新生児黄疸の治療判定用アプリがようやく完成しました

このところブログの更新を怠っていたのは、かねてから目標にしていた新生児黄疸の治療判定アプリの開発に集中し、パソコンに向かうと頭の中はそのことばかり、ブログの更新をしたいと思うのですが、ブログ作成のアイデアが何も思い浮かびません。

久しぶりのプログラム開発だったので、昔の自分ならすぐにできたことが、なかなか以前のようには進みません。幸い、私にはA Iくんという良き指南役がいますので、意図する構文の作成や、間違い探しには力強い味方です。冊子の出版も終わり、この2週間ほどシステム開発に集中できたので、ようやく完成しました。

早速、こども病院新生児センターの芳本部長、岩谷先生と具体的な活用法について相談に行ってきました。芳本部長は医療用情報システムについて、とりわけFileMakerの新生児情報システムには大変造詣が深く、病院全体の医療用電子カルテシステムとは別に、FileMakerを用いたNICUに特化したデータ管理を長年行ってこられました。

早速試用してみようとのこと、楽しみにしています。  2025.10.21.

「トランプ2.0時代の国際政治と日本」の講演を聞いて

トランプ2.0時代の国際政治と日本 ーアメリカはどこへ向かおうとしているのか―

今日のお昼、神戸大学文系の同窓会主催の上記タイトルの講演会に、高校時代のクラスメートに誘われて、面白そうだったので、門外漢ですが出かけてきました。

演者は、神戸大学法学部教授蓑原俊洋氏で、流石に話がお上手。世界の覇権の歴史から始まり、今のアメリカの覇権は大きく揺らぎかけており、トランプを支えている中心は福音派とのことでした。

今後、トランプは、アメリカ国内で社会の分断が進み、反トランプ派が反乱を起こすのを待っており、起これば、軍隊で制圧し、強力なトランプ帝国を考えているのではという憶測さえあるようです。

話は飛び、神戸大学卒の高市早苗さんが自民党総裁になり、日本がアメリカに全面的に依存する日米安保条約は、間違いなく終わるだろうとのこと、今後どうアメリカと接するかが焦点だとの見解でした。高市早苗氏の腕の見せ所です。

まとめとして、蓑原氏がA Iくんに尋ねたところ、30%、否60%の確率で日本は戦争に巻き込まれる覚悟が必要とのことでした。最近、自衛隊の幹部連中が次々と退職し、民間に流れているそうで、誰が国を守るのか心配です。

この会は、大学同窓生の集まりで、高齢者ばかり。90歳以上の方が10名近くおられ、私がちょうど真ん中くらいです。自分では何もできないという苛つきはありますが、放置もできない複雑な思いです。2025.10.8.

セロトニン研究、50年の歴史から学んだこと

セロトニンという物質は、神経伝達物質として精神の安定や情動、記憶力に関わり、脳内で不足すると不安や気分の落ち込みを招きます。小児の発達障害や脳の老化、さらには認知症のリスクを高める可能性も指摘されています。

私が研究生活を始めた50年前、1970年代には小児てんかん発作とセロトニンの関連性が注目されていました。同僚の児玉壮一君が、セロトニンの主要代謝産物である尿中5-HIAAを薄層クロマトグラフィーで測定していたのを思い出します。

セロトニンは、時代ごとに注目される課題とともに再び話題になりますが、決定的な解明には至らないまま今日に至っています。

2000年代には、精神科領域でセロトニンと統合失調症やうつ病との関連性が明らかにされ、小児科領域でも自閉症や注意欠陥多動障害(ADHD)、乳児突然死症候群(SIDS)との関係が研究されました。


新しい発見(2020年代以降)

AIくんが教えてくれた最近の論文の中で、特に印象に残った3つを紹介します。

1. 皮質回路活動とセロトニンの関係(Nature, 2025)
遺伝的トランスポーター欠損、抗うつ薬曝露、ストレスなどの異なる要因が、生後早期の「皮質内セロトニン濃度変化」と「皮質ニューロン活動状態」のスイッチを引き起こす可能性を示しました。
従来の「低セロトニン=伝達障害」という単純な理解だけでなく、「早期の過剰シグナル → 将来の応答抑制」といったダイナミックな変化を考慮する必要があるとされています。

2. セロトニンと可塑性窓(critical period)(PNAS, 2023)
発達初期の感覚皮質において、可塑性が最も高い時期(sensitive period)におけるセロトニンシグナルの変化が、軸索誘導やシナプス形成を左右する可能性が報告されています。

