日本の幸福度ランキングは137カ国中47位B

「国際幸福デー」の3月20日、「World Happiness Report(世界幸福度報告書)」の2023年版が発表されました。
この報告書は2012年以降、毎年発表されており、米ギャラップ社の世論調査をベースにし、各国の約1,000人に「最近の自分の生活にどれくらい満足しているか」を尋ね、0(完全に不満)から10(完全に満足)の11段階で答えてもらう方式で国ごとの幸福度を測定しているそうです。

日本の順位は137カ国中47位

国別の幸福度ランキングで、日本の順位は137カ国中47位となり、前年(146カ国中54位)より上昇したとのことです。1位はフィンランドで、上位は欧州の国々が目立ち、特に北欧5カ国が7位までに入っています。

主な国の順位は以下の通り。国名の後の数字は幸福度(0~10)。
1位 フィンランド 7.804
2位 デンマーク 7.586
3位 アイスランド 7.530
4位 イスラエル 7.473
5位 オランダ 7.403
6位 スウェーデン 7.395
7位 ノルウェー 7.315


47位 日本 6.129
57位 韓国 5.951
64位 中国 5.818

幸福のとらえ方がスコアに影響

幸福度の判定には、➀1人あたりGDP、➁社会的支援、➂健康寿命、➃人生の選択の自由度、➄寛容さ、➅腐敗の少なさという6つの変数が使われています。日本は上位の国々を比べて、健康寿命では上回り、1人あたりのGDPも上位と大きな差はありません。人生の選択の自由度や寛容さといった主観的評価項目のスコアが低いのです。
日本(47位)や韓国(57位)、中国(64位)の東洋系の国々では、幸福のとらえ方が主観的で、社会や文化が西洋とは大きく異なり、数値化や順位付けには一定の限界があるようです。

日本が幸福度を高めるには

世界に先駆けて、高齢化、少子化などの課題に直面する国、日本が、豊かさと持続可能性を両立し、一人ひとりが幸せを実感できる社会を如何に構築するかです。
これを叶えるためには、日本固有のアプローチを早期に確立し、実践する必要があるでしょう。

World Happiness Report 2023(公式ウェブサイト)

2023.3.25.

悠々と旅する無人探査機ボイジャー

NASAの無人探査機、ボイジャー1号とボイジャー2号は、1977年の秋に打ち上げられ、以来45年間宇宙の果てまでの旅を続けています。

木星、土星を相次いで訪れたボイジャー

ボイジャー1号とボイジャー2号が、打ち上げられたのは、宇宙船アポロ11号の月面着陸後8年目の1977年秋です。

打ち上げ後、ほぼ2年で木星を訪れ、さらに1年後に訪れたのが土星でした。元々この2つの惑星を探査するのがミッションでした。

当初の計画では、天王星と海王星を訪れるには、費用がかかり過ぎるということで、予定に入っていませんでした。ところが、2号が土星を訪れた時点で、計器類が十分に機能していたことから、天王星探査に向かうことになったそうです。

2機のボイジャーは、木星(写真1、写真2)と土星(写真5、写真6)のそばを通過し、クローズアップ写真を初めて撮影したのです。(日経サイエンス2023年1月号より引用)

今は200億キロ離れた星間空間を悠々と

ボイジャー1号とボイジャー2号が、木星、土星の探査で送ってきた美しい写真の記憶はありましたが、その後についての報道はあまりなく、忘れ去っていました。

その後、ボイジャー2号は天王星を1986年1月に、海王星を1989年8月に立ち寄り、今は、ボイジャー1号とボイジャー2号ともに太陽圏から飛び出して、200億キロも離れた星間空間を悠々と、機器に制御されながら、さらに遠くの未知の世界を目指して旅しています。
あまりにもロマンチック過ぎ、驚かされます。次の宇宙の果てからの便りが楽しみです。
2023.3.20.

宇宙時代の夜明けごろ

世界初の人工衛星は、1957年10月にソ連が打ち上げた重量がわずか83.6キログラムの軽量のものでした。

有人宇宙活動の幕開けとなったのは、1961年4月12日に人類史上初のソ連の有人宇宙船「ボストーク1号」です。地球を108分で1周し、高度300kmまでの飛行に成功したのが、空軍パイロットのユーリ・ガガーリンです。彼の「地球は青かった」という表現に世界中の人々が感動させられました。

人間が初めて月面着陸

1969年7月16日、ケネディ宇宙センターから打ち上げられたアメリカの宇宙船アポロ11号は、人類が初めて月に降り立ち、月の石を地球に持ち帰ることに成功しました。1970年の大阪万博に、この「月の石」が展示され、多くの人が集まっていたのを今もよく覚えています。

2023.3.20.

