染症ですが、溶連菌感染症は細菌感染症であり、適切に抗菌薬を服用すれば、効果があります。小児科医を受診すれば、溶連菌検出用の専用キットがありますので、容易に診断できますので、早めに受診することです。

2024.5.6.  「地域子育てネットワークだより」6月号

 

希望に満ちた春

桜花爛漫、真っ新の制服、ランドセルを背負う少年少女たちは、希望に満ち溢れています。彼らがどのような成人になってくれるか周りの大人にとっても楽しみです。

昨年は、将棋界では藤井聡太さんが21歳という若さで8冠という偉業を達成、囲碁界では仲邑菫(なかむら・すみれ)三段(13歳)が史上最年少のタイトル獲得者になりました。近年、囲碁・将棋に限らず、スポーツの世界でも、小・中学生の活躍が目立っています。彼らの活躍の陰には、両親や身近な人々の中にお手本になる人たちがおられます。と同時に、昔は弟子入りして師匠から時間をかけて学んでいたのを、いまは、AIで学習し、より迅速に上達するようです。

今の少年少女たちは、絶えずスマホを握っています。モデルになる大人が彼らの周りにいなくても、ネットを通じていろんな情報収集が可能です。AI開発やプログラム作成などの情報処理分野をはじめ、自らで研鑽を積み、日本人から優れた人々が生まれてくるのが楽しみです。 2024.3.10.

子どもの健康コラム

阪神・淡路大震災で学んだ子どものこころのケア

新年早々の能登半島地震による揺れ、思わず阪神・淡路大震災を思い浮かべました。PTSD(心的外傷後ストレス障害)という言葉が、広く知られるようになったのが阪神・淡路大震災の時です。

大災害が子どものこころに大きな影響を与えるのは、災害の正体が分からず、また、自分で対処できる範囲も限られているため、余計に不安になっているからです。

怖い体験や喪失体験(親しい人との別離、住居の破壊、生活環境の変化、おもちゃ・人形の紛失など)あるいは、長期にわたる避難生活は、子どもにとって強い苦痛となり、身体症状や行動上の問題として表われます。

これらの反応そのものは、誰にでも認められるものですが、その苦しみが少しでも和らぐよう、適切な時期に、的確に支援することが必要です。思い出すのは、学校が再開され、クラスメートと久方ぶりに出会ったときの子どもたちの満面の笑顔です。一番の良薬だったようです。

2024.1.17. 連載「子どもの健康コラム」原稿