COVID-19治療薬開発の現況 JAMA

Review : Pharmacologic Treatments for Coronavirus Disease 2019 (COVID-19)  JAMA Network, April 13, 2020 by James M. Sanders, Division of Infectious Diseases and Geographic Medicine, Department of Medicine, University of Texas Southwestern Medical Center


現在のところ、SARS-CoV-2ウイルスの効果的な治療法はまだ証明されていません。しかし、多数の潜在的な薬物が候補に挙がっています。

最も有望な治療法はレムデシビルです。レンデシビルはSARS-CoV-2に対してRNAポリメラーゼを阻害し、ウイルスの複製を停止させることにより、強力なin vitro活性を持っていますが、米国食品医薬品局FDAの承認を得られておらず、現在ランダム化試験が進行中です。

オセルタミビルは有効性が示されておらず、コルチコステロイドは現在推奨されていません。現在の臨床的証拠は、COVID-19患者におけるアンジオテンシン変換酵素阻害剤またはアンジオテンシン受容体遮断薬の中止を支持していないことです。

現在、日本ではインフルエンザの治療薬として開発されたファビピラビル(アビガン)が注目されていますが、米国では臨床使用できません。以前はT-705として知られていたファビピラビルは、レンデシビルと同様に、RNAポリメラーゼを阻害し、ウイルスの複製を停止します。

前向き無作為化多施設共同研究で、中程度および重度のCOVID-19感染症の治療について、ファビピラビル(n = 120)がアルビドール(n = 120)との比較試験が中国武漢で行われました。中程度の感染症の患者においては、7日目での臨床的回復例が多いとの観察があります(71.4%ファビピラビルおよび55.9%アルビドール、P = .019)。COVID-19の治療に対するファビピラビルの有効性については、RCTによるさらなる調査が期待されています。

ウミフェノビル(アルビドール)は、Sタンパク質/ ACE2相互作用を標的とし、ウイルスエンベロープの膜融合を阻害するユニークな作用機序を備えた、より有望な転用抗ウイルス剤です。 SARSに対する活性を示唆するin vitroデータに基づいて、インフルエンザの予防およびCOVID-19の治療に対する関心が高まっているものです。

COVID-19に対するウミフェノビルの限られた臨床経験が中国から報告されています。

このように、日本、米国、中国それぞれにおいて臨床試験が進行中です。国の壁、特許の問題などが障害とならず、1日も早く使用されるようなることを願います。


2020.04.19 Sunday