八〇歳を過ぎると、時の流れが加速した気がします。
むかし、ある会合で恩師の眼科学の井街名誉教授と同席させて頂きました。井街先生が80歳過ぎ、私は教授になりたての50歳前後のことだったと思います。
「最近は時間が経つのが早い、あっという間に1年が過ぎ去っていく」と、現役教授仲間で話し会っていると、突然に「君たちは1年かもしれないが、私には1分が早くなった」と話されていたのを思い出します。
昨今は、情報科学技術の進化により、世の中が加速度的に変化しているといわれますが、今の自分の周りで見られる変化の速さが、万人共通か、年齢的なものかよくわかりません。
80歳を過ぎると、いろんな所作が緩慢になり、また持久力も落ちたことを自覚します。ある事をやり遂げるには、若い頃に比べると、数倍の時間を要します。
何もできてないのに、一日が経ってしまう。この事実が、高齢者にとっては、時間が加速度的に過ぎ去っていく感じにさせているようです。
もし、高齢者が、時間を大切にしようと考え、焦って仕事をするならば、時計の針が回るスピードを遅らせても、きっと身体のあちらこちらが悲鳴をあげて、時計の針は止まってしまうでしょう。
2021.07.15