久方ぶりの映画鑑賞で感傷に耽る

今年のカンヌ国際映画祭で、カズオ イシグロの「遠い山なみの光」が話題沸騰、 9月5日にロードショーということだったので出かけてみましたが、平日の午後に出かけたせいか、客はまばら、大半が高齢者でした。

私は、長編小説が苦手ですが、何故かあの冗長なカズオ・ イシグロの作品には、心惹かれるものがあります。「日の名残り」、「わたしを離さないで」、「忘れられた巨人」の3つの作品は読破しました。中でも、老夫婦が息子を訪ねて旅に出る話、「忘れられた巨人」は、大変興味深く読みました。

「遠い山なみの光」は、題名を知っている程度で、あまり興味のなかった作品です。イシグロ自身の出生地長崎を舞台に書き上げたデビュー作の映画化で、戦後の長崎で、懸命に生きようとする女たちの様を描いた作品です。

そのあらすじは、日本人の母悦子とイギリス人の父を持ち、大学を中退して作家を目指すニキ(カミラ・アイコ)に乞われ、口を閉ざしてきた過去の記憶を語り始める母悦子の物語です。舞台は1950年、戦後復興期の活気溢れる長崎での思い出話が中心です。

1950年といえば、私が小学校5年生の時です。当時の日本は、朝鮮戦争による軍需景気で、経済成長目覚ましく、戦後の焼け野原から、電気の灯る活気あふれる街へと、あっという間に変貌した様が、私自身の体験とも重なります。

主人公の悦子は、ちょうど私の母親と同年代、最も苦労した世代だったのです。
2025.9.10.