スエーデンの精神科医アンデッシュ・ハンセン著「スマホ脳」より

平均で1日に4時間、若者の2割が7時間も使っているスマホ。

だが、「スティーブ・ジョブスを筆頭にIT業界のトップは、我が子にデジタル・デバイスを与えない」という帯案内のついた、スエーデンの精神科医アンデッシュ・ハンセン著「スマホ脳」が、アマゾンの書籍案内に掲載されていたので、クリックしてしまいました。

急増する抗うつ薬の服用

9人に1人以上のスエーデン人が、抗うつ薬を服用しているそうです。スマホがみんなのポケットに入るようになったこの10年の間に、抗うつ薬の使用が急激に増えたそうです。世界中の国々でも同じようなことが起きています。

今や世界中の若者は、朝起きるとスマホに手を伸ばし、どこにいても手放なさず、夜はベッド脇に置いて寝るそうです。夜中にも1回はチェックしないと気が済まない者がいるそうです。

報酬系に働く神経伝達物質ドーパミン

ドーパミンは、「意欲」「運動」「快楽」に関係する報酬系に働く神経伝達物質、すなわち、「気持ちが良い」「心地良い」と感じさせてくれる元になる物質です。

ドーパミンは、「この先何かいいことがあると感じたとき」に分泌されます。ドーパミンは、空腹が満たされたとき、何かを達成したときなどに脳から分泌され、快感を誘う報酬系として働きます。

脳の報酬系の起源をたどると、我々人類の祖先が、厳しい環境を生き抜くために築き上げた脳の仕組みで、新しい生活場所や環境、食べ物などを見つけた時の興奮、幸福感の名残りのようです。

今日では、スマホを通じて新しい情報を得ると、それがニュースサイトであろうと、メールやSNSだろうと、脳の報酬系が作動するようになっています。メールの着信音、SNSの「いいね」マークなどからの期待感で、ドーパミンがどんどん分泌されるのです。

お酒がやめられないとか、ギャンブルに夢中になってしまうなど、いわゆる依存症に関係するのもこの報酬系です。

IT企業のトップは自分の子どもにスマホを持たせない

IT企業のトップは、人間のもつ弱点をうまくついて開発したスマホが、このような結果になることを一番よく知っていたようです。スティーブ・ジョブスは、自分の10代の子どもには、iPadを使ってよい時間を厳しく制限していたそうで、ビル・ゲイツも子どもが14歳になるまでスマホを持たせなかったそうです。

フェイスブックの「いいね」機能を開発したジャスティン・ローゼンスタインは、自分の創造物が度を過ぎて魅力的であることから、スマホの使用にブレーキをかけるためのアプリを開発し、自らも利用する時間に制限をかけたそうです。できるだけ長い時間、人の注目を引いておくコツは、相手の心理の弱いところを突き、ちょっとばかりのドーパミンが絶えず分泌されるようにすることだとも言っています。

 子どもは、大人に比べて依存症になりやすい

脳がまだ発達過程にある子どもは、大人に比べて依存症になりやすいことはよく知られています。

現在のスエーデンでは11歳児の98%が自分のスマホを持っているそうですが、日本の子どもの年代別にスマートフォン所有率は、小学校高学年34.6%、中学生75.4%、高校生92.4%という調査結果があります。

中学生からスマホを取り上げることは、もう不可能です。でも、1日の使用時間を制限することは今からでも遅くありません。

スクリーンタイムを「オン」にしてみては

いまのiPhoneには、どのアプリをいつ、どれくらいを使用しているかを記録し、わかりやすく表示する「スクリーンタイム」が搭載されています。ホーム画面の設定> [スクリーンタイム] > [スクリーンタイムをオンにする] に進むと、簡単に設定できます。
子ども用のiPhoneだけでなく、大人のあなた自身も、自分が毎日どのくらいスクリーンを見ているか確かめてください。

2月11日