さまざまなウイルスを保有する蝙蝠(コウモリ)

コロナウイルスの自然宿主として主要な動物種はコウモリです。COVID19の流行と中国武漢のコウモリとの関連性が当初指摘されていましたが、未だに定かではなさそうです。COVID19と関連付けられている重症急性呼吸器症候群(SARS)と中東呼吸器症候群(MERS)も、コウモリを自然宿主としています。

鳥なき里の蝙蝠(コウモリ)

コウモリは、空中を飛べる唯一の哺乳動物です。
今日では、稀有種は珍重されていますが、獣でもなく、鳥でもないコウモリを、昔は一段低く見ていたようです。
「鳥なき里の蝙蝠(こうもり)」とは、にせもの扱いの喩えで、すぐれた人がいないところでは、つまらない者がわが物顔をして威張ることを言います。

いろんなウイルスを保有するコウモリ

コウモリは、コロナウイルス以外にも、エボラウイルスやマールブルグウイルスなどさまざまなウイルスを保有しています。エボラウイルスとマールブルグウイルスは、エボラ出血熱とマールブルグ出血熱の原因ウイルスで、COVID19よりもはるかに致死率が高い病気です。
マールブルグ病は、ケニア、コンゴ、ウガンダなどのアフリカの国々で症例が確認されています。この名称の由来は、ドイツのMarburgで最初の症例が確認されたことによるものです。

A型インフルエンザウイルスがコウモリに

高病原性の鳥インフルエンザが、日本国内でも猛威を振るっています。鳥インフルエンザの原因ウイルス、A型インフルエンザウイルス「H5N1」は、鳥類で起きる感染症と考えられていましたが、最近、コウモリにおいても発見されています。
高病原性の鳥インフルエンザウイルスが、コウモリにおいて変異し、哺乳動物への伝播が起きないことを願っています。
2023.3.15. / 2023.5.19. 修正

恐ろしや蝙蝠(コウモリ)B

コロナウイルスの自然宿主として主要な動物種はコウモリです。COVID19の流行と中国武漢のコウモリとの関連性が当初指摘されていましたが、未だに定かではありません。
COVID19と関連付けられている重症急性呼吸器症候群(SARS)と中東呼吸器症候群(MERS)もコウモリを自然宿主としています。

鳥なき里の蝙蝠(コウモリ)

コウモリは、空中を飛べる唯一の哺乳動物です。
今日では、稀有種は珍重されていますが、獣でもなく、鳥でもないコウモリを、昔は一段低く見ていたようです。

「鳥なき里の蝙蝠(こうもり)」とは、にせもの扱いの喩えで、すぐれた人がいないところでは、つまらない者がわが物顔をして威張ることを言います。

多くのコロナウイルスを保有するコウモリ

多くの動物がコロナウイルスを保有していますが、コウモリは特に多くのコロナウイルスを保有しています。1万匹のコウモリから91種類のコロナウイルスが分離できたという研究もあります。
コウモリは、コロナウイルス以外にも、エボラウイルスやマールブルグウイルスなどさまざまなウイルスを保有しています。エボラウイルスとマールブルグウイルスは、エボラ出血熱とマールブルグ出血熱の原因ウイルスで、COVID19よりもはるかに致死率が高い病気です。

マールブルグ病とは

国立感染症研究所の直近の感染症情報(2023年3月7日付)として、ウイルス性出血熱のひとつであるマールブルグ病が取り上げられています。
この疾患はエボラ出血熱と同様に、高病原性のウイルス感染症で、ケニア、コンゴ、ウガンダなどのアフリカの国々で症例が確認されています。この名称の由来は、ドイツのMarburgで最初の症例が確認されたことによるものです。

動物のウイルスが人に感染し、それが人から人へと広がるのは稀

COVID19は、動物に感染していたコロナウイルスが人に感染したことから始まりました。通常、動物のウイルスが人に感染し、それが人から人へと広がることはありません。
しかし、COVID19のように、変異した動物ウイルスが人に感染し、人に適応して、人から人へと広がっていくことがまれにあります。

A型インフルエンザウイルスがコウモリに

高病原性の鳥インフルエンザが、日本国内でも猛威を振るっています。発生が確認された養鶏場や、処分されるニワトリなどの数も過去最多を更新しています。

鳥インフルエンザの原因ウイルス、A型インフルエンザウイルス「H5N1」は、鳥類で起きる感染症と考えられていましたが、最近、コウモリにおいても発見されています。

高病原性の鳥インフルエンザウイルスが、コウモリにおいて変異し、哺乳動物への伝播が起きないことを願っています。
2023.3.15.

