パイロットになりたいという夢をもっていた

2023年3月5日のJAXAの宇宙飛行士の選抜試験では、4,000人以上の応募の中から2人が選ばれました。その一人が28歳の外科医米田あゆさんで、日本人として初めて月に降り立つ可能性があるそうだです。羨ましい限りです。

パイロットになりたいという夢をもっていた

戦後、民間航空機が伊丹空港に運航再開されたのは、私が小学5年生の時でした。空港近くの草原で上を向いて眺めていると、爆音を轟かせながら着陸していく飛行機に、身体が吸い込まれていくような快感でした。
我が家は、空港から歩いて2時間以上かかりますが、時には馬車の荷台にのせてもらい、休みの日には朝から夕暮れまで飽きることなく一日中眺めていました。当時の私は、将来パイロットになりたいという夢をもっていましたが、宇宙飛行士になりたいなんて考えもしませんでした。

2023.4.26.

 

宇宙では、いつまでも仲良くして

無数に飛び交う人工衛星

これまで人類は、人工衛星や宇宙探査機、あるいは宇宙ステーション等たくさんの人工物体を宇宙空間に打ち上げています。
初めて打ち上げられたのは、有名なスプートニク1号、1957年のことです。2021年の12月時点で12,000個を超える人工衛星の登録があり、とくに、近年は毎年1,000個以上増加しているそうです。

宇宙ステーションは5か国の共同プロジェクト

国際宇宙ステーションは、低軌道で地球を周回している最大の人工衛星です。その高度は平均400 km、地球から人工衛星まで4時間もかからなようです。1日に地球を15.5周回しており、地球から肉眼でも星々の間をゆっくり移動していく小さな点として見えることがあります。

この居住可能な人工衛星である国際宇宙ステーションは、米国、ロシア、日本、欧州、カナダが参加する共同プロジェクトです。地球上では国家間の争いごとが絶えませんが、宇宙では仲良くしているようです。

近年、月面での宇宙ステーションが、よく話題に上っていますが、ここでも仲良くしてもらいたいものです。
2023.04.26.

うれしい後輩とのつながり

先日、後輩の医師岩谷壮太君が、米国の一流医学雑誌Pediatric Researchに掲載された論文を持って、自宅までわざわざ訪ねてきてくれました。

彼と私の出会いは、自分が後期高齢者となり、自由な時間ができ、ブラブラしていたときです。神戸大学の森岡一朗特任教授(現日本大学教授)から新生児黄疸研究グループへの誘いを受け、その時のパートナーに指名いただいたのが彼だったのです。

一度は消えた核黄疸が、いま再び問題に

1970年代には、赤ちゃんの重症黄疸は脳障害(核黄疸)を引き起こし、死亡・脳性麻痺の主要な原因でした。1982年に、私は核黄疸予知のためのUB測定用臨床検査機器(UBアナライザー)を、アローズ社生越義昌社長との共同開発に成功しました。広く実用化され、医療技術の進歩と相まって、核黄疸は激減したのです。
その後30年余り、核黄疸は日常診療現場で滅多に見られなくなり、若い新生児科医の間では過去の病気として、関心が薄れていました。

21世紀に入ると、新生児医療の進歩とともに、千グラム未満で出生した小さな超低出生体重児の生存率が著しく上昇しました。これまでのような成熟児ではなく、小さな未熟児において核黄疸の発生を耳にするようになったのです。

なぜ、再び私が研究室に戻ったか

開発時からすでに30年を経過し、UBアナライザーも限界かと不安になった時もありましたが、UBアナライザーで厳格に黄疸管理をしていた神戸大学では、核黄疸の発生がないことが分かり安堵したのを思い出します。

神戸大学の森岡グループが、超低体重出生児の黄疸管理の研究を再開したところへ、私も参加させて頂いたのです。私たちは、過去20年間、広く全国の医療施設で使用されていた神戸大学の治療基準の見直しにかかりました。多くの医療施設の協力を得て、2年足らずで、改訂版を作成することができました。

後輩への技の伝承

UBの測定原理は、多少難解なところがあります。UBアナライザーから打ち出されてくるデータの数字を利用できても、その原理を理解している新生児科医は限られていました。

私の研究室復帰の真の狙いは、UB測定原理を後進に伝承することです。白羽の矢を立てたのが岩谷壮太君でした。測定試薬作りから一緒に始め、ほぼ1年をかけて彼にすべて伝授することができました。

今回の彼の論文は、超低体重出生児の核黄疸予防に、UB測定の重要性を世に示したものです。多くの子どもたちが救われるに違いありません。素晴らしい後継者の誕生です。

生越義昌氏、仁志田博司氏へ捧げる

UBアナライザー開発者の生越義昌氏、UBアナライザーの普及啓発にご尽力いただいた仁志田博司氏が、最近相次いで他界され、心細い限りです。心より御冥福をお祈りするとともに、この論文を捧げたいと思います。

2023.04.16.

保育施設は子どもたちの家庭です

今後さらに女性の社会進出が進むと、保育施設へのニーズはより大きくなっていくものと考えられます。子どものいる家族への支援は話題にされますが、子どもたちが一日の大半を過ごしている保育現場への支援はあまり取り上げられていないように思います。あたかも、待機児童ゼロで保育施設問題は解決したかのようです。

保育の質の向上には

保育現場で事故が起こると、保育士の注意不足、連携不足が指摘され、I C機器の導入が話題になりますが、多くは保育士定員数の絶対的不足が原因と考えます。保育の質の向上には、保育士の定員数増が不可欠です。

保育施設は子どもたちの家庭です

保育施設は、子どもたちの家庭です。保育士の皆さんは親に代わり育児を担い、子どもたちと最も長時間過ごす職種です。小児科医をはじめ、いろんな職種の人々と情報を交換し、協力しながら、親に代わって子どもの安全、幸せを守らねばなりません。

保育士は、子どもへの絶えない微笑みが求められます。それには、「ゆとり」が必要です。保育士のあたたかい手の温もりと、あたたかい眼差しで、子どもは思いやりのある、心豊かな大人へと育っていくのです。

2023.4.9.

 

「子育て支援」でなく、「子ども支援」を

日本は、1994年に国際条約「子どもの権利条約」を批准しており、その条約には「生きる権利」、「育つ権利」、「守られる権利」、「参加する権利」という4つの子どもの権利が定められていまが、日本国内ではこの条約についての関心が低いままで、子どもは「子ども扱い」されたまま、「子どもが主役」にはなりづらい状況が長らく続いてきました。

「子育て支援」でなく、「子ども支援」を

この4月から、「子どもの権利」の保障を明記した「こども基本法」が新しく施行され、こども家庭庁が発足しました。子どもにやさしい社会を目指すための法律であり、現政権の最重要課題として取り上げられており、大きな期待を寄せています。

これまでの我が国では、子ども政策といえば、超高齢社会対策の一環としての少子化対策、労働力確保のための経済対策として取り上げられてきたように思えてなりません。こども基本法ができても、従前のように少子化対策の一環として取り上げるのであれば、真の子ども中心の社会とは言えません。私は、「子育て支援」ではなく、「子ども支援」の政策がとられるように期待しているのです。

2023.4.9.