DEI(ディー・イー・アイ)」は、「Diversity(ダイバーシティ、多様性)」・「Equity(エクイティ、公平性)」・「Inclusion(インクルージョン、包括性)」の頭文字からなる略称です。
最近のマスコミ報道によりますと、米国の企業がDEIの看板を下ろし始めているそうです。マクドナルドやメタに続いて、小売り最大手のウォルマートも方針転換が。その理由として、特定のマイノリティーへの優遇の過度な推進は、他の従業員への差別にあたるとの批判があり、働き手の意欲を低下させるというがその理由のようです。
私が、DIという言葉をはじめて耳にしたのは20年前に、ある地元の会合で、神戸に本社のある外資企業 P&G Japan の女性会社役員の方からです。私は何の違和感もなく受け入れることができました。その後、日本政府・企業も、国際標準に合わせるべくDEI推進を掲げています。
パナソニック・グループ創業者松下幸之助の想い
DEI(ディー・イー・アイ)は、最近登場した新しい概念のように思われがちですが、じつはパナソニック・グループのルーツそのものです。⼀⼈ひとりが持てる能⼒・スキルを最⼤限発揮し、顧客や社会への役⽴ちを果たすため、DEIの取り組みをグループ全体の経営基本⽅針の実践の⼀つとして位置付け、当初より推進していたそうです。(パナソニック資料より)
創業者 松下幸之助はかつて、すべての人に異なった天分、特質が与えられているとして、次のように語っています。
「天は二物を与えず、ということわざがありましょう。これは裏を返せば、天は必ず一物は与えてくれているということだと思うのですね。そのように、異なった天分、特質が与えられているということは、いいかえれば万人万様、みな異なった生き方をし、みな異なった仕事をするように運命づけられているとも考えられます。ある人は政治家として最もふさわしい天分が与えられているかもしれない、またある人は、学者に、技術者に、商人にといったように、みなそれぞれに異なった使命が与えられ、異なった才能が備えられていると思うのです。
成功というのは、この自分に与えられた天分を、そのまま完全に生かし切ることではないでしょうか。それが人間として正しい生き方であり、自分も満足すると同時に働きの成果も高まって、周同の人々を喜ばすことにもなると思います。そういう意味からすれば、これこそが“人間としての成功”といえるのではないでしょうか。」
社会の分断のない日本に
米国では、いよいよトランプ大統領が誕生し、米国の企業はDEIの看板を下ろし始めています。社会の分断が一層加速するのではと危惧しています。
我々世代は、戦後の荒廃した国土でGHQによる新しい民主主義教育を受け、「DEI」という単語こそなかったけれども、その精神は盛り込まれていたように思います。いまの高齢社会・人口減少が不可避の日本では、しっかりとDEIをまもり、分断のない社会を築き上げることが大切と考えます。 2025.1.21.