年初の羽田空港の衝突事故、トヨタ自動車のグループ会社であるダイハツ工業や豊田自動織機なで相次ぐ認証試験の不正の報道をみていると、何だか昭和末期のインターネットが普及し始めた時代が思い浮かびます。全国の大学病院での医療事故がつぎつぎと明るみに出、マスコミで大きく報道されました。私もその矢面に立たされた一人です。
学んだのが航空界のインシデント報告
私たちが当時安全対策のモデルにしたのが、事故につながりかねない事態を示す航空インシデント報告制度です。事故に至るまでに、その数十倍ものニアミス例が必ずあると学びました。大学病院では、当初は報告をためらっていた職員も、ペナルティーに関係しないことが周知され、毎日10件以上の報告が上がってくるようになりました。
わかったことは、インシデントの大半が聞き間違い・勘違いやコミュニケーション不全に基づくものでした。
歪なIT化が安全を脅かしている
日本が誇る世界一の大企業、トヨタでなぜ認証試験の不正が行われていたのか?問題なのは外部の声を聞き入れない、互いに干渉しないという大企業のもつ「文化」が、長年にわたる認証試験の不正を許すことになったと私は考えています。
これらの不正を見抜くには、AIを用いなくても、旧来のIT技術で十分に可能です。新しい製品開発にはIT技術を活用するが、安全管理への活用を後回しにしている今の社会風潮がこのような結果を生んでいる気がしてなりません。参照;PDCAは時代遅れ? 2023.12.25.のブログより
医療界も他人ごとではありません。
全国津々浦々、中小の病院にも電子カルテが導入されています。電子化は、病院の経営戦略を練るには格好のツールです。でも、医療現場で働く職員は大変です。紙に書くと直ぐなのに、パソコン相手にアナログデータを手入力。何だか違和感を感じます。中途半端なデジタル化、デジタルとアナログの混在が、重大事故につながらないことを念ずるのみです。
2024.2.2.