AI技術の進歩は、これまでの人間社会のスタイルを全く新しいもの変えようとしています。人間の働き場を奪うというネガティブなとらえ方もありますが、障がい児・者にとっては、大きなチャンスだと私は考えています。
介護ロボットをはじめ、AIを活用した介護機器がつぎつぎと出現し、うまく機器を使えばこれまで以上にやさしい介護が可能です。また、仮想空間世界(メタバース )という新しいコミュニケーションの場もできています。
自閉的傾向のある児やADHD児は、対面でのコミュニケーションが苦手でも、仮想空間の世界に入ると、他人とのコミュニケーションをスムーズに取れるようになるのです。
新しい社会では、身体的・精神的障がいに由来する個人レベルでの様々な特性の違いを「多様性」と捉えて、お互いに尊重し合い、一人ひとりの違いを社会の中で活かしていくことも可能です。
振り返ってみると、今日の障害児・者の福祉制度をつくり上げてきたのは、ご家族の声でした。「多様性」を尊重するこれからの新しい時代に向けて、私たち福祉施設の職員は、ご家族の声を大切に、社会に発信していく役割を担っています。
この機関誌「かがやき」が、施設内での生活をご家族に発信するだけではなく、ご家族からのご意見を頂き、お一人おひとりに寄り添える、より充実した入所生活を目指したく思っています。
よろしくお願い申し上げます。
令和5年10月
社会福祉法人「芳友」 会長 中村 肇
機関誌「かがやき」巻頭言より