厚生労働省の発表では、2018年の合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む子どもの数)は1.42と3年連続で低下し、生まれた子どもの数(出生数)も91万8千人と過去最少を更新、3年連続で100万人割れです。
日本では、1947年に出生数が268万人、そのときの合計特殊出生率が4.54と最高値でした。その後は、高度経済成長とともに低下し続け、1975年以後では2.0を上回ることはなくなりました。1.26まで低下したのが2005年です。その後わずかに増加はしましたが、政府の掲げる希望目標値1.8とは程遠いものです。
スエーデン・ウプサラ大学の公衆衛生学の元教授ハンス・ロスリング氏の「ファクトフルネス」という書が、世界中で話題を呼んでいます。「あなたの”常識”は20年前で止まっている」という副題に惹きつけられて、私も手にしました。物の豊かな国に住むわれわれが普段目にする統計は、豊かな国同士を比較したものばかりで、発展途上国や最貧国の現状について自分自身があまりにも無知であったことに気づきました。
その本で、しばしば引用されている国連人口統計によると、世界全体の合計特殊出生率は、1964年に5.06だったのが、2017年には2.42(日本の1955年頃に相当)に低下しているのです。アジアだけみても、インドとインドネシアが2.3、バングラデッシュ2.1、ベトナム1.9、中国1.6、タイ1.5と、経済発展とともに今も低下し続けています。シンガポール、韓国、香港、台湾といった東アジアの国々は、我が国と同レベル、乃至はもっと低水準です。
今や、合計特殊出生率が4.0を上回っている国は、戦争の絶えない一部の極貧国だけです。かつての極貧国も日々経済成長を続けており、子どもの死亡率は低下、やがて世界全体の合計特殊出生率が2.0を下回るに違いありません。
これからは、もう世界人口増加による食糧不足に怯えることはなさそうですが、地球規模での成熟した高齢者社会が遠からずやって来そうです。
Fertility rate, total (births per woman) from United Nations Population Division. World Population Prospects: 2017 Revision.