こども急病センターがとった2009/10年新型インフルエンザ対策

まとめ:阪神北こども急病センターにおいては、2009/10年の新型インフルエンザ流行では臨床的に軽症である患者が多いことから、季節性インフルエンザに準じた感染予防体制で対処することにした。当センターの外来部門は、かかる大流行を想定した十分な感染予防対策の構造ではなったので、緊急工事を実施した。基本的な考えとして、玄関入口の風除室でトリアージを行い、患者を隔離室、「インフル疑いゾーン」と「疑いなしゾーン」、乳幼児用の逆隔離ゾーンに区分できるようにした。


センターがとった2009/10年新型インフルエンザ対策

2009年5月16日、日本国内で初めてとなる新型インフルエンザA(H1N1swl)の最初の3例が神戸市によって報告された。4月28日の厚生労働省「WHOによる新型インフルエンザ発生宣言」を出し、新型インフルエンザ等感染症は2類相当するために入院の上での治療を行うことが必要とされていた。そのため、神戸市では新型インフルエンザ患者全例に対して入院による治療が行われたが、対応病床が満床になるなどの状況が直ぐに発生し、かつ、臨床的に軽症である患者が多いことから、5月18日より神戸市や大阪府などでは、臨床上入院を必要とする患者についてのみの入院へと切り替えられた。

当センターでも当初は、➀発熱・関節痛等のインフルエンザ症状のある患者に対して海外渡航歴を確認、➁海外渡航歴のある患者は車中待機してもらい、センター内に入らないようにし、車中より保健所に電話し、対応の指示を仰ぐ、➂センター職員にマスク着用と感染予防策の周知徹底を図る等の対策を立てた。

しかし、5月17日付けで、兵庫県健康福祉部医務課長より県内休日夜間急患センター宛に「小児の発熱等に有症状者の対応について」の協力依頼があり、感染拡大防止のために、当センターでは、季節性インフルエンザに準じた感染予防体制で対処することにした。インフルエンザ疑いの患者については一般診察室での診察とし、濃厚接触者については隔離室で診察を行うことにした。6月に入り、患者数が減少してきたのを機に、感染の再流行が予測されたのでより充実した感染対策を配慮し、緊急改修工事を計画。9月20日に工事を開始、ほぼ1ヶ月後の10月26日に工事は完成した。

感染対策の基本的な考え方としては、発熱、咳などの症状に応じたゾーン隔離体制をとること。インフルエンザは飛沫感染であるので、患者1人一人を完全に隔離するのではなく、患者間の距離を空けることにより、患者間の感染を最小限に抑えることとした。


具体的な対策として、

  1. 受付を玄関入口に移し、風除室でトリアージを行い、隔離室、「インフル疑いゾーン」と「疑いなしゾーン」、乳幼児用の逆隔離ゾーンに区分する。
  2. 空気感染する疾患、麻疹・水痘・風疹患者は、受付から、内部に入らずに、外周通路で隔離室に収容する。
  3. 入り口での混雑を減らすために入口と出口を区分し、屋内では換気流に沿って、感染疑いなしゾーンから感染疑いゾーンを配置した。
  4. 電話相談を充実し、不用の受診を減らす。
  5. 待合室での人数をできるだけ減らすために、車での来院者は車内に待機させる。 こととした。

     2020/2/25