日本の子どもの精神的幸福度は38カ国中37位: ユニセフ「レポートカード16」

ユニセフ報告書「レポートカード16」が、2020年9月3日に発表され、報道もされていましたのでご存知の方も多いと思います。日本の「子どもの幸福度」の総合順位は38カ国中20位でした。この総合順位は、以下の3つの分野を総合した順位です。
精神的幸福度:37位(生活満足度が高い子どもの割合、自殺率)
〇身体的健康:1位(子どもの死亡率、過体重・肥満の子どもの割合)
〇スキル:27位(読解力・数学分野の学力、社会的スキル)

「世界で最も豊かな国々の多くは、すべての子どもたちに良い子ども時代を提供するリソースを持っていながら、それが果たせていません。」と、ユニセフ・イノチェンティ研究所所長のグニラ・オルセンは述べます。

「政府がパンデミックへの対応の一環として、子どもたちの幸福度(wellbeing)を守るための迅速で確固たる行動をとらなければ、子どもの貧困率が上昇し、精神的・身体的健康状態が悪化し、スキルの格差が広がり続けるかもしれません。
COVID-19関連の子どもや家庭へのサポートはひどく不十分です。子どもたちに安全で幸福な子ども時代を提供するために、より多くのことをしなければなりません。そしてそれは今です」

「パンデミックによる経済、教育、社会への影響が続く中、一致して取り組まなければ、今の子どもたちの幸福度、その家族や社会への影響はさらに悪化し、破壊的なものになるでしょう。しかし、今各国政府が、子どもたちの幸福度を守る確固たる行動をとれば、これらのリスクは現実にならずに済むのです」(オルセン)

本報告書を通じてユニセフは、子どもの幸福度を改善するために以下のことを求めています。
所得格差と貧困を減らすために確固とした行動をとり、すべての子どもが必要な資源にアクセスできるようにする
• 子ども・若者のためのメンタルヘルスのサービスに関する深刻な格差を是正する
• 仕事と家庭のバランスを改善し、特に、質が高く柔軟で安価な乳幼児保育へのアクセスを改善するため、子育て支援策を拡充する
• はしかの予防接種率の最近の低下を逆転させることを含め、予防可能な病気から子どもを守るための策を強化する
• 子どものいる家庭を支援するCOVID-19関連の政策を改善し、子どもの幸福度を支える予算が緊縮財政措置から守られるようにする


精神的幸福度
15歳時点で生活満足度の高い子どもの割合(2018年)
日本62.2% 平均 75.7%  最上位:オランダ 89.8%

15~19歳の若者の自殺率 (10万人あたりの自殺者数、2013年~2015年の3年間の平均)
日本7.5 平均 6.5  最上位:オランダ 1.4

「すぐに友達ができる」と答えた15歳の生徒の割合(2018年)
日本69.1% 平均 75.5%  最上位:ルーマニア 82.7%


先進国の子どもの幸福度


精神的幸福度

  • 15歳時点で生活満足度の高い子どもの割合(2018年): 日本62.2%   平均 75.7% 最上位:オランダ 89.8%
  • 15~19歳の若者の自殺率 (10万人あたりの自殺者数、2013年~2015年の3年間の平均): 日本7.5   平均 6.5 最上位:オランダ 1.4

身体的健康

  • 5~14歳の子どもの死亡率 (1,000人あたりの死亡数、2018年):日本0.7   平均 1.0 最上位:ルクセンブルグ 0.4
  • 過体重または肥満である5~19歳の子どもと若者の割合(2016年):日本14.4%   平均 28.9% 最上位:日本 14.4%

スキル

  • PISAテストの読解力・数学分野で基礎的習熟度に達している15歳の生徒の割合(2018年):日本72.9%   平均 62.3% 最上位:エストニア 78.9%
  • 「すぐに友達ができる」と答えた15歳の生徒の割合(2018年):日本69.1%   平均 75.5% 最上位:ルーマニア 82.7%

    デジタルテクノロジーの使用と青年期の幸福との関連性は否定的
    Amy Orben, Andrew K Przybylski: The association between adolescent well-being and digital technology use. Nat Hum Behav. 2019 Feb;3(2):173-182.
    若者によるデジタルテクノロジーの普及は、彼らの定期的な使用が心理的幸福に悪影響を与えるという憶測に拍車をかけています。3つの大規模な社会データセット(合計n = 355,358)について仕様曲線分析(SCA)を適用して、青少年に対するデジタルテクノロジーの影響に関する相関証拠を厳密に調べたところ、デジタルテクノロジーの使用と青年期の幸福との関連性は否定的ですが小さく、幸福の変動の最大0.4%を説明しているに過ぎなかったとのことです。