COVID-19とEarth day 2020

南米アマゾンやオースラリアにおいて数ヶ月も燃え続ける森林火災、世界各地での未曾有の風水害、いずれも人類がもたらした環境破壊、地球温暖化社会によるものです。

今は、中国武漢に始まるCOVID-19のパンデミックが、わずか数週間で世界各地に拡大し、世界各地の経済活動が一気に低下しました。皮肉なことに大都会の大気汚染は収まり、インドのニューデリーからは見えることがなかったエベレストが見えたという話もあります。

各国の首脳が集まりいくら討議しても、一向に進まない二酸化炭素の排出制限も、新型コロナウイルスの出現で、人類の生命は脅かされますが、地球環境が守られていくのを見ると、複雑な思いになります。


アポロ8号の宇宙飛行士が「アースライズ(地球の出)」を撮影

4月22日、Earth dayを迎えるにあたって、その生い立ちを振り返ってみましょう。

今からたった50年前の1968年12月24日に、アポロ8号の宇宙飛行士が月から昇る地球の姿「アースライズ(地球の出)」を撮影しました。人類が地球を外から見たのはこのときが初めで、テレビで中継されてきた「青く丸い地球」の姿に我々は感動しました。

当時はまた、科学技術文明の進歩により、環境汚染が大きな社会問題になっていました。「アースライズ(地球の出)」で地球の姿を認識してからは、地球全体を「ひとつの生命圏」としてとらえ、その保全に新しい環境運動が始まるきっかけとなりました。


1970年・なんでもない日を「地球の日」に!

このアースライズから15カ月後、世界最初の「アースデイ(地球の日)」がアメリカで誕生します。G・ネルソンという上院議員の「環境の日が必要だ」という発言に呼応したのが、スタンフォード大学に通うひとりの学生、デニス・ヘイズ氏です。デニスは「『母の日』や『父の日』があるのに『地球の日』がないなんておかしい」と呼びかけ、4月22日水曜という平日の“なんでもない日”を「地球の日」としたのです。


コロナウイルスはなぜ出現?

今流行しているコロナウイルス(SARS-CoV-2ウイルス)の出現は、人類による環境破壊と関係しているという説があります。SARS-CoV-2ウイルスは元々コウモリに寄生していたウイルスが変異して、ヒトに寄生できるようになったものです。先に大流行したコロナウイルス(SARSウイルス)もまたコウモリに寄生していたものです。コロナウイルス(MERSウイルス)はラクダからヒトへ寄生するようになったことがわかっています。環境破壊により、多くの野生動物がこれまでの棲息圏から追い出され、ヒト社会の近くに移り住んできています。このような生物の棲息圏の変化が、ウイルスの宿主動物とヒトとの距離を縮めてしまったのかもしれません。


コロナウイルスは手強い

コロナウイルスの存在は、これまでからヒトにも寄生しており、軽い風邪症状を示すだけで、決して恐ろしいウイルスではありませんでした。ところが、2002年には同じコロナウイルスでもSARSが、2012年にはMERSのパンデミックが起こりました。幸運にも、日本では水際作戦が奏功し、その流行はありませんでした。

しかし、今回のウイルスはなかなかの曲者です。感染していても、無症状であったりするので、気づかぬうちに他人に移してしまうので、あっという間に蔓延したのです。


政治家は決断が遅い

今回のCOVID-19大流行には、政治家の油断があったのではないでしょうか。SARS-CoV-2ウイルスは、初期の対応が1週間遅れただけで、一人の感染者から、10人に伝播してしまうのです。米国は、まさにその典型例です。

3月1日には一桁であった感染者が、3月7日には100人を超え、3月14日には1,000人を、22日には10,000人を超えてしまいました。

トランプ大統領は、自らの対応の遅れを認めず、今尚3万人近い感染者が毎日出ている中で、早期の経済活動再開を目論んでいる姿を見ると、医療者の立場から見ると言語道断です。時期尚早な経済活動再開こそが、経済の不活化を招くことになります。

今の政治家は、目先の経済には神経質ですが、地球規模の人類の問題には鈍感なようです。


2020.04.24 Friday