「家」にまつわる3つの話

実家と里帰り

長らく会っていない後輩のA君から一通の手紙が届きました。彼の結婚式の仲人を我々夫婦がさせて頂き、彼が両親と一緒に挨拶に来られた時の話が書かれていました。
私が彼に、「いま、どこに住んでいるのか?」と尋ねると、「実家に住んでいます。」というA君の答えに、空かさず彼の父親が、「お前の家ではなく、親の家に住まわせてもらっているのだ!」と叱責され、私も「その通り!」と同感したというのです。私もその時の情景をよく覚えています。
最近は、男の子も、女の子も何歳になっても「実家に帰る」という表現を用いていますが、かつては、他家に嫁いだ女の子が親の家に帰る場合には、「里帰り」という表現を用いていました。その名残りとして「里帰り分娩」という言葉は今でも生きており、決して「実家分娩」とは言いません。なぜだかよくわかりませんが。

男子三界に家なし

これは私の間違い。もともと仏教用語で、「女は三界に家無し」という表現が存在し、「女は幼少のときは親に、嫁に行ってからは夫に、老いては子供に従うものだから、広い世界のどこにも身を落ち着ける場所がない。」という意味で、「男子三界に家なし」という表現はどこにも載っていません。
永年にわたり単身赴任していると、定年退職し、いざ家に戻ろうとしても、もう自分の居場所がなくなっていたという哀れな男の話をよく耳にしていたので、「男子三界に家なし」とばかり思っていました。

夫婦別姓問題は自然解消する

日本で結婚をする場合、現状では夫婦別姓は認められておらず、その妥当性について未だに賛否両論です。
海外の国々では、その選択は当人の自由で、夫婦別姓を認めていないのは日本だけのようです。日本と欧米との違いは、おそらく文化的背景、農耕文化の国日本特有の家長制度の名残りのような気がします。
日本人同士で、公の場において名(ファースト・ネーム)で呼び合うことはまずありません。でも欧米人は、公式の場においても姓(ファミリーネーム)でなく、名(ファースト・ネーム)で呼び合っており、我々日本人はなかなか馴染めません。
戸籍確認では、漢字の一画一画を今でもうるさく言われますが、マイナンバー・カードを普及させようという今の時代では、姓・名がなくても、背番号「IDナンバー」で本人確認が十分できます。あとは勝手にニックネームで呼び合えばいいので、夫婦別姓問題も自然解消です。 2024.9.17.