新幹線の安全を長年にわたり監視し続けていたドクター・イエローの引退報道がありました。同時に、我々の研究グループが50年前に開発した新生児の黄疸管理機器「UB測定器」も、引退の時期を迎えたようです。
私の研究仲間の岩谷医師から、今春ハワイで開催されるアメリカ小児科学会に応募していた「黄疸に関する論文」が優秀論文として採択され、口頭発表になったという知らせを受けました。
UBアナライザーの役割も
新生児の脳障害である「核黄疸」を予知するために、微量血液成分UBの専用測定器であるUBアナライザーを半世紀前に開発して、今では日本国内の大半のNICUで用いられ、欧米でも高い評価を得てきました。
今回の論文の内容は、我々が考案し、慣れ親しんできたこの黄疸検査法をルーチンに用いなくても、新生児全身管理に日常的に用いられて血清ビリルビン値と血清アルブミン値でほぼ代替できるという内容です。臨床医学分野では、これまでに蓄積された膨大なデータから、何が患者にとって本当に「必要・不可欠」な検査であるかを見直す時代に入ったように感じます。
新しい時代への変化に合わせて
50年間慣れ親しんできたUB測定で核黄疸による新生児脳障害は激減し、今では全くみられなくなりました。ドクター・イエローの引退も、UBによる黄疸評価の引退も、時の流れのような気がします。
これらの引退によって、安全性が疎かにならないことを念じています。
2025.2.6.