3. ストレスとエピジェネティクスの経路(PLOS ONE, 2018)
NICUの未熟児が受けるストレス(侵襲処置・痛みなど)が、セロトニントランスポーター遺伝子のメチル化変化を誘導し、それが脳構造や情動発達に影響する可能性を示した縦断研究です。


おわりに

これらの研究は、未熟児の脳内で単に「セロトニン量が足りない」あるいは「受容体が未発達」という説明では不十分であり、時期依存的で、フィードバックを含む複雑なシステムとして理解する必要があることを教えています。

何事にも表と裏があります。どんなに健康に良いとされる物質でも、摂りすぎれば逆効果になります。私たちの身体は、絶妙なバランスの上に成り立っているのです。
乳幼児期の脳の発達は、その後の人生の礎を築くものです。これらの研究の歩みを教訓に、育児や医療のあり方をもう一度見直したいと感じています。2025.10.8

大阪大学の坂口志文特任教授がノーベル生理学・医学賞を受賞

坂口氏は、免疫細胞の一種であるT細胞の中には免疫の暴走を抑えるタイプが存在するとの仮説を立て、根気強く研究を進めて1985年にその存在を示し、95年にはこの細胞の特定に成功し、制御性T細胞の発見者となりました。制御性T細胞は増えすぎると免疫反応を抑制し、一方少なすぎると免疫反応が増強することになります。

本研究は、臓器移植後の拒絶反応の抑制や自己免疫疾患の治療への応用が期待されていました。

その後、研究成果の実用化に向け、阪大発スタートアップのレグセル(米カリフォルニア州)が2016年に設立され、20世紀の研究が、四半世紀を経て日の目を見たという感じです。


これまでから、T細胞の研究には、たびたびノーベル生理学・医学賞が授与されてきました。

1980受賞者:Baruj Benacerraf, Jean Dausset, George D. Snell
業績:主要組織適合複合体(MHC)の発見と免疫応答の遺伝的制御

T細胞の抗原認識に不可欠な MHC分子(ヒトではHLA)の遺伝的基盤を解明し、後にT細胞が抗原を認識する際、「MHC拘束性(MHC restriction)」という仕組みの理解につながりました。これらは、T細胞研究の土台を築いた基礎的発見です。

1996受賞者:Rolf Zinkernagel, Peter C. Doherty
業績:キラーT細胞(細胞傷害性T細胞)の抗原認識原理の発見

ウイルス感染細胞をT細胞が認識する際、抗原とMHC分子の両方を同時に認識するという概念、「MHC拘束性(MHC restriction)」として知られる基本原理を確立しました。
これは、T細胞が“何を、どうやって敵と認識するか”という免疫学の中心命題を解明したことになります。

2018 ノーベル生理学・医学賞:James P. Allison 本庶

彼らの受賞理由は「免疫チェックポイント阻害」によるがん免疫療法の開発です。これは、T細胞の抑制機構(CTLA-4 や PD-1 など)を解除することで、T細胞ががん細胞を攻撃できるようにする戦略に関する研究です。

Allison は、 T細胞の抑制性分子 CTLA-4 に関する研究を行い、抗体による阻害が腫瘍を排除する可能性を示しました。本庶 佑は、T細胞上のプログラム細胞死分子 PD-1 を発見し、その抑制作用を明らかにしました。  2025.10.7.

神戸育ちの実業家の履歴書は面白い

私が属している東灘区の碁楽会のメンバーである実業家石田氏は、米寿を過ぎている先輩で、真夏でもジャケットに蝶ネクタイと、なかなかのダンディー。話題が豊富で、何しろ面白い。

先に私の本「八十っ過ぎてからの挑戦」をお渡ししたので、そのお返しに、「あるがままに生きる私の履歴書」という彼の著書を頂きました。執筆されたのが2018年、彼が82歳の時です。動機は、私と同じく自らの病がきっかけだったようです。

この本を読むまで、彼が、飛行機をチャーターし、さくらんぼをアメリカから日本に初めて輸入し、銀座で販売し、大成功したことは聞かされていたのですが、詳しいことは知りませんでした。神戸生まれ・神戸育ち。丹波や各地に直営の自家農場を持ち、カボチャやベビーリーフなどの青果物の販売会社M V M商事を経営、近々50周年を迎えられます。

私は、商いとは縁のない世界で生活していたので、初めて知ることばかりです。実業家として成功するには、幅広い交流関係、瞬時の判断力・決断力が不可欠であること、大きなロマンを持つ人間でなければならないことが、彼の履歴書を読んでよくわかりました。2025.10.2.