目は口ほどに物を言う

子どもたちは、3年余りの長期間にわたり、友人のマスクを外した顔を見ることがなかったのと思いますが、私は、子どもたちがマスクを着けていても、対面で接している限り、コミュニケーションという点ではあまり心配していません。

「目は口ほどに物を言う」ということわざがあるように、相手のことを思っていれば、口には出さなくても眼差しだけで思いは伝わります。前にも書いたように、電車の中でベビーカーに乗っている乳児に、マスク越しに目だけで笑いかけても、今まで通り笑い返してくれます。

目は心の鏡

「目は心の鏡」は、「目を見れば、相手の心のようすがわかる」という意味のことわざです。良いことを考えていれば、相手の目は輝き、悪いことを考えていれば、相手の目は曇ります。目は人の心の状態を映し出します。
この3年間で、子どもたちには、相手の目を見て心を読む力が今まで以上についたに違いありません。
とはいえ、マスク越しの生活から解放されると、心が晴れやかになります。

2023.3.13.
2023.5.25.一部修正

子どもを守るには、職種間の連携を

乳幼児は大人に大きなエネルギーを与えてくれる

園児たちの元気にあふれた声が、保育園からそよ風に乗って響いてくると、大人の心を和ませます。電車の中でベビーカーに乗っている乳児は、マスク越しに目だけで微笑みかけても、微笑み返してくれます。
保育士の皆さんは、いつも乳幼児たちの元気な声と笑顔に接し、微笑み、抱きしめあえる本当に幸せな職業だと思います。私たち小児科医は、病院や診療所では発熱や下痢で元気を失った子どもたちを診ますが、健康診査の場で見る子どもたちの多くは元気一杯です。私たちは、子どもから大きなエネルギーをもらっています。

子どもの幸せには多職種間の連携が

小児科医も、保育士も目指しているのは、子どもの幸せです。保育士の皆さんは親に代わり育児を担い、小児科医は、子どもの健康を守るという役割を担っています。
子どもの健康には、遺伝的な要因もありますが、社会・経済的な要因も重要です。児童虐待・いじめ、事故、子どもの貧困など、乳幼児が直面している問題が無数あります。これらの問題は、医療者のみで解決できるものではなく、他の多くの職種の方々と連携して、はじめて子どもの幸せを達成できるのです。

こども基本法で何が変わるのか

この4月から、子どもたちの権利を守るために「こども基本法」が誕生しました。
「こども基本法」は、子どもの視点に立って、きめ細やかで、切れ目のない支援を行い、子どもにやさしい社会を目指すために成立した法律です。

女性の社会進出とともに、保育園・幼稚園・こども園の役割が今後ますます大きくなっていくものと考えられます。

保育園は、子どもたちの家庭です。

保育士は、子どもたちと最も長く過ごせる職種です。親や子どもたちに代わって子どもの幸せを守る上での重要な任務を担っています。

保育士が、子どもの幸せを守り、こどもの声の代弁者として情報発信するには、時間的なゆとりをもって働ける保育環境づくりが不可欠です。

2023.3.5.
本文985文字

Z世代に未来を託しては

Z世代はデジタル・ネイティブな世代

Z世代は、生まれながらにインターネットやパソコン・スマートフォンに囲まれている環境が当たり前のデジタルネイティブな世代です。YouTubeやSNSといったインターネットを介した情報収集、コミュニケーションに時間を割いている人が多く、その反面、TVの視聴時間は短いものとなっています。
Z世代は、明確に定義されているわけではなく、1995年から2012年頃までに生まれた世代を指すことが一般的です。

コスパよりもタイパのZ世代

Z世代は、コスパ(コスト・パフォーマンス)よりもタイパ(タイム・パフォーマンス)を選ぶ傾向にあります。この世代は、SNS用に簡略化された表現を用い、映画も倍速にして観るそうです。
限られた時間の中でどれだけ効率的に情報を取得するか、どれだけ満足感が得られたか、といった時間における成果に価値を見出しているそうです。彼らの会話を傍らで聞いていると、彼らが何の話をしているのか皆目見当がつきません。

Z世代が教え、Z世代が学ぶ学校現場では

コロナの流行で、リモート授業が増え、学校現場でのIT化が一気に進みました。小6の孫娘は、私よりはるかに器用にスマホを使いこなし、何の抵抗感もなく学校から配布されたパソコンで、宿題に取り組んでいます。
困っているのは若い担任の先生だと言います。Z世代であるにも関わらず、上からのお仕着せの時代遅れの教育法との板挟みにあっていると、生徒たちは冷ややかにみているようです。

Z世代が社会を動かす時代に

AI化が進んだ囲碁・将棋界では、仲邑菫(なかむら すみれ)さん、藤井聡太さんのような若者が活躍する時代です。
本年4月から施行されるこども基本法では、「全てのこどもについて、年齢及び発達の程度に応じ、自己に直接関係する全ての事項に関して意見を表明する機会・多様な社会的活動に参画する機会が確保されること」となっています。
今回の国会論議を聞いていると、その主役である子どもの意見が全く反映されておらず、岸田政権の「異次元」の子育て支援という曖昧な発言を聞いた途端に失望しました。
衆議院議員は満25歳以上、参議院議員は満30歳以上であるという縛りを削除し、18歳以上の若者が参加できるようにするのが、日本を活気ある国家にする最も効果的な策であるような気がします。

2023.3.2.