新型コロナCOVID-19の日本人の新規感染者数が、世界で最も低い水準にあることは、とても素晴らしいことです。その理由として、マスク着用率の高さ、ワクチン接種率の高さが関係していることは医学的に十分考え得ることです。
さらに、日本だけでなく、台湾、シンガポールのアジア系人種の多く住んでいる国でも、新規感染者数や死亡数が欧米諸国に比べて圧倒的に少ないことから、アジア系と欧米系の人種間での違いも指摘されるところです。
日本人はマスク着用への抵抗感が少ない
私が考える理由を挙げるなら、1番に日本人のマスク着用率の高さです。
全国的に感染者数が激減している12月に入っても、街を歩くほぼ全ての人がマスクを着用しています。3~4歳の小さな子どもまでマスクをしています。元々、日本人、とくに若者たちは、冬場になると、アレルギー対策としてマスクをしている人が少なくありません。インフルエンザの流行期には、多くの人がマスクを着用してきたという風土があります。
国から、新型コロナ対策として「マスク」と「手洗い」と言われると、多くの日本人は何の抵抗感もなく、素直に実行してきたのではないでしょうか。普段外出する機会が減った私は、マスクをつい忘れて外出し、通りに出て他人がマスクしているのを見て、慌てて取りに戻ること再三です。
さらに、ワクチン接種率の高さです。
ヨーロッパ各国では、ワクチン接種の義務化に反対するデモが繰り広げられています。彼らが、ワクチン接種を受けないのは、アレルギーなどの副作用のリスクを恐れてではなく、国家が法的にワクチン接種を義務化すること自体が気に食わぬということが理由だそうです。
欧米では、大流行時には法的措置として都市のロックダウンが布かれ、ワクチン接種も法的に義務化しようとしています。我が国でも、ロックダウンの法的強制力が問題になったこともありますが、国家から義務だとして押し付けられる前に、日本国民は自発的に行動を開始してきました。
ワクチン接種も同様です。我が国では無償化するだけで、ワクチンの供給さえあれば、高い接種率を達成したのです。
この国民性とは一体何だろう。
人に迷惑をかけてはいけないと言う日本人の公徳心の高さが、世界一低い感染者数に反映されているように思えます。
東洋と西洋の文化の違いが、農耕民族と狩猟民族とに根差しているとよく言われます。その文化が、お上の命令に素直に従う日本人の国民性、都市化が進んだ今日でもお互いを監視しているムラ社会意識に反映されているようです。
日本人のワクチン接種率が高いのも、自己防衛と言うよりも、周りの人に迷惑をかけてはならないと言う気持ちの方が優先しているように思います。
老人を大切にする日本の若者たち
スタートの遅れた日本のワクチン接種ですが、医療者に次いで、高齢者への接種が優先されました。いかに新型コロナで若者たちが重症化し難いとは言え、社会的活動の活発な若者を優先するのも防疫上あり得た策ではなかったかと思います。
高齢者におけるワクチン接種率が高いのは、自己防衛という点でも納得がいきます。日本の若者の接種率が欧米における接種率を上回っているのは、彼らが自己防衛としてワクチン接種するよりも、他人に迷惑をかけてはいけないと言う意識の方が遥かに優先しているように思います。
この素晴らしい日本人若者たちの国民性こそが、世界一低い感染者数に反映されているように思えます。
2021.12.