新型コロナと医療崩壊

10歳未満の子どもの新型コロナウイルス感染者は、中国武漢では全感染者の1%、うち重症例はほとんどいませんでした。日本でも、10歳未満は253人、全体の1.7%に過ぎません。これまでのところ重症例は1例のみとなっており、死亡した子供はいません。

これは、2009年の新型インフルエンザの流行では、入院を必要とした10歳未満の子どもが、一万人以上、全体の65%を占めており、新型コロナウイルス感染とは大きな違いです。

新型コロナウイルス感染のパンデミックに対して、日本は他の国々に比べて感染者数があまり増えていないタイミングで休校措置がとられました。その結果、感染する機会としては、子どもから子どもでなく、大半が家族内感染と考えられます。

これまでの日本のPCR検査は、新型コロナウイルス感染が強く疑われる濃厚接触者だけに実施されていたので、子どもの検査数は非常に少なく、実態は全くわかりません。

いまは、新型コロナウイルスで大人の救急医療で医療崩壊が大きな社会的問題となっていますが、10年前の新型インフルエンザ流行時には、小児救急医療がその危機に瀕していました。

共通して言えるのは、ベッド数や医療機材不足の問題ではなく、救急医療現場で働く医師、看護師が平時から最小限の人数で行われていたことです。少し患者数が増えるだけで、あっと言う間に現場はパニックになるのです。

ピーク時の兵庫の感染者数は42名、うち重症例は10名前後です。これで医療崩壊が起こるようなら、イタリアやアメリカのようなアウトブレークではと思うと、そら恐ろしくなります。

新型コロナウイルスのパンデミックでは、中国でも、イタリアでも、アメリカでも、医療者や入院患者の感染が目立ちます。このウイルスはよく忍者に例えられますが、経験を積んだ医療者でも見逃してしまうようです。

志ざしの高い医療者でも、どこに潜んでいるかわからぬ敵に、防護具もつけずに、戦いを挑ませるのは無謀すぎます。入院前にPCR検査をルーチンに行えば、無症状の感染者を見つけることができるのです。防護具不足を心配しながら働く職場では、ますます人が離れていきます。

パンデミック第1波は、規律を守る日本人の従順さで乗り切ることがでましたが、第2波への医療資源確保を怠り、経済活動を重視していると、再び医療崩壊が起こるでしょう。医療現場、介護現場で働く人材確保がいちばんの課題です。

赤ちゃんの四季   2020-5-9